くて野球が」温暖化
対策求め中高生がデモ行進

地球温暖化対策の国際会議、「COP25」が開かれているスペインでは、若者を中心に大規模なデモが行われましたが、日本でも静岡県浜松市で中高生400人がデモ行進しました。

温暖化対策を求めて行進したのは、静岡県浜松市の浜松開誠館中学・高校の生徒およそ400人です。

6日午後、浜松市の中心部で「地球を守れ」「未来を守れ」と声を上げながら1時間かけて2キロ余りを歩きました。行進には運動部の生徒が多く参加し、「暑くて野球ができない」などと書いたプラカードを掲げていました。

部員全員で参加したという野球部のキャプテンを務める西川侑希さんは、「温暖化が進むと、これまでのように野球をすることも難しくなるので、自分の身近な問題だと思い参加しました。少しでも多くの人にこの問題を伝えていきたい」と話していました。

この学校の生徒たちは、ことし9月にもデモ行進を行ったほか、学校や浜松市に再生可能エネルギーの導入を働きかけてきたということです。

生徒たちの訴えを受けて、学校では電気をすべて再生可能エネルギーで賄おうと、まず、新しく建設中の体育館の屋根にソーラーパネルを設置する計画です。

高橋千広校長は「生徒たちの声を聞いて、温暖化は私たち大人に責任があると非常に考えさせられた。コストはかかるが取り組みを進めていきたい」と話していました。

参加の背景は 猛暑の影響で…

温暖化対策を求める行進に運動部の生徒たちが参加した背景には、試合が制限されたり練習時間が短縮されたりして、夏の猛暑の影響を実体験していることがあるといいます。

このうち、中学校の陸上部では去年、夏の地区大会で、短距離走やリレーで予定されていた予選がなくなりました。この日の最高気温が30度を超えると予想されたことから、熱中症を防ぐためで、急きょ、すべての競技で1回のレースのタイムで順位を決めたということです。

ことしもいくつかの競技で予選がなくなったり、選手1人につき1種目しか出場できないというルールが設けられるなど、試合が制限される傾向にあるといいます。

短距離走で大会に出場した女子生徒は、「暑い日は、自分の順番を待っているだけで体力が奪われます。予選を勝ち抜いて決勝に進むことがモチベーションなのに、その目標がなくなるのは悔しいです」と話していました。

練習でも夏の暑さ対策に試行錯誤していて、陸上部では子ども用のプールに水をはって練習の合間に生徒に水浴びをさせているということです。

陸上部の監督を務める袴田千尋さんは、「ここ数年は暑さが全く違うと感じます。大人が外にいるだけでも熱中症になるおそれがあり、まして中学生は成長途中なのでさまざまな対策が必要です」と話していました。

また、高校の野球部では夏の練習量が大幅に減っていて、例えば夏休みは暑さを避けて朝7時ごろから練習を始め、昼前には終えることも多いということです。

一方で、冬は気温が低い日には室内で筋力をつけるトレーニングを行っていましたが、ここ数年は比較的暖かい日が多く、外で通常の練習を行うことが増えて、生徒たちの体力作りに影響が出ているということです。

野球部の監督の佐野心さんは、「夏の練習量が、ここ数年、圧倒的に減っている分、冬に暖かいと外でボールを使って練習してしまいます。すると、基礎体力が落ちて夏の大会で熱中症や脱水症状になってしまったので、この冬はトレーニングをしっかりやりたい」と話し、温暖化を念頭に練習内容やふだんの生活を見直そうと生徒たちに呼びかけていました。