曜討論ダイジェスト
「総裁選 立候補者が論戦」

14日、投開票が行われる自民党総裁選挙に立候補している石破元幹事長、菅官房長官、岸田政務調査会長の3人は、NHKの「日曜討論」で、新型コロナウイルスに伴う追加の経済対策や、社会保障制度改革などについて論戦を交わしました。

この中で、新型コロナウイルスに伴う追加の経済対策について、
石破元幹事長は「生産設備や人が消えたわけではなく、消費が消えたから厳しい状況になったのであり、国債発行も視野に、ありとあらゆる手段を使わないと経済は失速する。どの層の所得を増やすかが大事で、低所得者の所得が上がれば消費に使ってもらえる。新型コロナウイルス対策で経済全体の仕組みを変えるチャンスではないか」と述べました。

菅官房長官は「雇用をしっかり確保し、企業の事業を継続させることがいちばん大事だ。4月から6月のGDPの下落率が戦後最大となり、新型コロナウイルスの状況がまだ続いている中で、できることはすべてやるというのが基本的な考え方だ。そのために予備費を積んだ。さらにその先必要であれば、経済対策は必要だ」と述べました。

岸田政務調査会長は「ヒト・モノ・カネを動かす努力を続けなければならない。先は不透明であり、予備費の活用やさらなる財政措置、経済対策が必要になることは十分に考えておかなければならない。世界各国が大型の財政出動を行っており、金利が低くおさえられている今、必要なものをちゅうちょしてはならない」と述べました。

そして、経済対策の一環として消費税率を引き下げることについては、3人とも否定的な考えを示しました。

また、今後の社会保障制度の在り方について、
石破氏は「あと20年たつと高齢者数もピークを迎え、今のままでは持続可能ではないことを認識すべきだ。国民皆保険は何としても守っていかなければならないが、がんや成人病などリスクがばらばらになる中、時代にふさわしい保険の在り方を考える必要がある。設計を見直し、一人一人の幸せを実現したい」と述べました。

菅氏は「少子高齢化社会が続くので、支えられる側の人を支える側にするために70歳まで働けるようにする。年金の受給年齢を延ばす、医療費も予防に重点を置くなど、全体構造を見直してしっかり実行に移していくことが大事だ」と述べました。そのうえで、全世代型社会保障の最終報告の取りまとめについて「ことしの暮れに新型コロナウイルスの感染状況がどうなっているかが判断の一つになる」と述べました。

岸田氏は「年齢に応じた負担ではなく支払い能力によって負担することや、年金の受給開始年齢などを選択できる社会保障、さらに、医療・介護分野での民間活力の利用などをしっかり考えることで、まずは持続可能性を考えたい。そのうえで、財政との関係で、消費税をはじめとする税制をしっかり考えたい」と述べました。

一方、菅氏は、総裁選挙後の人事について「総理大臣になれば、基本的に改革意欲のある人を登用したい。『役所の縦割り』などを打破して、規制改革を進めていかなければならない。そうした意欲のある人を活用して、国民のためになる内閣を作っていきたい」と述べました。

石破元幹事長「全力尽くしたい」

石破元幹事長は、記者団に対し、「投票箱のふたが閉まるまでが選挙であり、最後まで全力を尽くしたい。多くの人に支えてもらっており、『自分としては、これ以上できない』というところまでやりたい。国民や党員の中で失われつつある『納得と共感』を取り戻すという訴えを最後までやらなければいけない」と述べました。

菅官房長官「悔いの無い総裁選挙を戦う」

菅官房長官は、記者団に対し、「『地方の活力無くして、国の活力なし』と訴え、総務大臣時代にふるさと納税制度をつくるなど具体的な形で進めてきた。選挙戦で優勢であるとすれば、そうしたことに対する期待ではないか。最後まで悔いの無い総裁選挙を戦う」と述べました。

岸田政務調査会長「同志とともに働きかけ続けたい」

岸田政務調査会長は、記者団に対し、「政務調査会長の立場としてではなく、自分自身の思いを訴えなければいけないと気付き、後半戦は、思いや政治姿勢をしっかり伝えることができた。最後まで同志とともに働きかけを続けたい」と述べました。