療報酬引き下げや窓口
負担見直しを提案 財務省

国の財政問題を話し合う「財政制度等審議会」が開かれ、財務省は、増え続ける医療費を抑えるための方策を提案しました。医師の人件費など診療報酬の「本体」部分の引き下げや、新たに75歳になる人から病院などでの窓口負担を2割にする見直しを求めました。

この中で財務省は、増え続ける国民医療費が高齢化による増加を上回るペースで膨らんでいるのは、診療報酬の改定などが要因だと指摘しました。

そのうえで、医師の人件費や技術料など、診療報酬の「本体」部分が一般的な賃金や物価の水準と比べて伸びが大きくなっているとして、引き下げるべきだとしました。

また、3年後の2022年に「団塊の世代」が75歳になり始めることを踏まえ、新たに75歳になる人から、現在は1割となっている病院などでの窓口負担を70歳から74歳までの時と同じ2割のまま据え置くことを求めました。

このほか、外来受診の際に少額の負担を求める制度の導入や、薬局でも買える医薬品を医療機関で処方する場合に、薬の費用を全額、自己負担とすることなどを提案しました。

さらに、厚生労働省が全国424の病院名を公表した公立・公的病院の再編・統合の議論を推進する考えを示しました。

こうした診療報酬の引き下げや負担の見直しについて、会議では「先送りできない問題だ」とか「若い世代の負担の抑制が重要で早期に実行すべきだ」などと支持する意見が相次ぎました。

日本医師会「診療報酬引き下げ反対」

日本医師会の横倉会長は、緊急の記者会見を開き「財政審は、診療報酬の本体の改定率が賃金や物価の水準よりも伸びていると主張しているが、恣意的(しいてき)な資料だ。他の産業が賃上げを行う中で、医療にも適切な手当てを行うのは必要だ」と述べ、診療報酬の引き下げに反対しました。

また、外来受診の際に少額の定額負担を求める制度の導入についても「患者の病院へのアクセスを悪化させるもので、医療費の上昇を患者負担で賄う仕組みにしてはならない。導入は容認できない」と述べました。