高浜原発 海底地滑りの津波
対策は妥当 原子力規制委

津波警報の発表が難しいとされる海底の地滑りによる津波をめぐり、福井県にある高浜原子力発電所では、基準を超える潮位の変化を感知した場合に、防潮ゲートを閉めるとする関西電力がまとめた対応について、原子力規制委員会は妥当と評価しました。

高浜原発3号機と4号機は、原子炉の冷却に必要な海水を取り込む水路の取水口が海面付近にある特殊な形をしているため、地震で津波警報が出た場合は、水路に取り付けた防潮ゲートを閉めることにしています。

しかし、日本海の隠岐トラフ付近で海底の地滑りが発生し、津波が起きた場合、津波警報の発表が難しいことが分かり、関西電力は警報が出ていなくても、高浜原発に設置された潮位計で基準を超える水位の変動が観測された場合、原子炉を停止して防潮ゲートを閉めるとする対応を報告していました。

これについて14日、規制委員会は関西電力の対応は妥当であるとの結論をまとめました。

津波警報の発表されない可能性がある津波をめぐっては、高浜原発以外の原発について規制委員会は、取水口の構造などから追加の対応は必要ないとしています。

3号機の配管損傷再発防止策なども了承

一方、高浜原子力発電所3号機で「蒸気発生器」の細い配管にキズが見つかった問題で、原子力規制委員会は関西電力が示した再発防止策などを了承しました。

これにより3号機はテロ対策施設が完成すれば、ことし12月以降、運転を再開できる見通しになりました。

この問題は、高浜原発3号機で定期検査中のことし1月に、「蒸気発生器」の細い配管2本が最大で深さ56%まで削れているのが見つかったもので、14日に開かれた原子力規制委員会で関西電力の調査結果などが報告されました。

原因について関西電力は、現場の作業員に付着していた微少な金属片が「蒸気発生器」に混入し水に流されて配管を傷つけたと説明したうえで、再発防止策として作業前に服を着替えたり、靴にカバーをつけたりして現場に異物を持ち込まない対策をとるとしました。

これに対し更田委員長は「設計上の問題というより管理の問題だ。異物を持ち込まないことに尽きる」と述べ、規制委員会として関西電力が示した調査内容と再発防止策を了承しました。

高浜原発3号機は国から設置が義務づけられているテロ対策施設が完成していないこともあり、今も定期検査が続いていますが、再発防止策が了承されたことで、テロ対策施設が完成する予定のことし12月以降に運転を再開できる見通しになりました。