「尿路結石」②~石はどうしてできる?~

23/03/07まで

健康ライフ

放送日:2022/11/01

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
荒川:荒川孝さん(新百合ヶ丘総合病院 センター長)
聞き手:大久保彰絵 キャスター

「石」は何からできているのか

――前回もお話ししましたが、私、背中の激しい痛みに苦しみました。これがもしかしたら、体の中を通る尿路に石が詰まってしまって起きたかもしれない、ということでしたよね。

荒川: 尿路結石は男性7人に1人、女性15人に1人起きる、最近増えている病気です。尿は、腎臓で作られて直径5㎜ほどの尿管を通り、ぼうこうでためられます。そして尿道を通り、体の外へ排出されます。この、尿の通り道に尿の成分が凝縮され固まった石が詰まるのが尿路結石。こちらが、その実際の結石です。

――(結石を見て)小指の先の関節ぐらいありますよね。こんな大きなものが入っているんですか。表面が結構ざらざらしていて、砂色……ベージュで、軽石のようにも見えますし、何かこう、骨みたいにも見えるんですよね。荒川さん、こんなものが体の中に詰まってたら大変ですよね。

荒川: このような結石が細い尿管などに詰まり、尿の流れを阻害して、結果として結石が尿管の壁を傷つけて、激しい痛みを起こしていきます。また、尿に血液が混ざる“血尿”や、感染を起こして発熱を伴うこともあります。
結果として、度々痛みを起こしたり、血尿や発熱を起こすことがあります。

――そうですか。そもそもこの石は、何でできてるんですか。

荒川: 尿路結石の8割から9割ぐらいは「カルシウム結石」。大久保さんが「骨のように見える」と言ったのはあながち間違いではありません。多くは「シュウ酸カルシウム」と言って、コーヒーや紅茶、お茶、さらにはほうれんそうやキャベツ、ブロッコリーなどに含まれる「シュウ酸」がカルシウムと結合してできてきます。

――シュウ酸というのはどのようなものなんですか。

荒川: あくが強くてえぐみがある食べ物に多く、結石を作る成分としては最も強力です。シュウ酸自体は栄養学的な価値は全くありませんが、先ほど申しましたようなコーヒー・紅茶・緑茶、ほうれんそう・キャベツ・ブロッコリー・レタス・さつまいも・たけのこ・なす・小松菜など、ある種の食品に多く含まれています。味覚では苦く感じます。

――では、注意するのはこのシュウ酸だけでいいんでしょうか。

荒川: 「尿酸」にも注意が必要となってきます。プリン体が含まれるものを食べたり、肥満などがあって栄養素がうまく代謝できないと、尿酸が増えてきます。高尿酸血症や痛風の人は尿路結石にも注意してほしいと思います。

――こうした石ができると、必ず詰まってしまうものなんでしょうか。

荒川: 腎臓で結石ができても動かない結石もありますが、尿管に移動した結石で5㎜以下であれば、70%は自然に排出されます。

肥満やメタボ体型、糖尿病や高血圧などの「生活習慣病」があると、尿路結石と合併しやすくなってきます。これは、肥満やメタボの背景には食べ過ぎや糖分・脂質のとり過ぎがあるからです。尿路結石ができたということは、危険度が一段進んだということを理解してほしいです。

尿路結石になると必ず痛みが起きるのか

――生活習慣については次回、そして食べ物については4回目に詳しく伺います。ところで荒川さん、この尿路結石というのは必ず痛みが起きるものなんでしょうか。

荒川: はい、いい質問だと思います。尿路結石でも、痛みなどの自覚症状がないものもあります。これを「サイレントストーン」といいます。これは、腎臓の中やぼうこうの中に石があり、無自覚のまま石が成長して、腎臓やぼうこうを埋め尽くすこともあります。そうなってきますと、尿が出なくなったり、血液の老廃物をろ過できなくなったり、腎臓の障害や敗血症など命に関わる病気につながることもあります。自覚症状がないからといって放置すると危険です。

――怖いですよね。これ、検診ですとか人間ドックで発見できないものなんですか。

荒川: 検診ではですね、胸のⅩ線写真を撮ってもおなかの写真を撮ることは少なくて、発見されないことがあります。また人間ドックでも、おなかの超音波検査をするのはまれです。健康診断や人間ドックではなかなか発見されないのが現状です。自覚症状のない尿路結石を見つけるには泌尿器科を受診し、詳しい検査を受ける必要があると思います。

――その、尿路結石の詳しい検査というのはどういうものなんでしょうか。

荒川: まずは血液の検査、それから尿の検査で腎臓の機能などをチェックします。さらにはⅩ線の写真、超音波など画像検査で石の有無を確認します。病院の規模によりますけれども、半日あれば大体全ての検査が終わり、結石の有無が分かるので、早めに検査を受けていただきたいと思います。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

荒川: 尿路結石には自覚症状がないものもあります。泌尿器科で一度相談を。

【放送】
2022/11/01 マイあさ! 「健康ライフ」 荒川孝さん(新百合ヶ丘総合病院 センター長)

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