【出演者】
荒川:荒川孝さん(新百合ヶ丘総合病院 センター長)
聞き手:大久保彰絵 キャスター
シュウ酸の多い野菜を食べるとき、おすすめの調理法は?
――コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるシュウ酸、そして、ビール・アルコールの摂取で増える尿酸は、尿路結石の原因になるということでしたよね。
荒川: | はい。特にシュウ酸はカルシウムと結合しやすく、結石のいちばんの原因となってきます。尿路結石の80%から90%がシュウ酸とカルシウムが結合したものです。シュウ酸が多く含まれるのはコーヒー・紅茶・緑茶だけではありません。ほうれんそう・キャベツ・ブロッコリー・レタス・さつまいも・たけのこ・なす・小松菜などにも多く含まれてきます。特にほうれんそうにはシュウ酸が多いといわれております。 |
---|
――そうなんですか。今おっしゃったものは健康によさそうな野菜というイメージで、私もよく食べてるんですけれども。
荒川: | イメージ的にはそういうことなんですけれども、ではここで、クイズです。シュウ酸の多い野菜を食べるときに、おすすめの調理法があります。次のうちどれでしょう。 ● 炒める ● 焼く ● ゆでる |
---|
――うーん、どうでしょうね。ほうれんそうとかブロッコリーだったらゆでますし、キャベツやなすは炒めたりしますよね。さつまいもは焼きますしね。どうでしょうか。荒川さん、えーと……私、「焼く」だと思います。
荒川: | 残念でした。正解は、「ゆでる」です。 |
---|
――ゆでる、なんですか。えっ、どうしてゆでるといいんですか。
荒川: | シュウ酸は水に溶けやすい性質を持っています。ゆでることでゆで汁にシュウ酸が溶け出すため、野菜のシュウ酸が少なくなります。注意としましては、シュウ酸が溶け出したゆで汁は摂取しないこと。それから、ほうれんそうのみそ汁などにするときには、別ゆでしたほうがいいでしょう。もう1つ、シュウ酸を減らすポイントがあります。それは、カルシウムと一緒に食べることです。 |
---|
――えっ。カルシウムと一緒に食べることですか。確か、シュウ酸はカルシウムと結合して石を作るんでしたよね。
荒川: | 腸の中でシュウ酸とカルシウムが適切に交わりますと、結合体を作って便から体の外へ出されるので、体の中に吸収されなくなるわけです。尿管と違いまして、腸は太いので問題がないのです。そして、ほうれんそうを湯がいておひたしにして、カルシウムの多いかつお節をかけるというのは、実は尿路結石予防として非常に理にかなっていることなんです。そのほか、たけのこにも煮物のときにはかつお節を入れる。こうしたシュウ酸とカルシウムを組み合わせる料理は、日本古来から多かったんです。 |
---|
――そうなんですね。そのほかにおすすめってありますか。
荒川: | キャベツやブロッコリーなどは、牛乳やチーズを入れたクリーム煮にするといいでしょう。小松菜は、ちりめんじゃこと炒め物にする。また、コーヒーや紅茶を飲むときにはミルクを入れるのもいいと思います。 |
---|
注意が必要な食べ物は?
――そうですか。ちょっとこれから試してみようと思います。そのほか、何か注意が必要なものはありますか。
荒川: | ビールなどプリン体の多いもの、肉類など動物性タンパク質が多いものには注意が必要になってきます。また、ナッツ類、チョコレート、ポテトチップスなども挙げられます。 |
---|
――ナッツ、チョコレート、ポテトチップス。私、どれも好きでよく食べるんですけれど、なぜ注意が必要なんですか。
荒川: | これら、ピーナッツ・アーモンド・チョコレート・ココアなどナッツ類はですね、シュウ酸を多く含む食べ物となってきます。しかも1袋を1晩で食べてしまうような、一度に大量に食べがちなものですので結石に直結してしまいます。また、ポテトチップスは揚げるときに油が含まれますし、結果、シュウ酸を増やしてしまう。塩分も多くて、肥満も心配となってきます。 |
---|
――いやあ、そうですか。“一気に1袋”って経験があるんですけれど、ちょっとこれから怖くて食べられなくなりそうですね。
荒川: | まあ、食べ過ぎなければ大丈夫です。食べ過ぎの自覚がある方は、控えましょう。 |
---|
――では反対に、できるだけ積極的にとったほうがいいものってありますか。
荒川: | 残念なんですが、石を作りにくくするものとしては、はっきりと推薦できるものはございません。とにかくこまめに水分をとること。夜、食べ過ぎるのはよくありません。3食の内容をバランスよくとることが重要となってきます。 |
---|
――では、荒川さん、最後にきょうのポイントをお願いします。
荒川: | 尿路結石の予防には、こまめに水飲み、夜の食べ過ぎに注意です。 |
---|
【放送】
2022/11/03 マイあさ! 「健康ライフ」 荒川孝さん(新百合ヶ丘総合病院 センター長)
この記事をシェアする