「声帯のケアで健康を保つ!」④ ~“声がれ”に潜む病気~

24/04/04まで

健康ライフ

放送日:2023/11/30

#医療・健康#カラダのハナシ

放送を聴く
24/04/04まで

放送を聴く
24/04/04まで

【出演者】
角田:角田晃一さん(国立病院機構東京医療センター 人工臓器・機器開発研究部長)
聞き手:福島佑理 キャスター

声帯ポリープと声帯結節

角田:
「声帯」がどの辺りにあるか、知らない人が多いと思います。ちょうど「のどぼとけ」、のどの真ん中辺りにあります。やわらかく伸縮にとんだ粘膜と筋肉から構成されています。左右にぶつかり合って振動します。

――今回は「“声がれ”に潜む病気」です。
声がかすれることってありますよね。これはなぜ起こるんでしょうか。

角田:
声帯には常に刺激が加わっているんです。しゃべっている限りはですね。そこに過剰な刺激が加わると声帯が傷つき、声帯の病気になります。
声帯は痛みを感じないようにできているんですね。そのかわり、症状が起きるとしたら腫れて炎症を起こして、声がかれてくるんです。痛みはなくても声がかれて、病気に気付くわけですね。

――声帯が傷つくことで、どのような病気があるんでしょうか。

角田:
声帯が傷ついて起こる代表的な病気が「声帯ポリープ」と「声帯結節」です。

――まずは、声帯ポリープとはどんな病気ですか。

角田:
声帯ポリープは、声帯にできる粘膜の腫れ、炎症からくる隆起ですね。これは“血豆”のようなものです。
声帯ポリープができると、左右の声帯がしっかり閉じなくなって、振動も不規則になりますから声がかれてくるんですね。

――声帯結節はどんな病気なんですか。

角田:
声帯結節は声をよく使う人にできる病気なんですが、これは、使い過ぎによって声帯にできる“ペンだこ”のようなものです。

――声帯ポリープや声帯結節は、どのような症状があるんでしょうか。

角田:
「嗄声(させい)」といって、声がれやしわがれ声になります。症状は、声がガラガラにかすれたり、高音が出ない、いつもは歌えていた歌が歌えなくなってしまったりします。
基本的に使い過ぎによる炎症ですから、ひどくなると声帯のみならず、のど全体に炎症が波及して違和感が出てきます。

――声がかれる症状が出る、ということですが、どれくらいの期間続くと注意が必要でしょうか。

角田:
普通、2~3日でそういう炎症が取れて元に戻るんですけども、1~2週間続いていたり、のどが痛いなど風邪と似たような症状が出てきたら、耳鼻咽喉科を受診していただければと思います。

――どういった方が、声帯ポリープや声帯結節になりやすいんでしょうか。

角田:
学校の先生、特に声を出す保育士さんや幼稚園の先生、営業で声をさかんに使う人、とにかく日常的に声をたくさん使う人はリスクが高いです。
また、スポーツの応援やコンサートなどで、ふだん大きな声を出さない人が急に大きな声を出したりすると、声帯ポリープができることがあります。

――声帯ポリープや声帯結節ができてしまったら、どうしたらいいでしょうか。

角田:
声の酷使、使い過ぎが原因なので、まずは発声を控え、声を出さないなど、のどを使わないようにすることです。同時に、正しい発声を身につけることも大切です。
それから、同じ嗄声でも、ポリープなどが原因ではない病気も潜んでいるので、注意してください。

――治療はどのように行われるんでしょうか。

角田:
吸入器での加湿、消炎剤や薬を服用します。しかしながら、気道をふさいだりするような大きなポリープの場合は早めに手術をする必要があります。最近では内視鏡の発達で、外来で、ファイバースコープを使い局所麻酔でとる場合もありますけれども、一般的には、全身麻酔にはなりますが顕微鏡手術をしたほうが確実です。

重大な病気が隠れていることも

――声がれには、どんな病気が潜んでいるんでしょうか。

角田:
声帯ポリープと思ったら、実は声帯のがん、喉頭(こうとう)がんの場合もあります。その前、嗄声の段階ならば、早期発見で治癒の可能性が高いです。2週間続いたら、ほかに症状がなくてもぜひ耳鼻咽喉科にかかってください。喉頭のがんのみならず、その声がれが脳血管障害や動脈りゅう、肺がん、食道がん、甲状腺がん、縦郭(じゅうかく)のがんなど、予想外の病変が早く見つかる場合もございます。さらに痛みやえん下障害が加わってきたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

――声がかれる症状の裏には、重大な病気が隠れている場合もあるんですね。

角田:
そうです。そのほか「声帯萎縮」という病気があります。声がれのほかに、ふんばれない、疲れやすい、むせやすい、うまくたんを吐き出せない、そういうような症状がございます。

声帯を鍛えて萎縮を予防する体操

――声帯の萎縮を予防するためには、どうしたらいいでしょうか。

角田:
声帯も筋肉ですから、鍛えて萎縮を予防する体操があるので、やってみましょう。
● 1から10の数字を唱えていただきます

■ 胸の前で両手を合わせてください
■ 左右の手を押し合う瞬間に「いちっ」などと短く区切って発声します

――左右の手を押し合う、いちっ。

角田:
にっ。

――にっ。

角田:
さんっ。

――さんっ。

角田:
■ 10まで発声します。これを朝晩2回ずつやってみてください

声帯が鍛えられて筋肉がついてきますから、肺炎の予防につながってまいります。
やってはいけないのは、「い~ち」「に~い」「さ~ん」と伸ばし、力を長く入れてしまうことです。声帯だけではなく、のど全体、咽頭(いんとう)全体も狭くなってきてしまいます。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

角田:
声の使い過ぎには注意。声がれには、重大な病気が隠れていることもあります。


【放送】
2023/11/30 「マイあさ!」

放送を聴く
24/04/04まで

放送を聴く
24/04/04まで

この記事をシェアする

※別ウィンドウで開きます