イージス配備停止で
防衛相 山口と秋田訪問へ
新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止について、河野防衛大臣は、19日に山口県を、21日に秋田県を訪問する方針を固め、それぞれの県の知事に対し、計画を停止した経緯を説明し、陳謝することにしています。
「イージス・アショア」の配備をめぐって、防衛省はおととし、山口県と秋田県にある自衛隊の演習場を候補地として示しましたが、河野防衛大臣は15日、技術的な問題を理由に、計画の停止を表明しました。
配備をめぐっては、地元から、ずさんな調査などをめぐって反発もあり、河野大臣は、計画の停止を表明したあと、「地元の皆さんにはご迷惑をおかけした」と述べ、早期に両県を訪れて陳謝する考えを示していました。
そして、19日に山口県を、21日に秋田県を訪問する方針を固めました。
河野大臣としては、配備計画の停止に至った経緯を丁寧に説明するとともに、両県の知事らに直接、陳謝することで、今回の判断について理解を得たい考えがあるものと見られます。
菅官房長官「米側に適切なタイミングで伝達」
菅官房長官は、午前の記者会見で、アメリカ側とのやり取りについて「平素より緊密に連携しており、今回の件も、公表にあたって適切なタイミングで、防衛省側からアメリカの国防総省などに伝達しているところだ」と述べました。
また、「ブースター」と呼ばれる推進補助装置を安全に落下させる措置について、記者団が「アメリカ側が可能だと明言していたのか」と質問したのに対し、菅官房長官は「相手側との関係があり、やり取りは控えるが、防衛省は、それまでのアメリカ側との協議や検討の結果を踏まえて、SM3の飛しょう経路をコントロールしてブースターを安全に落下させることは、技術的に可能だと判断していた」と述べました。
自民 伊吹氏「歴代の大臣に結果責任ある」
自民党の伊吹 元衆議院議長は、二階派の会合で「大臣は、細かいことが分からなくても結果責任を取るためにいるので、歴代の大臣に結果責任があると思う。結果責任を取らないといけないのは大臣の宿命だ」と述べました。
国民 玉木氏「辺野古移設も見直すべき」
国民民主党の玉木代表は、記者会見で「政府は、『イージス・アショア』の計画がスタートした理由や停止するきっかけについて、閉会中審査で説明する必要がある。費用対効果の観点から計画を停止するなら、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設もゼロベースで見直すべきだ」と述べました。
維新 馬場氏「ミサイル迎撃態勢の説明を」
日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で「山口県と秋田県の住民の了解を得られないため、最終的に計画の停止を判断したのではないか。東アジア情勢が緊迫している中、国民の生命を守るためにどのようなミサイルの迎撃態勢をとるのか、早急に国民に対して説明すべきだ」と述べました。
共産 志位氏「政策の破綻明らかに」
共産党の志位委員長は、記者団に対し、「いろいろな理屈をつけているが、政策の破綻が明らかになったということだ。これまでむだに税金を投入した責任を厳しく追及しなければならない。白紙撤回とともに、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設断念も求めていく」と述べました。
ロシア外相「状況をはっきりさせたい」
新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画をめぐって、これまで日本側に懸念を伝えてきたロシアのラブロフ外相は、「状況をはっきりさせたい」と述べ、今回、計画を停止した背景について日本側に確認したいという考えを示しました。
「イージス・アショア」の配備をめぐって、ロシアのプーチン大統領やラブロフ外相はこれまで、ロシアをねらうミサイルの発射装置に転用されるおそれがあるなどとして、日本との平和条約交渉の場などで懸念を伝えてきました。
ラブロフ外相は16日、モスクワで行われた記者会見で「イージス・アショア」の配備計画の停止について、「われわれは具体的な決定について目にしていない」としたうえで、「われわれが何らかの対応をとるか決める前に状況をはっきりさせたい」と述べ、計画を停止した背景などについて日本側に確認したいという考えを示しました。
一方、ロシア政府の関係者は、NHKに対し「ロシアにとって基本的には前向きな動きだ」と述べ、北東アジアにおける安全保障の面で日米の連携に影響が出るのかや、ロシアが関わる余地が生じるのかなど状況を分析する考えを示しました。