“コシヒカリ発言”を撤回し
謝罪 静岡 川勝知事

静岡県の川勝知事は先月の選挙の応援演説で御殿場市について「あちらはコシヒカリしかない」などと発言しました。これについて川勝知事は10日夜、市民を傷つけたとして御殿場市長に謝罪し発言を撤回しました。

静岡県の川勝知事は、先月行われた参議院静岡選挙区の補欠選挙の応援演説で、対立候補が御殿場市長を務めていたことに関連し「あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている」などと発言しました。

これについて川勝知事は10日夜、御殿場市の勝又正美市長らと面会し「御殿場市民を傷つけたことに心から謝ります」と述べ、謝罪して発言を撤回しました。

このあと川勝知事は記者団に対し「私の発言で不快に思われ、傷ついた方や心配された方に誠に申し訳なく思っております。ごめんなさい」と述べました。

そのうえで「知事として差別する考えは持っていない。選挙の応援弁士として選択を迫るスタンスでの話だった」と述べました。

御殿場市民が知事の辞職請願書提出

これに先立ち川勝知事は9日、臨時の記者会見を開き、誤解であり、対立候補の農業への見方や政策を選挙戦の中で批判する趣旨だったと釈明しました。

これについて、御殿場市に住む自営業の嶋田康一さんが10日午後、静岡県庁を訪れ、県議会の最大会派「自民改革会議」の議員を通じて知事の辞職を求める請願書を議会に提出しました。

嶋田さんは「知事の発言は一市民として大きな怒りを覚えた。私と同じ思いの市民は多いと感じている。9日の会見も謝罪にはなっておらず、言い訳にしか聞こえなかった」と話していました。
請願書は、12月の定例会で審議される見通しです。

県広聴広報課によりますと、県には知事の発言に対する電話やメールが9日までに561件寄せられ、ほとんどが批判や苦情など否定的な意見だということです。

川勝知事の応援演説

「こちら、食材の数でも439ある静岡県のうち3分の2以上がここにある。あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている。こちらにはウナギがある。これからカキも出てくる、シラスもある。そして三ヶ日みかんもある、肉もある野菜もあるタマネギもある。なんでもある、もちろんギョーザもある、そういうところでですね、育んできたこの青年を選ぶのか、はっきりしています」

そして演説の終盤には、産業についてこう述べました。
「浜松、遠州、その中心、ここ、経済がここが引っ張ってきた。あちらは観光しかありません。それしか知らない人間、そんな人間がですね、静岡県全体の参議院議員になって、どうするんですか。ダメです」