日ロ首脳会談 和条約
交渉を未来志向で推進を

ロシア極東を訪れている安倍総理大臣は、プーチン大統領との日ロ首脳会談に臨み、北方領土問題を含む平和条約交渉について、未来志向で作業を進めることを確認したうえで、北方四島での共同経済活動の実現に向けて精力的に取り組んでいくことで一致しました。

ロシア極東のウラジオストクで行われた安倍総理大臣とプーチン大統領の首脳会談は日本時間の昼すぎからおよそ1時間半行われ、このうち、およそ20分間は通訳だけを交えて行われました。

この中で両首脳は北方領土問題を含む平和条約交渉について、きたんのない意見を交わし、未来志向で作業を進めることを確認したうえで、会談に同席し交渉責任者を務める両国の外相に対し、双方が受け入れ可能な解決策を見つけるため、協議を進めるよう指示しました。

また北方四島での共同経済活動については今月、日本のゴミ処理の専門家が現地を訪問することや、来月には試験的な観光ツアーが実施されるなど、具体的な進展がみられることを歓迎し、事業の実現に向けて精力的に取り組んでいくことで一致しました。

また安倍総理大臣は先月、フランスで開かれたG7サミットでロシアの復帰をめぐって意見が交わされたことを踏まえ、国際的な課題の対応にはロシアの建設的な役割が必要だとする日本の立場を伝えました。

さらに北朝鮮情勢について、両首脳は朝鮮半島の非核化に向け、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

そのうえで、ことし11月にチリで開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議への出席に合わせて、再び首脳会談を行うことで合意しました。

一方、会談で安倍総理大臣はプーチン大統領が5日未明、北方領土の色丹島で行われた水産加工場の記念式典に中継映像を通じて参加したことや、先月、メドベージェフ首相が択捉島を訪問したことを念頭に、北方領土をめぐる日本側の立場を伝えました。

野上官房副長官は会談のあと記者団に対し、近く外交ルートを通じてロシア側に抗議することを明らかにしました。

政府間では先端技術分野での協力拡大など覚書

今回の日ロ首脳会談にあわせて、政府は、ことし6月の前回の会談以降、5日までに、日ロ両国の政府や民間企業の間で交わされた署名文書が合わせて10件になると発表しました。

このうち、両政府が交わした文書は2件で、いずれも5日、日本の経済産業省とロシアの経済発展省が署名しました。

具体的には、日本とロシアが先端技術分野での協力を拡大していくため、両国による専門家会合を設置する覚書と、ロシア国内の工場の生産性を向上させるため、日本のIT技術を活用したモデル工場を作るための覚書です。

このほか、民間企業の間で交わされた文書は、ロシアでゴミを焼却して発電するプラントを建設する際に、日本企業が技術支援を行う契約のほか、エネルギー開発協力や自動車関連の若い技術者の育成に関する契約など、合わせて8件となっています。