旧統一教会の関連団体 自民党議員と「推薦確認書」取り交わす

「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関連団体が、国政選挙の際に複数の自民党の国会議員と、憲法改正や家庭教育支援法の制定に取り組むよう記した「推薦確認書」を取り交わしていたことが関係者への取材でわかりました。

確認書を取り交わしていたのは、旧統一教会の関連団体、「世界平和連合」です。

団体の関係者によりますと、確認書には▼憲法改正のほか、▼家庭教育支援法や青少年健全育成基本法の制定に取り組むことなどが書かれていて、議員が署名をする書式になっているということです。

国政選挙の際に、世界平和連合の各都道府県の事務局長が、事務所を回って複数の自民党の国会議員と取り交わしていたということで、「自民党が掲げている政策に平和連合として賛同するという意味合いがある」としています。

確認書に書かれている政策は、いずれも教会側の思想に近い内容ですが、これについて世界平和連合は、「平和連合の独立した意思に基づいて、政治信条が一致する個々の政治家から署名をもらっているが、縛りがあるものではなく『政策協定』ではない。団体が個々の候補者を応援することは問題ない」としています。

「推薦確認書」の文言とは

NHKは「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関連団体が、国政選挙の際に、自民党の国会議員の1人と取り交わしていた「推薦確認書」の写真を自民党の国会議員関係者から入手しました。

推薦確認書では、
▼「憲法を改正し、安全保障体制を強化すること」。
▼「家庭教育支援法と青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組むこと」。
▼「同性婚合法化などに関しては慎重に扱うこと」。
▼「『日韓トンネル』の実現を推進すること」。
▼「国内外の共産主義勢力などの攻勢を阻止すること」とした、5つの
項目をあげています。

その上で「以上の趣旨に賛同し、平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会するとともに、基本理念セミナーに参加する」と明記しています。

自民 斎藤洋明衆院議員 旧統一教会関連団体の推薦確認書に署名

自民党の斎藤洋明衆議院議員は10月20日夜、国会内で記者団の取材に応じ、去年の衆議院選挙の際、旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名していたことを明らかにしました。

斎藤氏は「政策がすべて合致するわけではなかったが、おおむね方向性が確認できたのでサインをした。旧統一教会が社会的に問題になった団体だということは認識していたが、現在の団体については問題ないという認識で支援を求めた。しかし、認識が間違っていたと大変反省している」と述べました。

そのうえで「政策や政治活動への影響はなかったと説明していくとともに、今後はつきあわないことをしっかりと示していきたい」と述べました。

斎藤氏は自民党が先月公表した調査結果で「選挙の際、教会側から組織的な支援などを受けていた」議員として、氏名が公表されていました。

旧統一教会幹部「関連団体 組織としてやっているのでないか」

「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関連団体が、国政選挙の際に複数の自民党の国会議員と「推薦確認書」を取り交わしていたことについて、旧統一教会の幹部は、20日の会見で「関連団体が組織としてやっているのではないか」と述べました。

旧統一教会が本部で開いた記者会見で、勅使河原秀行教会改革推進本部長は、政府が「質問権」の行使を表明していることについて、「仮に文化庁から質問が来た際には誠実に対応します。質問権の行使にかかわらず教会改革を粛々と続けて参りたい」と述べ、全国に68人いる教区長のうち20人を宗教2世に切り替えるなどの新たな対策を発表しました。

解散命令の要件について政府が国会答弁を修正したことについては、「1日で方針が変わることはびっくりしたが、一喜一憂せずに粛々に改革を進めるべきだと思う」と述べました。

また、関連団体の「世界平和連合」が国政選挙の際に、自民党の議員と「推薦確認書」に取り交わしていたことについては「関連団体が組織としてやっているのではないか。2、3年くらい前だと思うが信徒が政治家を応援する際、熱心に手伝っている苦労が無駄になるのはさみしいので、思想や理念が一致しているとどのように確認しているのか聞いたことがある。私も書面を見ていいのではないかと思った」と述べました。

さらに、元妻が旧統一教会の信者で、多額の献金で家庭が崩壊したと訴えている高知県の男性が、事前に断ったにもかかわらず勅使河原氏に訪問されたと抗議していることについては、「男性の訴えとは異なる点がある」として元妻のインタビュー映像を流したうえで、「真実は分からないが、男性と元妻の話は言っていることがあまりに違う。アポ無しで伺ったことは申し訳なかったと思うので、2度としませんが、言論を封殺するために圧力をかけたという主張は全く違います」と述べました。

岸田首相「自民党の政策決定に影響与えず」

岸田総理大臣は、参議院予算委員会で「選挙においてはさまざまなアプローチ、推薦などの接点がある。それが自民党の取りまとめの中にどう反映されているのかがポイントであり、当該議員はしっかり説明責任を果たさなければならない」と述べました。

一方で、「一議員に対するアプローチが自民党の政策決定全体に影響を与えるシステムにはなっておらず、選挙における接点が影響を及ぼすことはないと確信している」と述べました。

松野官房長官「政府として調査する立場にない」

松野官房長官は、午前の記者会見で「報道については承知しているが、個々の議員の政治活動に関わることであり、政府として調査する立場にはない。政党における政策決定についても、政府としてコメントすることは控えたい」と述べました。

その上で「政府における旧統一教会との関係については、各閣僚などが、それぞれ点検し、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底することにしている」と述べました。

立民 長妻政調会長「自民党 政策見直し必要では」

立憲民主党の長妻政務調査会長は、記者会見で「自民党が『関係を断ち切る』と明言した団体が政策をゆがめていたとすれば、その政策を見直す必要がでてくるのではないか。自民党の党内調査で、『推薦確認書』の報告が上がっていないのであれば、調査がおかしかったと言わざるを得ない」と述べました。

共産 志位委員長「深刻な癒着関係 底なし」

共産党の志位委員長は、記者会見で「自民党と旧統一教会との深刻な癒着関係がいよいよ底なしだ。自民党の調査では、こういう問題は一切出てこないので、接点を自己申告させる、議員任せのやり方ではだめだ。自民党や政府の責任で、全貌を明らかにすることを強く求めたい」と述べました。

また、岸田総理大臣が、宗教法人に対する解散命令を請求する要件についての答弁を修正したことについては「野党の追及が相手を追い詰めたということだが、本当にお粗末で、右往左往の対応だ。民事も含めると言った以上、解散命令の請求をやらない理由はもうない。ただちに請求すべきだ」と述べました。

弁護士「実質的な『国教化』図るもの」

旧統一教会の元信者などの支援活動をしている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の阿部克臣弁護士は、立憲民主党などが開いた会合で「旧統一教会の教えを少しずつ国や地方の政策に浸透させていき、実質的な『国教化』を図るものだ」と指摘しました。

その上で「ジェンダーに関する法整備など、立法や政策への影響を検証し、ゆがんでいれば正していくことが必要だ」と述べました。