東京に4回目の緊急事態宣言
分科会に諮問 政府

新型コロナウイルスの感染の再拡大が続く東京都に対し、政府は、7月12日から8月22日まで、4回目の緊急事態宣言を出す方針を専門家でつくる分科会に諮りました。了承が得られれば、8日夕方の対策本部で決定することにしています。

沖縄県を対象にした緊急事態宣言と、東京や大阪など10の都道府県に適用されているまん延防止等重点措置の期限を3日後に控え、感染症などの専門家でつくる政府の「基本的対処方針分科会」が8日午前9時から開かれました。

西村経済再生担当大臣は、東京都については、感染の再拡大に歯止めがかからないことから、今月12日から来月22日まで、4回目となる緊急事態宣言を出すとともに、沖縄県に出されている宣言も来月22日まで延長する方針を諮りました。

今月23日に開幕する東京オリンピックは、開催期間すべてが宣言の時期に含まれます。

そして西村大臣は、東京に宣言を出す理由について「きのうの新規陽性者数が920人となるなど継続的に増加し、最近1週間の10万人当たりの人数も30人を超え『ステージ4』相当になっている。

重症者や入院調整中の人の数も増加し、先手先手で医療提供体制を確保する必要がある」と説明しました。

そのうえで、飲食店に対し、酒類の提供を停止し、営業時間を午後8時までに短縮するよう要請するとして「協力金の先渡しが可能となる仕組みを導入し、支給の迅速化に向けて、必要な取り組みを進めたい」と述べました。

また酒類を販売する事業者に対し、提供停止に応じない飲食店との取り引きを行わないよう要請する考えも示しました。

さらに宣言が出されている地域のイベントの開催制限については、会場の収容定員の50%までか、5000人のいずれか少ない方を上限とし、時間は原則午後9時までとする基準を維持する方針を示しました。

一方、まん延防止等重点措置は埼玉、千葉、神奈川と大阪の4府県では、来月22日まで延長する一方、北海道、愛知、京都、兵庫、福岡の5道府県は、今月11日の期限をもって解除する方針を示しました。

そして重点措置の適用地域でも、原則、酒類の提供停止を要請する方針を示しました。

西村大臣は「デルタ株による感染拡大とワクチン接種のスピード競争という状況の中でワクチン接種を着実に進める。ワクチンが行き渡るまで、命や健康を守ることを第一に、先手先手で機動的に対策を講じ感染拡大を抑えていきたい」と述べました。

政府は、こうした方針について了承が得られれば、国会への事前の報告と質疑を経て、午後5時から開かれる対策本部で決定することにしています。

田村厚労相「今回で何とか終わりにしたい」

田村厚生労働大臣は、分科会の会合で「『デルタ株』が全国平均で7% 東京ではもう14%置き換わってきており、 スピードがかなり早い。緊急事態措置は今回で何とか終わりにしたいという思いを持ちながら ワクチンの接種を進め、国民と思いを1つにして、コロナと戦っていきたい」と述べました。

菅首相 8日午後7時をめどに会見

新型コロナウイルス対策をめぐり政府は、8日午後5時から対策本部を開き、その後、午後7時をめどに菅総理大臣が記者会見すると発表しました。
菅総理大臣は記者会見で、感染の再拡大が続く東京都に対し、7月12日から8月22日まで、4回目の緊急事態宣言を出すことなどを説明し、国民に協力を呼びかける見通しです。

東京 緊急事態宣言で“酒提供なし”再要請へ 実効性の確保課題

4回目の緊急事態宣言が出される見通しとなった東京都は、前回の宣言のときと同様に飲食店に酒を提供しないよう要請する方向で調整しています。ただ、たび重なる時短や休業の要請に応じない店も増えていて、実効性の確保が課題となります。

東京都内では、7日、感染確認が900人を超えるなど再拡大に歯止めがかからず、政府は、4回目となる緊急事態宣言を出す方針で、8日の対策本部で正式に決定します。

都は、新たな宣言の期間中に講じる対策として、6月20日までの3回目の宣言のときと同様に飲食店に酒を提供しないよう要請する方向で調整しています。
また、提供しない店には午後8時までの時短営業を求める方針です。

ただ、これまでのたび重なる時短や休業の要請で飲食店の経営はさらに厳しくなっていて、応じない店も増えていることから実効性を確保できるかが課題となります。

また、開幕が2週間後に迫った東京オリンピックは、緊急事態宣言が出されるなかでの開催となる見通しです。

無観客とする案も検討されているものの、都民や事業者に制約を求めるなかで開催の方針を維持することに多くの支持が得られるかは不透明です。