職の局長逮捕は遺憾
深くおわび」戸谷文科次官

文部科学省の局長が東京医科大学への支援事業をめぐって便宜を図る見返りに、受験した自分の息子を不正に合格させたとして逮捕された事件を受けて、文部科学省の戸谷一夫事務次官は、自民党の文部科学部会で陳謝したうえで捜査に全面的に協力する姿勢を示しました。

5日朝に開かれた自民党の文部科学部会で、文部科学省の戸谷一夫事務次官は「現職の局長が逮捕されたことは誠に遺憾だ。文部科学省の信頼を失墜させ、社会をお騒がせいたしたことを深くおわび申し上げる」と陳謝したうえで、実態の解明に向け、捜査に全面的に協力する姿勢を示しました。

これに対し、出席していた議員からは「文部科学省の職員としていちばんやってはいけないことだ」とか、「再就職問題が明らかになり、文部科学省が再発防止に取り組んでいたやさきに発生しており、とんでもないことだ」などと、厳しい批判が相次いだほか、戸谷次官の進退を問う意見も出されました。

部会のあと、部会長を務める赤池誠章参議院議員は記者団に対し、「国民の信用を失墜させたことに対し、文部科学省には説明責任がある。部会として引き続き説明を求めていく」と述べました。

自民議員からは真相究明求める意見

文部科学省の局長が、大学への支援事業をめぐって便宜を図る見返りに、自分の息子を不正に合格させたとして逮捕された事件について、自民党の派閥の会合では、「言語道断だ」として真相の究明などを求める意見が出されました。

このうち逢沢元国会対策委員長は「驚くべき事件であり、言語道断だ。今の国会では財務省をはじめ、いくつかの省庁で、行政の信頼を大きく揺るがす問題が起きたが、さらに国民の不信を買うのは間違いない。科学技術で競争力などを増していこうという『科学技術創造立国』の根幹に関わる事案であるとも言え、より緊張感を持って行政を指導していく必要がある」と述べました。

また、石原元幹事長は「1つの事件が起きるということは、官僚の世界で何かが起こっているということであり、政治のたるみが顕在化している。1人の局長の暴走で終わらせては真相は見えず、政治の責任として、何に問題があるのかをしっかりと見つめ直していく必要があるのではないか」と述べました。

国民 参院文教科学委での審議求める

自民党と国民民主党の参議院国会対策委員長が会談し、国民民主党は、文部科学省の局長が受託収賄の疑いで逮捕された事件を受けて、文部科学省などの対応をただす必要があるとして、参議院文教科学委員会で審議を行うよう求めました。

これに対し自民党は、持ち帰って検討する考えを示しました。

公明 北側氏「極めて遺憾」

公明党の北側・中央幹事会会長は記者会見で「文部科学省の現職局長が収賄事件で強制捜査を受けたことは極めて遺憾と言わざるをえない。捜査や事案の解明に省としてしっかり協力してもらいたい」と述べました。

また北側氏は、野党側がこの問題に関する集中審議を求めていることについて、「国会の対応は現場の委員会で議論されることであり、コメントする立場にない」と述べるにとどめました。

共産 志位氏「魚は頭から腐る」

共産党の志位委員長は、記者会見で「林文部科学大臣の監督責任が厳しく問われる。『魚は頭から腐る』と言うが、安倍総理大臣自身が、『森友・加計疑惑』という重大な『国政私物化疑惑』を指摘され、まともな説明をしてこなかった政治責任もあり、予算委員会などでただしていく」と述べました。