京都107人の感染確認
5月2日以来 新型コロナ

東京都の関係者によりますと、2日、都内で新たに107人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです。都内で一日の感染の確認が100人以上となるのは、大型連休中のことし5月2日以来2か月ぶりで、5月25日に緊急事態宣言が解除されて以降、最も多くなりました。

これで都内で感染が確認された人は6399人になりました。

都内感染者数の推移

都内で感染の確認が増え始めたのはことし3月下旬で、3月25日にはそれまでで最も多かった日の2倍以上となる41人が確認されました。

その後、4月になると100人を超える日が出てきて感染の確認が急増し、4月17日には最多の206人に上りました。

5月に入ると、1日、2日と2日連続で150人を上回りましたが、その後、徐々に減り、中旬から下旬にかけては1桁や、10人台の日が続きました。

しかし、6月に入ると、上旬は10人台、20人台が多かったものの、下旬になると50人台、60人台と増え、1日まで6日連続で50人を上回っていました。

感染者数 すでに「基準日」超える 厚労省の目安で

厚生労働省が医療体制の確保に関連して6月に都道府県に示した目安では、人口10万人あたりの新型コロナウイルスの新たな患者数が、1週間の平均で2.5人を超えた日を「基準日」としていて、その後、自粛など社会への協力要請を行うとしています。

厚生労働省によりますと、東京都では6月29日までの1週間で2.61人となり、厚生労働省が示した「基準日」をすでに過ぎています。

都道府県は必ずしもこの目安に従う義務はないものの、厚生労働省の関係者からは「協力要請が遅れるほど、ピーク時の感染者数や入院患者数が増えるおそれがあり医療体制のひっ迫を招きかねない」と懸念する声も上がっています。

PCR検査数は増加傾向 陽性率も3%超に

東京都内でPCR検査を受けた人の数は、日によってばらつきがありますが、増加傾向が続いています。

東京都によりますと、緊急事態宣言が解除された5月25日にPCR検査を受けた人は920人でしたが、先月12日には2113人と、初めて2000人を超えました。

また、検査を受けた人のうち、感染が確認された人の割合「陽性率」も増加しています。

5月中旬以降は1%前後で推移してきましたが、先月に入ってからは2%前後になり、先月25日以降は連日3%を超えています。先月30日は3.4%でした。

入院患者数 先月下旬以降再び増加

東京都の入院患者数は、5月に大幅に減少したあと、ほぼ横ばいで推移していましたが先月下旬以降、再び増加し始めています。

都によりますと、今の形で取りまとめを始めた5月12日に1413人だった入院患者数は先月20日には204人と最も少なくなりました。

ところが、その後、再び増加し始めていて、1日は280人となっています。

入院患者のうち、集中治療室や人工呼吸器での管理が必要な重症患者の数については減少傾向が続いていて、4月末には100人余りだったのが、1日は10人になりました。

一方、東京都は、新型コロナウイルスの入院患者を受け入れる病床として先月の時点で3300床を確保しているとしています。

東京都が緊急の対策本部会議

東京都は、緊急の対策本部会議を開き、試験的な運用を始めた新たなモニタリングの数値を専門家が分析した結果について報告しました。

この中では、新規の陽性者の数だけでなく、感染経路が分からない人の数なども、前の週より増えていることが報告されました。

そのうえで、都内では「感染が拡大しつつあると思われる」という分析の結果が示されました。

また、医療提供体制については、「入院患者数が増加傾向にあることや、人員を含めた病床の準備に相当の時間を要する」などとして、今後の感染の拡大に備え、「体制強化の準備が必要であると思われる」という分析結果が示されました。

小池知事は「感染拡大に警戒を要する段階と認識している。今後の感染者数の動向はさらなる警戒が必要だ。夜の街、夜の繁華街への外出などを控えていただきたい。事業者には引き続き、業界団体が作成した感染拡大の予防ガイドラインに基づく再度の徹底をお願いしたい」と述べ、特に感染の確認が相次いでいる夜の繁華街への外出を控えるよう呼びかけました。

小池都知事「20代、30代」「新宿、池袋」「夜の繁華街控えて」

小池知事は、2日午後5時すぎから臨時の記者会見を開き、「きょうの陽性者数は107人で、緊急事態宣言下である5月2日の154人以来、2か月ぶりに100人を超えた。20代、30代の若者が多く、いわゆる夜の街関連の感染者が多い。今後、高齢者層に波及した場合には、感染拡大に拍車がかかる可能性も否定できない」と述べました。

そのうえで「都としては専門家の分析を踏まえて『感染拡大要警戒』の段階にあると認識している。都民や事業者にはぜひ意識を共有していただきたい」と呼びかけました。

また、小池知事は「感染場所は地域別にみると、新宿エリアや池袋エリアで多くの新規感染者が確認されている」と説明しました。

そして「都民には、夜の街、夜の繁華街への外出などを控えていただきたい。接待を伴う飲食店など『3密』のリスクの高い施設に出かけた方々は、体調の異変を感じたら無理せず仕事を休むとともに、医療機関を受診していただきたい。事業者には、引き続き、都や業界団体が作成する感染拡大予防ガイドラインに基づいた感染防止策について再度、徹底をお願いする。特に、接待を伴う飲食店の経営者には、従業員の方々にPCR検査を受けるよう強く勧めていただきたい」と呼びかけました。

一方、事業者への休業要請などを検討するかについて問われ、小池知事は「今は『ウィズコロナ』の段階に入り、経済社会活動と感染拡大の防止との両立を進めている。緊急事態宣言下の休業要請のような状況に戻ることは誰もが好ましいこととは考えていないと思う。『東京全体で休みましょう』というよりは、特定の地域や年代、業態に対して明確なメッセージを発していくことを重ねていきたい」と述べました。

西村経済再生相「二次感染を防ぐことに全力」

西村経済再生担当大臣は記者会見で、政府の専門家会議の尾身副座長と状況の分析を行ったあと、東京都の小池知事とも協議したことを明らかにしたうえで「高い緊張感を持って警戒すべき状況だということで、認識を共有したところだ。感染者の7割から8割が20代、30代で、これから高齢者や基礎疾患がある人に広がらないよう、二次感染を防止するためのPCR検査を幅広く呼びかけていきたい」と述べました。

また「検査の陽性率などを専門家に分析してもらったところ、市中で感染が広がっているわけではないということだった。まずは感染経路を追いかけていき、二次感染を防ぐことに全力を挙げたい。これまでの政府の方針を直ちに変更することはないと思っているが、状況を見て専門家の分析をしっかり聴きながら、適切に対応したい」と述べました。

そして、西村大臣は「もう誰も緊急事態宣言はやりたくないし休業もしたくないだろう。感染防止策をしっかり取って、何か異常があれば店を休んだり、調子が悪ければ会社にも出ず、遊びにも行かないなどを徹底していかないとまた同じようなことになる。一人一人の努力をお願いしたい」と呼びかけました。

専門家会議 尾身氏「強力な自粛要請 コンセンサス得られない」

2日の参議院厚生労働委員会では、新たな感染者の確認が、東京都を中心に相次いでいることを踏まえ、野党側が、再び緊急事態宣言を出す可能性などについてただしました。

これに対し、政府の専門家会議の尾身副座長は「経済社会活動と感染拡大防止の両立が言われている中で、前と同じような強力な自粛要請を行うことは、国民的なコンセンサスが得られないと思う」と述べました。

そのうえで「今の状況は、医療体制や検査体制などの面で緊急事態宣言の前とは明らかに違うので、今後の対応は、特定の数値だけでなく、総合的に判断する必要がある」と述べました。

一方、政府の専門家会議が新たな分科会に移行することについて尾身氏は、政府と意見交換をする中で、少なくとも西村経済再生担当大臣が発表した先月24日の2週間前には把握していたことを明らかにしました。

また内閣府の宮下副大臣は、専門家会議を廃止する方針を安倍総理大臣に伝えたのは、発表の前日だったと説明しました。

埼玉 大野知事「東京の繁華街への外出など控えて」

埼玉県は、県内と東京都内の1週間の感染者数が、接待を伴う飲食店などに再び休業要請を出すか検討を行う目安を超えたことから、2日夜、県庁で県の専門家会議を開き、今後の対応について協議しました。

冒頭を除き非公開で行われた会議では、さいたま市大宮区のキャバクラ店で感染が広がったことなどを踏まえ、感染症対策が十分にとられていない接待を伴う飲食店の利用を避けることを呼びかけることになりました。

一方、県内の施設への休業要請の再要請については、「病床の使用率などが低いため、直ちに休業要請を出す必要はない」という意見で一致したということです。

会議のあと大野知事は、2日、都内で107人の感染が確認されたことを踏まえ、「人数だけでなく、感染経路がわからない例が多いと聞き、強い危機感を抱いている。密接な関係ある埼玉県としては極めて憂慮すべきだ」と述べ、県民に都内の繁華街への外出や対策の不十分な接待を伴う飲食店の利用を避けることを呼びかけていました。

官房長官「直ちに宣言出す状況とは考えず」

菅官房長官は、午後の記者会見で、「内訳の詳細は確認中だ。これまでの感染状況などに照らして、直ちに再び緊急事態宣言を発出する状況に該当とするとは考えていないが、いずれにせよ、警戒感をもって、感染状況を注視しつつ、東京都と緊密に連携して対応していきたい」と述べました。

公明 斉藤氏「一層新しい生活様式の徹底を」

公明党の斉藤幹事長は、総理大臣官邸で記者団に対し、東京都の感染数について、「報道で人数を聞き、緊張感を高めたところで、一層新しい生活様式を徹底し、対応したい。公明党としても、しっかり現状を分析しながら提言をしていきたい」と述べました。

共産 志位氏「東京アラート解除後、指針を示さず無責任」

共産党の志位委員長は、記者会見で、東京都の感染数について、「政府と東京都が対応を協議し、国民に納得のいく方策を提示すべきだ。県をまたいだ移動の自粛要請も解除された今、東京だけでなく全国に関わる問題であり、速やかな対応が必要だ。東京都は『東京アラート』を解除したあと、それに代わる具体的な指針を示しておらず、非常に無責任だ」と述べました。

野党側 政府と都に速やかな協議を要求

立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党の野党4党の国会対策委員長が会談し、新たな感染者の確認が東京都で100人を超えたことについて、「感染者数の推移をみれば楽観できる状況にない」という認識で一致しました。

そして、政府と東京都に対し、今後の対応について、速やかに協議するよう求める方針を確認しました。

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「感染が収まりかけたと思ったら、元に戻りかけているという空気が出ている。政治として、きちんと対応しなければならないので、政府と都で協議するよう強く要請したい」と述べました。

日商 三村会頭「都は検査の全体像など公表を」

日本商工会議所の三村会頭は記者会見で、「どれくらいの検査人数で、陽性率がどうなったのか、検査の全体像を早く知りたい。100人というのは衝撃的な数字なので、そういうことも含めて発表してほしい」と述べました。

そのうえで「東京都は検査の内容をできるだけ分析したうえで、詳細に出すべきだ。感染者の傾向について知らしめることによって、関係者に注意を促すことができる」と述べ、感染対策をとるうえでも、検査の全体像や分析結果を公表すべきだという考えを示しました。