緊急事態宣言
11都府県に拡大

菅総理大臣は、大阪、愛知、福岡など合わせて7つの府県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく、緊急事態宣言を出しました。
期間は来月7日までで、これによって宣言の対象地域は11の都府県に拡大されます。

西村大臣 宣言の全国拡大には否定的

緊急事態宣言の対象地域の追加を前に、衆議院内閣委員会で閉会中審査が行われました。感染を防ぐため、質問者と答弁者の間に透明の板が設置されました。

この中で、立憲民主党の今井雅人氏は「去年の段階で手を打っておけばここまで爆発的な拡大は防げたはずで、対応に遅れがあったのではないか」とただしました。

これに対し、西村経済再生担当大臣は「夜の外出自粛などを呼びかけてきたが、12月は飲食の機会が活発になり、感染の拡大傾向が止まらなかった」と述べました。

そして、「国や地方自治体、事業者、国民の努力で一体となって取り組めば必ず感染者は減少傾向にできる」と述べました。

また、西村大臣は今後、宣言の対象地域を全国に拡大する可能性を問われ、「最初から幅広く宣言を出して一気に抑えることは一般的な危機管理の手法としてはありえるが、法律では私権の制約を最小限にするよう規定されている。たとえば、東北などかなり感染を低く抑えている地域まで対象とするかは慎重に考えなくてはならない」と述べ、否定的な見解を示しました。

一方、西村大臣は宣言の発出にあたっては、都道府県知事の要請は条件にならないという認識を示しました。

専門家会合 「大都市で抑制せねば地方の感染抑止困難」

緊急事態宣言の対象地域の拡大を前に、新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が、13日午前、開かれました。

会合では最新の感染状況について議論が行われ、全国の感染状況について「首都圏では、東京での急速な感染者数の増加に伴って、年末から増加傾向が強まり、過去最多の水準の更新が続いている。また、年明けからは、中京圏や関西圏、北関東、九州でも感染者が急増している」と指摘しました。

そのうえで「大都市圏の感染拡大は、地方での感染の発生にも影響していると考えられ、大都市での感染を早急に抑制しなければ、地方での感染を抑えることも困難になる」と分析しました。

また、医療の提供体制については入院調整が困難なケースや、高齢者施設などで入院待機をするしかないケースが増えてきていて、通常なら受診できる医療を受けることができない事態も起き始めていると指摘しました。

今の感染拡大の要因については、東京都など大都市圏を中心とする年末からの感染拡大は、職場の宴会や、若者が飲食する場面での感染が主な要因になっているとしました。

また、年明けからの全国的な感染者数の急増は、帰省による親戚との会食などが要因の一つと考えられるとしましたが、詳しい原因については引き続き検討が必要だとしました。

対策について専門家会合は、飲食店の時短営業などだけではなく、市民の協力が不可欠だとして、感染防止のためには午後8時以前でも不要不急の外出や、感染につながりやすい形での飲食を自粛することが重要だとしました。

さらに、テレワークの実施など接触機会を削減するために、国や自治体が一体感を持ってメッセージを出すことが必要だと指摘ました。

このほか、イギリスなどで確認された変異株については、国内への流入による感染拡大を防ぐことが必要で、引き続き監視を行うとともに、感染者が見つかった場合には濃厚接触者などの調査が求められるとしています。

会合のあとの記者会見で、専門家会合の脇田隆字座長は「午後8時以降の飲食だけが感染リスクが高く、それ以前ではリスクが低いというわけではない。昼に飲み会をやってマスクを外して話せば当然リスクは上がってしまう。とにかくリスクのある場面をなるべく減らしてもらいたい。首都圏に緊急事態宣言が出てから、まだ1週間で、効果が分かるのは、もう少し先になるが、措置による効果をしっかりと見ていくことが必要だ」と話していました。

田村厚労相「非常に厳しい感染状況続く」

田村厚生労働大臣は、専門家会合で「不要不急の外出の自粛は、『午後8時以降は特に』であり、それより前もお願いをしており大人数での会食や、自宅でのホームパーティーなど感染リスクの高い行動はぜひとも控えてほしい」と呼びかけました。

そのうえで「非常に厳しい感染状況が続き、新型コロナウイルスへの対応をしていた比較的大きな医療機関も手いっぱいとなっている。さらにフェーズが上がった場合にどんな対応をするかを考え、病院団体とも議論をしていかなければならない」と述べました。

全国の感染状況は

会合では、直近の全国の感染状況について「特に東京での急速な増加に伴って、年末から増加傾向が強まり、過去最多の水準の更新が続いている。年明けからは、中京圏や関西圏、北関東、九州でも感染者が急増している」と分析しました。

医療現場では通常の医療との両立が困難な状況が拡大しつつあり、通常なら受診できる医療を受けることができない事態も起き始めているとしています。

そして、今の感染拡大の要因について、東京都など大都市圏を中心とする年末からの感染拡大は、職場の宴会や、若者が飲食する場面での感染が主な要因となっているとしています。

一方で、年明けからの全国的な感染者の急増は帰省による親戚との会食などが要因の一つと考えられるとしながらも、引き続き検討の必要があるとしています。

宣言 関西3府県などへ拡大 政府諮問委で了承

緊急事態宣言の対象地域の拡大を前に、感染症の専門家などでつくる諮問委員会が開かれました。

冒頭、西村経済再生担当大臣は「1都3県以外にも、医療がひっ迫した状況が続き、『ステージ4』の指標に該当する状況となっている地域が出てきている。何としても、2月7日までの間に感染を減少傾向にさせ、まずは『ステージ3』を目指したうえで、基本的対処方針に強く明記している『ステージ2』以下を目指していく」と述べました。

そのうえで、11の都府県に宣言の対象地域を拡大する方針を説明し、意見を求めました。

田村厚生労働大臣は、「1都3県以外の地域にも感染の拡大が見られており、改めて緊張感を共有している。大都市圏を中心に早急に感染を抑えていかないと、全国的な感染拡大を止められないので、宣言のエリアの拡大を議論してほしい。国民に行動制限をお願いするのは大変申し訳なく思っているが、いまは感染を止めることが第一だ。国民が心を一つにして協力してほしい」と述べました。

このあと、協議が行われ、宣言の対象地域を拡大する方針は了承されました。

田村厚労相「国民にわかりやすく説明」
田村厚生労働大臣は、諮問委員会のあと記者団に「7つの自治体について了承をいただいた。基本的対処方針に書かれている『不要不急の外出は控えてもらいたい』ということなどが、十分に伝えきれていないという意見があったので、いろんな機会を通じて、国民にわかりやすく説明し、理解を得ていきたい」と述べました。
一方、記者団から、対象地域のさらなる追加を求める意見は出たのかと問われ「そういう意見は現状ではなかった。これから『ステージ4』に向かって数字が悪化していく地域に関しては、今回の緊急事態措置を講じる地域に準じた形で、感染拡大防止のための対応をお願いしていく」と述べました。

西村経済再生相「7府県加えることで了承」
西村経済再生担当大臣は、諮問委員会のあと、記者団に対し「大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、岐阜県、福岡県および栃木県について、あす(14日)から来月7日まで緊急事態措置を実施する区域に加えるということで了承をいただいた。それに伴う基本的対処方針の変更も諮問案どおり了承をいただいた。この後、衆参の議院運営委員会で説明し政府の対策本部で決定し、きょう中に官報に公示したい」と述べました。

尾身会長「メッセージを出す必要がある」
諮問委員会のあと、尾身茂会長が報道陣の取材に応じ、「政府から諮問された、緊急事態宣言の地域を7つの地域に拡大することと、期間を首都圏の1都3県と同じにするということは、全員が一致した。これから1か月弱が重大な時期になる。この期間に、今まで以上にわかりやすく、一般の人に『なるほど』と思ってもらえるような対策についてのメッセージを出す必要がある」と述べました。

竹森委員「飲食業以外にも協力金を」
経済の専門家の立場で諮問委員会の委員を務める、慶應義塾大学の竹森俊平教授は、記者団に対し「緊急事態宣言が1か月、2か月で終わるか分からないので、飲食業だけではなく、ほかの業種にも協力金を出さなければならないのではないか。感染拡大防止をさらに強力に行うためには、例えば、映画館やイベント関係などを支援する予算を考えてもいいと思う」と述べました。

自民 下村氏「ギリギリの判断だ」
自民党の下村政務調査会長は、記者会見で「政府は、『ステージ4』の指標に沿って、専門家の意見も聴きながら適切に判断したと思う。『全国を対象にしたほうがいい』という声も聞こえてくるが、失業者や倒産が増えるといった経済的な負のダメージも考えたギリギリの判断だ。ただ、今後も『ステージ4』のところがあれば追加が増えてくるかもしれない」と述べました。

立民 枝野氏「政府の対応は責任放棄だ」
立憲民主党の枝野代表は記者団に対し「1週間前でも同じ判断ができたのではないか。宣言の範囲は今回の対象だけで足りるのか、今後も五月雨式の発出になっていくのではないかと、強く心配している。知事から要請がなければ宣言を出さないという政府の対応は責任放棄だ」と述べました。

西村経済再生相 対象地域拡大を国会に報告

西村経済再生担当大臣は、緊急事態宣言の対象地域の拡大を13日夜の対策本部で正式に決定することを国会に報告しました。

西村大臣は、衆参両院の議院運営委員会に出席し、対象地域に追加する方針の関西3府県などの状況について「感染が拡大し、医療提供体制がひっ迫するなど非常に厳しい状況となっており緊急事態措置を実施すべき区域に加えるべきと判断した」と述べました。

そのうえで大阪、兵庫、京都の関西3府県、愛知と岐阜の東海2県、それに福岡、栃木を追加して11の都府県に拡大し、期間は14日から来月7日までとする方針が諮問委員会で了承されたとして、13日夜の対策本部で正式に決定することを報告しました。

そして、西村大臣は「感染拡大の主な起点となっている飲食につながる人の流れの抑制に加え、昼間も含めた不要不急の外出や移動の自粛、出勤者数の7割削減を目指したテレワークの推進など、国民の理解と可能なかぎりの協力をいただきたい」と述べました。

国会で質疑

緊急事態宣言の対象地域の拡大を前に、国会では、政府による事前の報告に続いて質疑が行われました。

「要請のあるなしにかかわらず国として責任を持って判断」
自民党の盛山正仁氏は「政府の対応に不満が表明されている。都府県からの要請がなくても先手先手で判断すべきだったのではないか」と質問しました。

西村大臣は「要請のあるなしにかかわらず、専門家の意見を聞き、国として責任を持って判断してきている。ワクチンの接種なども含めて、共感を持って協力頂けるよう、丁寧な発信を重ねていきたい」と述べました。

「福岡は医療提供体制がかなりひっ迫で指定に」
立憲民主党の森山浩行氏は「追加する7府県はどのタイミングで判断したのか。知事から要請がなかった福岡県はなぜ対象に入っているのか」とただしました。

西村大臣は「専門家の意見を聞いて判断している。福岡県については、医療提供体制もかなりひっ迫した状況であることを知事とも共有し、指定することにした」と述べました。

「スピード感をもって臨機応変に支援」
公明党の安江伸夫氏は「コロナ禍もおよそ1年続き、資金繰りが苦しい事業者も多い。事業規模などに則した追加の給付措置を検討すべきではないか」と質問しました。

西村大臣は「1社ごとに損失額を算定して補償する仕組みは、膨大な作業と時間がかかる。一定の条件をつけて、スピード感をもって臨機応変に支援していく」と述べました。

「昼間も含め 外出自粛を強くお願いしていく」
日本維新の会の東総務会長は「多くの人は夜8時以降の外出自粛だと頭に入っている。この1か月間は土日祝日を含めさらなる休業要請をしないと感染拡大は収まらないのではないか」と指摘しました。

西村大臣は「昼間も含めて、外出自粛を強くお願いしていかなければならない。休日についても幅広く外出自粛を呼びかける中で、対応していく」と述べました。

「自治体とともにメッセージを発信し減少傾向へ」
共産党の倉林明子氏は「緊急事態宣言の実効性が問われている。どうやって、来月7日までに感染者数を抑制するのか」とただしました。

西村大臣は「東京では、去年4月の緊急事態宣言の時、およそ2週間で新規陽性者の数が半減した。自治体とともにメッセージを発信しながら、減少傾向に転じていけるよう努力したい」と述べました。

「1日当たり6万円の協力金も含め同等の支援策講じる」
国民民主党の浅野哲氏は「緊急事態宣言の対象地域と同じ営業時間の短縮要請などを行う道や県にも同等の財政支援をすべきではないか」とただしました。

西村大臣は「宣言の対象地域に準じた取り組みを行う場合、1日当たり6万円の事業者への協力金も含めて、同等の支援策を講じることを考えたい」と述べました。

菅首相 7府県に緊急事態宣言 対象地域拡大

菅総理大臣は、大阪、愛知、福岡など合わせて7つの府県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく、緊急事態宣言を出しました。これによって宣言の対象地域は11の都府県に拡大されます。

政府は、13日午後6時15分ごろから、総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部を開きました。

この中で、菅総理大臣は「年末からの首都圏、特に東京での急速な感染拡大に加え、年明けからは、中京圏、関西圏などでも感染者数が急増し、強い危機感を持っている。大都市圏から全国に感染が広がる前に対策を講じる必要があることを踏まえて判断した」と述べました。

そのうえで、大阪、兵庫、京都の関西3府県、愛知と岐阜の東海2県、それに福岡と栃木の合わせて7つの府県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を出しました。

期間は来月7日までで、宣言の対象地域は11の都府県に拡大されます。

菅総理大臣は「対策全体が効果を上げるには、国と自治体がしっかり連携し、国民の協力をいただくことが極めて重要だ。今後、国と宣言対象の各都府県との連絡会議を新たに設け、会議での議論を通じて、自治体には、地域の実情を踏まえた対策を実行していただき、国は、最大限、必要な支援を行っていく」と述べました。

また「最近の国内の厳しい状況や海外からの入国者から変異株が確認された事例を踏まえ、さらに徹底した水際対策を行う」と述べました。

菅総理大臣は、午後7時をめどに記者会見し、対象地域拡大の理由を説明し、対策への協力を改めて呼びかけることにしています。

「基本的対処方針」も変更へ

緊急事態宣言の対象地域の拡大に合わせて「基本的対処方針」も変更されることになります。

緊急事態措置を実施すべき区域に栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県が加えられ、措置を実施すべき期間は14日から来月7日までの25日間となります。

対象となる地域での具体的な対応は、1都3県に宣言が出された際と同様です。

特に、午後8時以降の不要不急の外出の自粛を住民に徹底するとしているほか、飲食店に対して営業時間を午後8時までに短縮し、酒類の提供は午前11時から午後7時までとするよう要請するとしています。

正当な理由がないにもかかわらず要請に応じない場合には、特別措置法に基づく指示を行い、公表するとしています。

一方で、政府は、要請に応じた飲食店に対して協力金の支払いを行う都道府県を支援するとしています。

イベントについては、人数の上限や収容率のほか、飲食をともなわないことなどの要件を設定し、それに沿った開催を要請するとしています。

職場への出勤については、「出勤者数の7割削減」を目指すことも含め人と人との接触の機会を減らすよう、テレワークやローテーション勤務などを強力に推進するとしています。

また、事業の継続に必要な場合を除き、午後8時以降の勤務を抑えることや、時差出勤や自転車通勤などの取り組みを進めることも盛り込んでいます。

一方で、学校などに対しては、一律に臨時休校は求めず、地域の感染状況に応じた感染防止策の徹底を要請するとしています。そして、大学入学共通テストや高校入試については、感染防止策や追試験など受験機会の確保に万全を期したうえで予定どおり実施するとしています。

また、保育所や放課後児童クラブなどについても感染防止策を徹底し、原則、開所するとしています。

さらに緊急事態宣言が出されていない道や県でも、感染状況やリスクなどの評価を行いながら、必要に応じて外出の自粛やイベントの開催制限、施設の使用制限などの要請を機動的に行うとしています。

また、都道府県をまたぐ移動は、基本的な感染防止策を徹底するとともに、特に大人数の会食を控えるなど注意を促すなどとしています。

このほか、医療をめぐっては、病床がひっ迫する場合には、高齢者も含めて入院の必要がない無症状者や軽症者は、宿泊施設で療養することで、入院が必要な患者の医療提供体制の確保を図るなどとしています。

一方、宣言の解除については、感染や医療のひっ迫状況が「ステージ3」相当になっているかなどを踏まえて総合的に判断するとしています。

さらに、緊急事態宣言の解除後も対策の緩和は段階的に行い、必要な対策は「ステージ2」相当以下に下がるまで続けるとしています。

日本医師会 中川会長「状況により全国発令検討を」

緊急事態宣言について日本医師会の中川会長は記者会見で「今後の感染拡大の状況によっては、全国的な緊急事態宣言の発令も検討すべき情勢だ。全国にまん延して手遅れになることがないよう、勇気を持って、早め早めの対策を講じることが大切だ」と指摘しました。

また、各地の医療提供体制について「全国的に医療崩壊は進行している。新型コロナウイルスの重症者に治療の優先順位をつけるトリアージをせざるをえない事態に陥りかねず、今ここで食い止めねばならない」と危機感を示しました。

一方、中川会長は、民間の医療機関で感染者の受け入れが進んでいないという指摘が出ていることについて「中小規模の民間病院は、日夜、新型コロナ患者以外の救急や入院が必要な重症患者への医療や手術を、それぞれの地域で中心的に担っている」と強調し理解を求めました。

そのうえで「若い世代の人たちが、自分自身だけでなく、ほかの人の命や健康にも重大な影響を与えることを自覚して、徹底した感染対策をするよう改めてお願いしたい」と呼びかけました。

菅首相会見

菅総理大臣は、13日夜、総理大臣官邸で記者会見し、緊急事態宣言の対象地域の拡大について、「厳しい状況を好転させるためには、欠かせない措置であることを理解してもらいたい」と述べ、重ねて対策への協力を呼びかけました。また、11の国と地域で実施しているビジネス関係者らの往来を停止する方針を示しました。

会見の冒頭、菅総理大臣は、大阪、愛知、福岡などあわせて7つの府県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく、緊急事態宣言を出したことを説明しました。

そのうえで、「先の1都3県に続き、ほかの地域でも厳しい状況が続いている。皆さんも、不安に感じていると思うが、この厳しい状況を好転させるためには、欠かせない措置であることを理解してもらいたい」と述べました。

そして、「必要なことはあらゆる手段を尽くして取り組んでいく。制約の多い生活でご苦労をおかけするが、なんとしても乗り越えていかなければならず国民の皆さんの協力をお願い申し上げる」と重ねて協力を呼びかけました。

「『ステージ4』に相当する指標が多いことなどで判断」
菅総理大臣は「追加した7府県については、新規感染者数、病床の利用率など、いわゆる『ステージ4』に相当する指標が多いことや、大都市は人口が集中していて、全国に感染が広がるリスクがあることなどの要素に基づき、専門家のご意見も伺い判断した」と述べました。

「対策は、前回同様、飲食店の時短や外出自粛など」
菅総理大臣は、記者会見で「対策の内容は、前回と同じく、飲食店の夜8時までの時間短縮、テレワークによる出勤者数7割減、特に夜8時以降の不要不急の外出の自粛、スポーツ観戦やコンサートなどの入場制限の4つになる」と述べました。

「宣言対象地域以外でも感染拡大には同様の支援」
菅総理大臣は「今回、対象となる地域以外にも『ステージ4』に向けて感染が拡大している地域については、緊急事態宣言に準じる措置として、飲食店の時間短縮など、同じ4つの対策を講じる場合には、国として宣言の対象地域と同じ支援を行うこととする。タイミングを逸することなく効果的な措置を講じていく」と述べました。

「病床の確保を徹底的に進めていく」
菅総理大臣は「医療体制の確保にも全力をあげている。東京都では、コロナ病床の確保のために、国と一つのチームになり、国が財政支援を用意した上で、1つ1つの病院に直接、働きかけを行って、ことしになって、500床の病床を確保した。今後、他の地域においても同様の取り組みを行い、病床の確保を徹底的に進めていく」と述べました。

「不要不急の外出は日中も自粛を」
菅総理大臣は、「不要不急の外出については、飲食店が閉まる夜8時以降だけでなく、日中も控えていただくようお願いする。また、昼間の時間帯や夜8時までについても、お酒を飲んで大きな声を出したり、距離をとらずに座ったりするなど、感染リスクの高い飲食を避けてもらいたい」と述べました。

「あらゆる方策を尽くし命と暮らしを守る」
菅総理大臣は記者会見で「いまの状況を長引かせないために、国民、国、自治体が同じ方向に向かって制約のあるこの生活を乗り越えていかなければならない。あらゆる方策を尽くし、国民の皆さんの命と暮らしを守る。ぜひ皆さんに今一度のご協力をお願いしたい」と述べました。

「徹底して行動の見直しを」
菅総理大臣は「対象期間である来月7日までの間、徹底して行動を見直していただきたい。特に30代以下の若者の感染者が増えていて、多くの方は無症状や軽症だが、若者の外出や飲食により、知らず知らずのうちに感染を広げているという現実がある」と述べました。

「政府と11都府県との連絡会議を新設」
菅総理大臣は「今回の対策全体が効果を上げるには、国と都道府県がしっかり連携し、国民の皆さんのご協力をいただくことが極めて重要だ。きのう(12日)、1都3県の知事と意見交換を行い、今後連携して対策を行っていくことを確認した」と述べました。

その上で「追加された府県を含めて、政府と各都府県との連絡会議を新たに設ける。この連絡会議の議論を通じて、感染拡大を何としても防ぐために、地域の実情を踏まえた対策を実行していただくとともに、国としても最大限の必要な支援を行って参りたい」と述べました。

「宣言は最善の判断が求められる」
菅総理大臣は記者会見で、緊急事態宣言の対象拡大について結果的に見通しが甘かったのではないかと問われ、「緊急事態宣言は、法律に基づく措置によって感染対策を徹底する強力な手段だ。一方で、皆さんの生活を大きく制約もする。政権としては発出にあたって、最善の判断が求められる」と述べました。

その上で「先週の段階では、大阪の感染者が急増したのは直前のことであり、専門家も『よく原因を分析すべきだ』と評価していた。それに基づいて、東京など1都3県を対象とする判断をした。今回、対象とした地域は、新規感染者数や病床の利用率がいわゆる『ステージ4』に相当する指標が多いことや、大都市圏は人口が集中して、全国に感染が広がるリスクがあるという要素に基づいて判断した」と説明しました。

ビジネス関係者らの往来を停止へ
菅総理大臣は、水際対策について「これまでビジネス関係者らの往来で合意している11の国と地域からの入国者に変異株の感染が確認された事例はない。ただ、現在の国内の深刻な感染状況に加えて、直近では、イギリスからの帰国者によるクラスターや、ブラジルからの帰国者で新たな変異株が確認された事例が相次ぎ、国民の不安がさらに高まっている現状を大変重く受けとめている」と述べました。

そのうえで「あらゆるリスクを予防的に取り除くために、緊急事態宣言が発令されている間、今後、速やかに相手国との調整を完了し、11の国と地域からの新規入国を一時的に停止する」と述べました。

「国民に慣れや疲れも 大きな波がきている 協力を」
菅総理大臣は「去年の春と夏に続く、3回目の感染拡大で、確かに国民の皆さまには、慣れや疲れがあると思う。しかし、今回は諸外国を含めて、大都市圏を中心に、過去最高の水準で感染拡大が続き、まさに大きな波がきている。何としても感染拡大を減少方向にもっていかなければならないことを国民のみなさまに強く訴えると同時に、引き続き、飲食店の営業時間の短縮をはじめとする対策をしっかりと実施して、国民に協力をいただく中で、感染を減少させていきたい」と述べました。

「調査の実効性上げるため感染症法改正を検討」
菅総理大臣は「感染拡大の防止を図るために、新規陽性者の過去の行動を調査して、濃厚接触者を特定し、対策を講じることは極めて重要だ。一方で現場からは、感染者が増えるにしたがって調査に協力をいただけないケースがどんどん増えてきていると報告を受けている。調査の実効性を上げることができるよう、感染症法の改正を検討している」と述べました。

「医療法 検証し必要があれば改正は当然」
菅総理大臣は、新型コロナウイルス患者の病床確保に向け、医療法を改正する必要性を問われたのに対し「今のままでいいのかどうかは、今回のコロナがあったことも含め、もう一度、検証していく必要があると思っている。必要があれば、改正するのは当然のことだ」と述べました。

「北朝鮮との対話の機会を逃さないようにしたい」
菅総理大臣は記者会見で「拉致問題は菅内閣にとっても最重要課題であり、被害者のご家族が高齢になる中、一刻の猶予もない。条件を付けずにキム・ジョンウン総書記と直接向き合う決意だ」と述べました。

そのうえで「東京オリンピック・パラリンピックへの北朝鮮の参加については、IOC=国際オリンピック委員会や大会組織委員会などとの間で調整される。注視して対話のチャンスを逃すことがないようにしたい」と述べました。

尾身会長「時短だけでは下火にできず 昼夜問わず外出控えて」

13日夜、菅総理大臣の記者会見に同席した諮問委員会の尾身茂会長は、緊急事態宣言のもとでの飲食店の営業時間の短縮などについて「これまでの経験で、飲食店の時短営業は万能薬ではないものの一定の効果があるのは分かっていた。しかし、今回、緊急事態宣言の対象となったような地域では、時短営業だけでは感染を下火にはできないと思う。外出の自粛や人の移動制限、テレワークの推進、イベントの入場制限など総合的な対策が必要だ。また、こうした対策で重要なのは効果が出たかどうかを頻繁に評価していくことだ。その中で仮に最悪の事態になりそうな場合は休業要請などより強い選択肢もありえるし、うまくいっていればまた別のシナリオにということもある」と述べました。

また、尾身会長は緊急事態宣言期間中の国民の協力について「自粛疲れということで、去年ぐらいから感染対策についてなかなか協力が得られなくなってきていた。理由としては、感染しても無症状や軽症の人が多いこと、長く続く自粛でへきえき感が出てきていたこと、いっとき、国と自治体の一体感がなかったことなどがあったと思う。国民の行動変容ということでは大事なことはいろいろあるが、いま最もやるべきことは昼夜を問わず、外出をなるべく控えてもらうということだ」と述べました。

感染症法などの改正で、罰則の導入が検討されていることについて尾身会長は「分科会のメンバーの中でも罰則よりも事業者などにさらに協力してもらえるような支援の仕組みを作った方がいいという意見と最低限の罰則も場合によってはやむを得ないという意見の両方がある。一方、専門家として1年近く感染症対策に直接関わってきた立場からは、法律の改正で、こういう部分を改善してもらえるとより感染対策が進んだと考えている部分がある。例えば、対策をとる上で、最も重要なことのひとつは疫学の情報を自治体間や国との間で迅速に共有することだが、さまざまな理由で我々が望むレベルに到達していなかった。国会で法改正を議論する際には、罰則のことだけでなく、どういった制度的な障壁によって感染対策が進まなかったのかということも含めてしっかりと議論をしてほしい」と述べました。

想定されるシナリオは2つ

緊急事態宣言の解除の条件や時期について「今後の感染状況に応じたシナリオを議論し、示していくことが政府としても分科会としても求められるし責務だと思う」と述べ、今後、とるべき対応を今から検討しておく必要があるという認識を示しました。

そのうえで「想定されるシナリオは大きく分けて2つある。ひとつはベストケースで、対策が功を奏し、比較的早く『ステージ3』相当の状況になった場合でも、宣言解除で対策をすべて解除してしまうとリバウンドのように感染が再び増加する。『ステージ2』相当になるまで必要な対策を継続することが求められる。
2つ目の想定は、来月になっても感染が増加しているか、あるいは横ばい、減少していても極めて緩やかな状態という場合だ。この場合は、緊急事態宣言のもとで行っている対策では足りないということなのでさらに強い対策が必要になる」と述べました。

西村経済再生相「なんとしても桁違いの感染拡大抑える」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「昼間も含めた外出自粛や、テレワークによる出勤者数の7割削減は、去年の春の緊急事態宣言の時にとった措置と同等であり、かなりきつい、厳しい措置だと認識している。大変な不便をおかけするが、なんとしても、桁違いの感染拡大を抑え、国民の皆さんの命をお守りするという観点から、ぜひ、ご協力をお願いしたい」と述べました。