池都知事「都独自の
緊急事態宣言も」

東京都の小池知事は、31日、都内でこれまでで最も多い463人が新型コロナウイルスに感染していることを新たに確認したと明らかにしたうえで、「状況がさらに悪化したら、都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるをえなくなる」と述べ、強い危機感を示したうえで感染拡大の防止の徹底を呼びかけました。

東京都の小池知事は、31日午後2時すぎから定例の記者会見を開き、31日都内でこれまで最も多い463人が新たに感染していることを確認したと明らかにしました。

小池知事は、「きのうの367人からおよそ100人増えた。状況がさらに悪化したら、コロナ対策をしっかり打つという意味では都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるをえなくなる」と述べ、強い危機感を示しました。

また、感染の確認がこれまでで最も多くなった背景について、週末は感染確認が増える傾向にあることや、6000件に迫る勢いで検査が行われていることなどをあげました。

そのうえで「新宿の保健所から報告された150人近くがきょうの分で入っている。4連休の間に検査を受けなかった方々がいることなども考えあわせるとこれからも陽性者数が増えていく可能性は高い」と述べました。

小池知事は、記者団が「都独自の緊急事態宣言が出されると休業要請を進めるのか」と質問したのに対し、「どの業種やどの地域で、などピンポイントでやっていきたい。休業要請がすなわち全部の経済を止めるというのはちょっと違ってきている」と述べ、国が緊急事態宣言を出した時に都が行った休業要請とは違い、特定の業種や地域に絞るのが望ましいという考えを示しました。

一方で、感染状況が悪化した場合のさらなる休業要請の可能性について、「戦略的に進めていきたい。可能性はあるということを申し上げている」と述べました。

また、ことしの夏休みについて「旅行やイベントも計画されていると思うが、ことしは残念ながら例年と違う夏になる。今ここで対策を緩めてはいけない。その意識を皆さんと共有させていただき、感染拡大防止の取り組みを加速していく」と述べ、感染拡大の防止の徹底を呼びかけました。

さらに、酒を提供する都内の飲食店やカラオケ店に営業時間の短縮を都が要請し、応じた中小の事業者に協力金20万円を支給する財源として関連経費も含めて101億円の補正予算を編成し、週明けの8月3日、議会の議決を経ない専決処分を行うことを明らかにしました。

また、先の都知事選挙の公約に掲げた「東京版CDC=疾病対策予防センター」の創設について、危機管理や調査分析、情報の収集や発信を一体的に担う常設の司令塔としてことし10月に立ち上げ、その後、体制が整いしだい本格的に運用していくと説明しました。

都の「重症患者」の数は

都が、医療提供体制の状況を分析するうえで注目しているのが「重症患者」の数です。

人工呼吸器や集中治療室で対応する重症の患者が増えると、新型コロナウイルスだけでなく、ほかの病気の患者にも適切な医療を提供できなくなるおそれが高まるからです。

都は重症患者の数をことし4月27日から公表していて、最も多くなったのは4月28日と29日の105人でした。

その後は減少傾向が続き
▽7月2日には10人を下回って9人に
▽7月10日には、これまでで最も少ない5人となりました。

その後は再び増加に転じ
▽7月17日に10人となり
▽30日は22人でしたが
▽31日は16人となり、4日ぶりに20人を下回りました。

4月や5月に比べるとまだ低い水準ですが、都の専門家は、重症患者の増加は、「新規陽性者数」の増加からしばらく遅れて生じると指摘していて、都は警戒を強めています。

都は、重症患者を受け入れる病床をこれまでに100床確保していて、今後の感染拡大の状況によっては、病床をさらに増やすことも検討する考えです。

死亡した人の年代は

都内では30日までに新型コロナウイルスの感染が確認され、死亡した人が330人にのぼっています。

およそ93%にあたる少なくとも306人は、ことし5月末までに死亡しています。

このなかには、クラスターが発生した複数の医療機関の入院患者のほか、コメディアンの志村けんさんや俳優の岡江久美子さんも含まれています。

その後、6月は少なくとも19人、7月は30日までに4人が死亡しています。

年代別では
▽20代が1人
▽40代が5人
▽50代が16人
▽60代が32人
▽70代が94人
▽80代が114人
▽90代が63人
▽100歳以上が3人です。

10歳未満と、10代、30代の死亡は確認されていません。

また、都は残る2人について「確認中」としています。
▽70代以上が全体のおよそ83%
▽60代以上では全体のおよそ93%にのぼり、高齢の人の割合が高くなっています。

新宿区保健所から146人分の報告

都によりますと、463人のうち新宿区の保健所からの報告が146人分いるということです。30日は11人で135人増えたということです。

都の担当者は「新宿区の保健所の検査結果が大幅に増えたとはいえ、463人は非常に大きな数字だ。島しょ部を除くすべての保健所から発生届が出ていて、エリアも広がっている」と話しています。
そのうえで「全体が増えている要因は20代 30代が多いからで、この年代が多い傾向は変わっていない。会食や職場内の感染も20代 30代が多く、予防が大きな課題だ」と話しています。

今後については「検査数が5000件前後なので、8月1日以降も感染の確認が大幅に減ることはないと思う」と話しています。

重症の人は16人

▽重症
東京都によりますと、都内で31日までに感染が確認された1万2691人のうち、入院中の人は30日より43人増えて1197人。
このうち重症の人は30日より6人減って16人です。
都は、31日の時点で重症患者向けの病床100床を含めて都内で2400床を確保していて、2800床の確保を目指しているということです。

▽自宅療養
自宅で療養している人は30日より17人増えて401人す。

▽ホテル療養
都が開設している6つのホテルで療養している軽症や無症状の人は30日より63人増えて288人です。

▽調整中
医療機関への入院と、ホテルや自宅での療養のどちらにするか調整中の人は30日より161人増えて858人です。

▽退院など
すでに退院した人や自宅などでの療養が終わった人は9615人となっています。