沖縄のサンゴ移植許可撤回に
防衛相“取り消し求め請求”

アメリカ軍普天間基地の移設工事をめぐり、沖縄県がサンゴの移植作業の許可を撤回したことについて、岸防衛大臣は、移植はサンゴの保全に十分配慮して適切に行われているとして、農林水産大臣に撤回の取り消しを求める審査請求と、効力の執行停止を申し立てたことを明らかにしました。

普天間基地の名護市辺野古への移設工事をめぐり、沖縄県は、防衛省が埋め立てを予定している海域でサンゴの移植作業を許可しましたが、その後、移植に当たって県が求めていた条件に従っていないとして、7月30日に移植の許可を撤回しました。

岸防衛大臣は、防衛省で記者団に対し「移植は、専門家の助言を踏まえてサンゴ類の保全に十分に配慮して適切に実施されていて、許可を取り消される理由は無い。また、取消処分が聞き取りを伴わない形でなされていて、違法である」と述べました。

そのうえで、県が許可を撤回したことの取り消しを求めて、農林水産大臣に審査請求を行うとともに、撤回の効力の執行停止を申し立てたことを明らかにしました。

また、記者団が、移植作業の再開の時期について質問したのに対し「現在、審査の手続き中で答えは差し控える。普天間基地の一日も早い全面返還を実現すべく、移設に向けた工事を着実に進めていきたい」と述べました。

防衛局が審査請求

沖縄防衛局は2日、農林水産大臣に撤回の取り消しを求める審査請求と撤回の執行停止を申し立てました。

申し立ての理由として、防衛局の移植作業が専門家の助言を踏まえ適切に実施されていることや防衛局から聞き取りをせずに県が撤回したことなどをあげています。

今回、県が許可した翌日、防衛局がすぐに移植作業に着手したことに県が強く反発していて、移設をめぐって県と国の対立が深まっています。

玉城知事「県の正当性主張していく」

沖縄県の玉城知事は、記者団に対し「県としては許可処分を取り消したことは水産資源の保護や培養のため必要であり、関係法令などに基づいた適切な対応だったと考えている。今後、農林水産大臣に対してこのような県の正当性を主張していく」と述べました。

一方、撤回する際、沖縄防衛局から聞き取りを行わなかったことついて、沖縄県は「移植作業が行われていたのがサンゴの数が非常に少ない場所で、場合によっては、週末にも作業が終わることが想定されたので、行政手続法に基づき、公益上、緊急に取り消す必要があるという判断だった」としています。