米貿易協定発効で
GDP0.8%押し上げ試算

日米の新たな貿易協定について政府は、協定が発効すれば、GDP=国内総生産を4兆円余り、率にして0.8%押し上げる効果があるとする試算を公表しました。政府 与党は、今の国会で可決・承認を図りたい考えです。

日米の新たな貿易協定が署名されたことを受けて、西村経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、協定が発効した場合の経済効果の暫定的な試算を公表しました。

それによりますと、協定の発効によって貿易や投資が拡大し、経済の生産性が向上することで、GDP=国内総生産について、昨年度の水準から4兆円余り、率にして0.8%押し上げる効果があるとしています。

また雇用は、およそ28万人増えると見込んでいます。

今回の試算では、継続協議とされた自動車や自動車部品については、関税が撤廃されたことを前提に計算しているとする一方、農林水産業への影響については、輸入が増え、価格が下がることから、牛肉や豚肉、乳製品などの生産額が、あわせて600億円から、最大で1100億円減少することを見込んでいるとしています。

西村大臣は、記者会見で「日本の企業や農業にとって、アメリカでの市場拡大が期待でき、経済成長に資する協定だ。できるだけ早い発効を目指したい」と述べました。

政府 与党は、この協定について今の国会で可決・承認を図りたい考えです。

米のTPP離脱の減少分には及ばず

政府は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定による経済効果との比較も試算しています。

それによりますと、当初、アメリカも参加していた12か国の枠組みでは、2.6%のGDPの押し上げを見込んでいました。

しかし、アメリカの離脱を受けて試算した結果、GDPの押し上げは1.5%にとどまるとしていて、アメリカの離脱によって、TPPの経済効果は、GDPにして1.1%分減少した計算です。

日米貿易協定による経済効果が0.8%のため、減少分を補うには及ばないことになります。

これについて、内閣官房の幹部は「今回の協定には、貿易手続きの簡略化に関するルールが定められておらず、貿易円滑化の効果が見込めないことが主な要因だ」と説明しています。