イチオシ!"手間と時間をかけ 長く生き続けるヤマブドウつる細工"

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涼しげな印象を与えてくれるバッグや財布。
こちらは宮城県内で採れたヤマブドウのつるで作られています。

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作り手の一人、蔵王町の齋富江さんです。ヤマブドウの魅力、それは「使えば使うほど増す光沢」と「丈夫さ」だといいます。

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手入れに専用オイルなどは必要ありません。手脂だけで味のある色合いやつやも増します。また、ヤマブドウつるは繊維の密度が高く固いため、「親子3代」「100年以上もつ」と言われるほどの丈夫さがあります。青森県の縄文時代の遺跡からはヤマブドウのつるで作った編み物が出土されるなど、古くから使われてきたことが伺えます。

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齋さんはつるの採取から行っているということで私も同行。
木と木の間に垂れ下がるつるを私も含め、4人がかりで引っ張り採取しました。

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ヤマブドウつるは丈夫で普段はむくことができないのですが、1年のうち、梅雨時期のわずか2週間ほどだけ柔らかくなり、手でむくことができます。バナナの皮をむくようにするするとむけていきました。

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その後つるは半年間乾燥。そして水に浸してから行うのは「なめし」作業です。
繊維をほぐし柔軟性を持たせることでより丈夫になるということです。
再び乾かして、水に浸して、なめす、これを3回繰り返します。

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ここまでの作業を終えるとやっと編む作業です。「朝から6時間、作業に夢中になる日もある」と齋さん。それでも1つ編み上げるのにおよそ1か月かかります。つる1本1本に思いを込めながら作り上げる齋さんの作品はほっと温かみを感じるものでした。

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ヤマブドウつる細工は作り手によってさまざまな表情が生み出されるのも特徴です。
大崎市鳴子で漆器店を営む佐々木せつ子さんも作り手の一人です。

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佐々木さんが作っていたのは手に乗るほど小さいミニチュアのかごバッグです。
もともと、陶芸などのモノ作りが好きで、細かい作業や工夫することが好きだという佐々木さん。

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髪留めや、様々なストラップ、さらにはひな人形も。その作品は多彩です。
こういった小物を気軽に手に取ってヤマブドウ細工の魅力を味わってほしいという願いも込められています。

かごバッグはものによっては10万円ほどと、決して安くはありませんが、
手間と時間をかけることで長く生き続けるヤマブドウつるバッグ、いつかお気に入りの1点をみつけて一緒に時を刻んでいけたら素敵だと感じた取材でした。

【取材:佐々木成美キャスター】

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