費増税「一里塚に
すぎない」財政審

国の財政制度等審議会は、来年度の予算編成に向けた提言を麻生副総理兼財務大臣に提出しました。財政は依然として厳しい状況にあることから消費税率10%への引き上げは一里塚にすぎないとして、歳出と歳入両面のさらなる改革を求めました。

財政制度等審議会の提言では先月からの消費税率10%への引き上げについて、「財政と社会保障の持続可能性の確保に向けた一里塚にすぎない」として、財政は依然として厳しい状況にあることから増え続ける社会保障費などで歳出と歳入両面のさらなる改革を求めました。

具体的には「団塊の世代」が3年後の2022年に75歳になり始めることを踏まえて、新たに75歳になる人から現在は1割となっている病院などでの窓口負担を70歳から74歳までと同じ2割に据え置くことを求めました。

また外来受診の際に少額の負担を求める制度の導入や、平成20年度以降引き上げが続いている医師の人件費など診療報酬の「本体」部分を引き下げることが必要だとしています。

審議会の榊原会長は記者会見で、「令和最初の予算編成では、今後の人口減少も踏まえて、潜在成長率の引き上げや社会保障の持続可能性の確保に資するかどうか、これまで以上に厳しく吟味して質の高い予算にするとともに、着実に財政健全化を進めるべきだ」と述べました。

今年度の補正予算案「真に有効で必要な措置か見極めを」

一方、政府が取りまとめを進めている今年度の補正予算案について財政制度等審議会は提言の中で「2025年度に基礎的財政収支を黒字にする目標達成に向けては当初予算と補正予算を一体として着実に歳出改革を進める必要がある」と指摘しました。

そのうえで、「今年度予算で増税に伴う対策として2兆円の施策が総動員されていることを踏まえて、財政出動を行う場合でも、真に有効で必要な措置かを慎重に見極めるべきだ」としています。

財政審としては予算規模の議論が先行することをけん制し、対策の内容や効果を精査すべきだという考えをにじませた形です。