茂木外相が各国外相と会談
G7外相会合に出席

茂木外務大臣は、大型連休に合わせてヨーロッパ4か国を歴訪しました。また、G7=主要7か国の外相会合がおととし4月以来およそ2年ぶりに対面で開かれ、これに合わせて茂木大臣は各国の外相との個別の会談も行いました。

EU議長国スロベニアの外相と会談

茂木大臣は日本時間の30日夕方、最初の訪問国、スロベニアでロガル外相とおよそ1時間会談しました。

茂木大臣は、中国の急速な台頭を念頭に、EU=ヨーロッパ連合が日本などとの経済や安全保障上の関係強化を目指すインド太平洋戦略をまとめる方向となっていることを歓迎する意向を伝えました。

そのうえで、インド太平洋地域の平和と安定に向け、ことし後半のEUの議長国スロベニアとの連携を強化していく考えを示しました。

また両外相は、新型コロナウイルスの感染収束後、日本からスロベニアへの投資拡大を図るとともに、AI=人工知能やサイバーセキュリティーなど最先端の科学技術分野で協力を進めていくことで一致しました。

ボスニア外相と会談 地雷除去など支援強化へ

茂木大臣は、日本時間の1日夕方、訪問先のボスニア・ヘルツェゴビナで、トゥルコビッチ外相とおよそ1時間にわたって会談しました。

この中で、茂木大臣は、旧ユーゴスラビア紛争後、ボスニア・ヘルツェゴビナが地域の安定化に向けて取り組んでいる現状を踏まえ、「日本として、ボスニア・ヘルツェゴビナの主権や国家としての一体性を強く支持する」と述べました。

そして、ボスニア・ヘルツェゴビナの国づくりや諸民族の和解に向けて、医療や教育、紛争で残された地雷の除去などで支援を強化する考えを伝えました。

また茂木大臣は、西バルカン諸国のEU=ヨーロッパ連合への加盟は、結束した欧州の実現に重要だという認識を示したうえで、ボスニア・ヘルツェゴビナのEU加盟に向けた取り組みを後押ししていく考えを伝えました。

このほか、両大臣は、中国を含む東アジア情勢についても意見を交わし、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携を強化していくことで一致しました。

米国務長官と会談 中国や北朝鮮対応などで結束を確認か

イギリスのロンドンを訪れている茂木大臣はG7の外相会合が開幕するのに先立って、日本時間の3日夕方、アメリカのブリンケン国務長官と40分余り会談しました。

この中で、両外相は、先の日米首脳会談の結果も踏まえ、「自由で開かれた
インド太平洋」の実現に向けて日米同盟をいっそう強化し、直面する諸課題に日米で結束して対処していく方針を確認しました。

そして中国への対応をめぐって意見を交わし、東シナ海や南シナ海における
一方的な現状変更の試みに強く反対するとともに、新疆ウイグル自治区の人権状況に対する深刻な懸念を改めて共有しました。

また、台湾海峡の平和と安定が重要だという認識で一致したほか、中国の経済的な台頭を踏まえ、価値観を共有する国々でサプライチェーンを構築していく必要性についても確認しました。

一方、ブリンケン国務長官はアメリカが見直しを終えた対北朝鮮政策について詳細を説明し、これを受け両外相は、国連の安保理決議に沿って、北朝鮮の完全な非核化が実現するよう、日米で緊密に連携していくことを確認しました。

また両外相は、ミャンマー情勢についても協議しミャンマー国軍に対し暴力の停止などを引き続き求めるとともに、ASEAN=東南アジア諸国連合との連携も強化していく方針を確認しました。

米国務省が声明「朝鮮半島非核化へ日米韓3か国が協力し対処」

日米外相会談についてアメリカ国務省は声明を発表し、両外相はインド太平洋地域と世界の平和と繁栄を促進するため日米同盟の重要性を強調したとしています。

また「新型コロナウイルスや気候変動など、世界的な脅威に対処するための日米の協力の重要性を強調するとともに、自由で開かれた法に基づく国際秩序を推進していく」としています。

さらに北朝鮮情勢をめぐり「両外相は核・ミサイル開発に対する懸念を共有し、朝鮮半島の非核化に向けて、日米韓3か国の協力を通じて対処していくことを再確認した」としたうえで、ブリンケン長官は拉致問題の即時解決に向けたアメリカの関与を改めて表明したということです。

両外相はミャンマー情勢をめぐっても、民政の復帰と、軍の責任を問うことが一刻も早く必要であるとの認識で一致したということです。

英外相と会談 インド太平洋地域重視の姿勢を歓迎

茂木大臣は、日本時間の3日夜ラーブ外相と食事をともにしながらおよそ2時間半にわたって会談しました。

この中で茂木大臣は、中国が覇権主義的な行動を強める中、イギリスが外交・安全保障の新たな方針でインド太平洋地域を重視する姿勢を示すとともに、最新鋭の空母などをこの地域に派遣する方針を示していることを歓迎する考えを伝えました。

そのうえで両外相は、防衛分野の技術協力などをめぐって意見を交わし「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、日英間の安全保障分野などでの協力を進めていくことを確認しました。

また、中国をめぐっては「海警法」の施行を含む東シナ海などでの一方的な現状変更の試みや、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況に深刻な懸念を共有し、日英両国や価値観をともにする国々で緊密に連携していくことを確認しました。

英外相 中国の海洋進出や人権問題などへ懸念示す

ラーブ外相がNHKの単独インタビューに応じ、「国際的な外交を対面で行うのは非常に重要なことだ。感染対策には十分気をつけている」と述べ、2年ぶりに行われる対面での会合の意義を強調しました。

そして、中国との関係について、気候変動の分野など建設的な対話ができる分野があると述べる一方で「経済的な利益や、国際的なルールに基づいたシステムを守ること、海洋におけるルールや人権など、中国に対してわれわれの立場をはっきり示すべき分野もある」と述べ、中国の海洋進出や新疆ウイグル自治区における人権問題などに懸念を示しました。

そのうえで「中国は国際社会の主要なメンバーとして責任を果たす必要がある」と指摘し、G7の会合でも意見を交わしていく考えを強調しました。

また、日本については「自由貿易協定の締結や、安全保障面での協力なども進み自然なパートナーだ」と述べ、イギリスが関与を強めるインド太平洋地域で関係を深めていくことに期待を示しました。

カナダ外相と会談 エネルギー安全保障など6分野協力で一致

茂木大臣は、日本時間の3日夜遅くカナダのガルノー外相とおよそ30分会談しました。

この中でガルノー外相が「両国は普遍的価値を共有するインド太平洋国家であり、地域と国際社会の平和と安定に向けて緊密に協力していきたい」と述べたのに対し、茂木大臣も「関係をさらに進展させていきたい」と応じました。

そして両外相は、覇権主義的な行動を強める中国をめぐって意見を交わし、「海警法」の施行を含む東シナ海などでの一方的な現状変更の試みや、香港や新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有しました。

そのうえで両外相は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、法の支配や新型コロナウイルスへの対応、エネルギー安全保障気候変動など、6つの分野で両国間の具体的な協力を進めていくことで一致しました。

G7外相会合が開幕 北朝鮮の完全非核化へ目標堅持などで一致

G7=主要7か国の外相会合は、日本時間の4日未明、イギリスのロンドンで開幕し、ワーキングディナーが行われました。


この中では北朝鮮をめぐって意見が交わされ、アメリカのブリンケン国務長官が対北朝鮮政策の見直しについて説明しました。

そして北朝鮮の完全な非核化に向けて、すべての大量破壊兵器やあらゆる射程の弾道ミサイルのCVID=完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄の実現という目標を堅持することや、国連の安保理決議の完全な履行が不可欠だという認識で一致しました。

また茂木大臣は拉致問題の早期解決への理解と協力を求め、各国の外相が支持を表明しました。

茂木大臣は記者団に対し「対北朝鮮政策の見直しで、アメリカが日韓両国との緊密な連携を重視しながら取り組みを進めていることを支持し、歓迎する。引き続き日米韓3か国で緊密に連携していきたい」と述べました。

G7外相会合2日目 茂木外相 中国に深刻な懸念表明

G7の外相会合は日本時間の4日夕方から2日目の議論が行われ、中国やミャンマーなど地域情勢をめぐって意見が交わされました。

この中で茂木大臣は覇権主義的な行動を強める中国について「海警法」の施行を含め、東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みが継続・強化されているとして深刻な懸念を表明しました。

また香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況にも同様の懸念を示し「G7をはじめ国際社会が一致したメッセージを出すことが重要だ」と指摘しました。

さらに緊迫化するミャンマー情勢をめぐって、茂木大臣は先のASEAN=東南アジア諸国連合の首脳級会議で平和的な解決に向けて対話を仲介するなどとした議長声明が発表されたことを歓迎するとしたうえで、G7がASEANの取り組みを支持し緊密に連携して対応する必要性を強調しました。

独外相と会談 安全保障面での連携強化を確認

茂木大臣は日本時間の4日夜、ドイツのマース外相とおよそ30分会談しました。

この中で茂木大臣はドイツ政府が去年取りまとめた外交や安全保障などの指針に基づき、ことし夏にドイツ軍のフリゲート艦をインド太平洋地域に派遣することを歓迎する意向を伝えました。

そのうえでフリゲート艦と海上自衛隊の共同訓練の実施を調整するなど、両国の安全保障面での連携をさらに強化していくことを確認しました。

また茂木大臣は北朝鮮による拉致問題の早期の解決に向けた理解と協力を求め、マース外相はこれを支持する考えを示しました。

EU外交担当にワクチンの円滑な輸出継続を要請

茂木大臣は、日本時間の4日夜、EU=ヨーロッパ連合で外交を担当するボレル上級代表とおよそ20分会談しました。

この中で茂木大臣は新型コロナウイルスの日本向けのワクチンについて、EUがワクチン輸出を許可制にしていることを踏まえ、円滑な輸出を継続してほしいと要請しました。

これに対しボレル氏は「今後とも輸出が円滑に進むようにしたい」と応じました。

そのうえで両氏は、発展途上国でのワクチン普及に取り組む国際団体「Gaviワクチンアライアンス」と日本の共催で来月開く「ワクチンサミット」の成功を目指すことを含め、新型コロナウイルス対策で協力していくことで一致しました。

また両氏は中国による東シナ海などでの一方的な現状変更の試みに深刻な懸念を共有し、茂木大臣は、先にEUが日本などとの関係強化を目指すインド太平洋戦略をまとめることで合意したことを歓迎する考えを伝えました。

G7 “ASEANとの連携強化を”

G7の外相会合は日本時間の5日、2日目のワーキングディナーが行われ、ゲストとして招待された韓国、オーストラリア、インド、南アフリカ、それにASEANのことしの議長国、ブルネイの外相も出席しました。

この中でイギリスのラーブ外相は「5か国の外相を歓迎したい。これらの国の招待はイギリスがことしのG7議長としてインド太平洋地域への関与を重視している姿勢の表れだ」と述べました。

また茂木外務大臣も「インド太平洋地域の重要性について国際社会の関心が高まる中、イギリスがこれらの国を招待したことは時宜を得ている」と述べました。

そして茂木大臣はASEANがおととしインド太平洋地域に関する独自構想を打ち出したことに触れ「G7各国がASEANへの関与を強化していくことは重要だ」と述べ「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、G7とASEANの連携を強化する重要性を訴えました。

仏外相と会談 東京 パリの五輪・パラ成功へ緊密連携で一致

茂木大臣は、日本時間の5日未明、フランスのルドリアン外相とおよそ20分間会談しました。

会談で両外相は、覇権主義的な行動を強める中国について意見を交わし、東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みや、香港情勢、新疆ウイグル自治区の人権問題について深刻な懸念を共有しました。

また、茂木大臣は、フランスが近年、インド太平洋地域への関与を強化していることを高く評価する意向を伝え、両外相は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力の具体化に取り組むことを確認しました。

そして、両外相は、ことし夏の東京オリンピック・パラリンピックと、3年後の2024年のパリオリンピック・パラリンピックの成功に向け、緊密に連携していくことで一致しました。

日米韓外相会談 北朝鮮非核化へ緊密に連携して対応を確認

茂木大臣、アメリカのブリンケン国務長官、韓国のチョン・ウィヨン(鄭義溶)外相による日米韓3か国の外相会談が、G7の外相会合が行われているイギリスのロンドンで、日本時間の5日午後4時すぎからおよそ1時間行われました。

バイデン政権の発足後、3か国の外相会談が行われるのは初めてです。

この中では、北朝鮮への対応をめぐり集中的に意見が交わされ、冒頭、ブリンケン国務長官が先に見直しを終えたアメリカの対北朝鮮政策の内容を詳しく説明しました。

これについて、茂木大臣はアメリカ政府が政策の見直しにあたって朝鮮半島の完全な非核化を引き続き目標とし、同盟国の安全確保のための取り組みを強化するとしていること、そしてアメリカが日韓両国との緊密な連携を重視しながら取り組みを進めていることを支持し、歓迎する考えを伝えました。

また、茂木大臣は拉致問題の解決に向けた理解と協力を求め、ブリンケン国務長官とチョン外相は、支持する考えを示しました。

そのうえで、3氏は北朝鮮の完全な非核化に向けて、北朝鮮に対し、国連の安保理決議のもとでの義務に従うよう求めていくことで一致し、今後、北朝鮮政策を具体的に進めるうえで、日米韓3か国で緊密に連携していくことを確認しました。

アメリカ国務省「3か国の結束を促進」

日米韓3か国の外相会談についてアメリカ国務省は声明を発表し「3か国の結束を促進するとともに、北朝鮮の核・ミサイル開発に関する共通の懸念について意見を交わした」としています。

そのうえで、会談で3か国の外相は北朝鮮の非核化に向けた日米韓の連携を改めて確認し、北朝鮮に対する国連安保理決議の着実な履行を目指すことで一致したということです。

韓国外相と初会談 慰安婦問題や「徴用」めぐり平行線

茂木大臣は、日本時間の5日午後5時から韓国のチョン・ウィヨン外相とおよそ20分間会談しました。

ことし2月に就任したチョン外相とは初めての会談となります。

この中で茂木大臣は、慰安婦問題をめぐり韓国の裁判所が日本政府に賠償を命じたことし1月の判決について、韓国側の責任で適切な措置を講じるよう改めて強く求めました。

また、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題について、「日本企業の資産を差し押さえて売却する『現金化』は絶対に避けなければならない」と述べ、受け入れ可能な解決策を早期に示すよう強く求めました。

これに対し、チョン外相は従来の韓国側の立場に基づく説明にとどまり、平行線をたどりました。

また、茂木大臣は福島第一原発のトリチウムなどを含む処理水を海に放出する方針に関し、今後、韓国側に必要な情報提供などを継続していくとしたうえで、処理水をめぐる韓国側の対外発信の在り方に懸念を示しました。

一方、北朝鮮への対応をめぐり、両外相は地域の安定にとって日韓、日米韓の協力が重要だという認識で一致しました。

そのうえで、両外相は日韓関係を健全な関係に戻せるよう、外交当局間の意思疎通を継続していくことで一致しました。

韓国外務省の発表は

日韓外相会談についての韓国外務省の発表によりますと、双方は、北東アジアや世界の平和と繁栄のために緊密に協力することの必要性に共感し、両国の関係を未来志向的に発展させていくことで一致したということです。

一方、慰安婦問題をめぐり、韓国の裁判所が日本政府に賠償を命じた判決や太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で日本側が立場を説明したのに対し、チョン・ウィヨン外相は、日本側の正しい歴史認識なしに過去の問題は解決されないと強調したということです。

日本政府が福島第一原発で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を国の基準を下回る濃度に薄めて海に放出する方針を決めたことをめぐっては、周辺国と事前に十分な協議がなかったとして深い憂慮と反対の立場を明確に伝えたとしています。

そのうえで、双方は、両国間の懸案を解決するため、緊密な対話と意思の疎通を続けていくことにしたということです。

G7外相会合最終日 新型コロナ対策などで意見交換

G7の外相会合、最終日の3日目の会には、議長国のイギリスがゲストとして招待した韓国、オーストラリア、インド、南アフリカ、それにASEAN=東南アジア諸国連合のことしの議長国ブルネイの外相も加わり、新型コロナウイルス対策や気候変動など国際社会の喫緊の課題をめぐって意見が交わされました。

このうち、新型コロナウイルス対策では各国の感染状況やこれまでに得られた経験や知見を共有するとともに、ワクチンの円滑な供給や途上国への公平な分配に向けた協力を確認するものとみられます。

また、気候変動をめぐっては、先月の「気候変動サミット」で各国の目標や取り組み状況が示されたことを踏まえ、いずれもイギリスで開かれる来月のG7サミット=主要7か国首脳会議やことし11月の地球温暖化対策の国連の会議、COP26に向けた連携の在り方を協議するものとみられます。

ゲスト参加のインド外相はオンライン出席に

G7の外相会合で、ゲストとして参加しているインドの代表団2人が新型コロナウイルスの検査で陽性が確認されました。

これを受けてインドの外相は、最終日の会合への対面での参加を見送り、オンラインで出席することになりました。

複数の関係者によりますと、ロンドンで開かれているG7の外相会合で、ゲストとして参加しているインドの代表団2人が、新型コロナウイルスの検査で陽性が確認されたということです。

インドのジャイシャンカル外相は日本時間の5日午後5時ごろツイッターに「昨夜、新型コロナウイルスに陽性反応を示した可能性のある人たちとの接触が明らかになった。ほかの参加者への配慮からオンラインで職務にあたることを決めた。きょうのG7の会合でもそうする」と投稿し、最終日の会合には対面で参加せずオンラインで出席すると明らかにしました。

イギリス外務省の関係者は「ジャイシャンカル外相が対面での会合に参加できないのは非常に残念だが、オンラインでは参加する」とコメントしています。

イギリス政府は、外相会合の期間中、出席者に毎日、検査するよう求めているほか、マスクの着用や十分な距離をあけることなど感染対策を徹底しています。

G7外相会合 共同声明で中国を強くけん制

G7の外相会合は、3日間の日程を終えて日本時間の6日未明に閉幕し、議論の成果を盛り込んだ共同声明を採択しました。

それによりますと、中国について、東シナ海や南シナ海などへの進出を批判し、ルールに基づく秩序を損ないかねない一方的な行動に強く反対するとしています。

そして香港情勢、新疆ウイグル自治区やチベットにおける人権侵害に懸念を表明し、中国に対し人権や基本的自由を尊重するよう求めています。

また台湾をめぐる問題について「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記し「両岸問題の平和的解決を促す」としているほか、台湾のWHO=世界保健機関の年次総会への参加を支持する意向を表明しています。

さらに中国の貿易や投資の分野で不公正な慣行があるとして、国際的な経済的役割にみあった義務と責任を果たすべきだと指摘しています。

そのうえで法の支配などに基づく「自由で開かれたインド太平洋」を維持する重要性を強調し、ASEAN=東南アジア諸国連合などと協力していくとしています。

ことしの外相会合では、各国の外相が中国についてさまざまな懸念を指摘したことを受け、共同声明も中国を強くけん制する内容となりました。

このほか北朝鮮の非核化に向け、すべての大量破壊兵器や弾道ミサイルのCVID=完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄の実現という目標を堅持し、拉致問題については北朝鮮に対し即時に解決するよう求めるとしています。

緊迫化するミャンマー情勢をめぐっては、軍によるクーデターを「最も強いことばで非難する」としていて、軍が方針を転換しない場合は、さらなる措置をとる用意があるとしています。

さらにロシアについて、ウクライナ東部の国境地帯やクリミア半島で軍の部隊を増強させていることなどに触れ「ロシアの無責任かつ不安定化を招く負の行動パターンの継続を深く懸念する」としています。

このほか、新型コロナウイルス対策について、ワクチンや治療、診断への公平なアクセスの確保を支持するとしていて、発展途上国でのワクチン普及に取り組む国際団体「Gaviワクチンアライアンス」と日本の共催で、来月開かれる「ワクチンサミット」の成功への期待を表明しています。

茂木外相「G7連携の意義改めて強く実感」

茂木大臣は、G7の外相会合の閉幕後、オンラインで記者団に対し「外相間できたんなく、率直な議論を行い、G7が結束して国際社会をリードしていく決意を確認した。基本的な価値や原則を共有するG7の連携の意義を改めて強く実感した」と述べました。

そのうえで「中国についてはG7各国ともに関心が高く、さまざまな側面から発言があった。議論を通じて、中国に対して主要な経済国としてルールに基づく国際システムに建設的に参加するよう求めることで一致した」と述べました。

一方、茂木大臣は、韓国のチョン・ウィヨン外相との会談について「初めてお会いしたが、日韓関係をこのままにしておいてはいけないという認識を共有することができた。今後、韓国側がどう対応していくか、さまざまな形でやり取りを進めていきたい。外相間でも率直な意見交換を行っていきたい」と述べました。