ンカー攻撃「イランに
責任」米国務長官

中東のオマーン湾を航行中の2隻のタンカーが攻撃を受けたことについて、アメリカのポンペイオ国務長官は、イランが行った攻撃だとして厳しく非難しました。

中東を管轄するアメリカ海軍第5艦隊は13日、オマーン湾の公海上を航行中の「フロント・アルタイル」と「コクカ・カレイジャス」の合わせて2隻のタンカーが攻撃を受けたことを明らかにしました。

その後、「コクカ・カレイジャス」の乗組員21人は、アメリカ軍の駆逐艦が救助したということです。

また、「フロント・アルタイル」の関係者は、乗組員23人は全員、無事だとしています。

今回の攻撃について、アメリカのポンペイオ国務長官は日本時間の午前3時すぎから緊急の記者会見を開き、「アメリカ政府は今回の攻撃はイランに責任があると分析している。イランに代わってこれだけ高度に洗練された攻撃を行う組織はない」と述べ、攻撃はイランによるものだという見方を示しました。

そのうえで「安倍総理大臣がイランに歴史的な訪問を行い、事態をエスカレートさせず対話に応じるよう求めたのに、イランは拒絶し、日本のタンカーを攻撃して乗組員の生命を脅かし、日本を侮辱した」と厳しく非難しました。

一方で、ポンペイオ長官は「イランが対話の席に戻るよう経済的、外交的な努力を続ける」と述べ、あくまで経済的な圧力をてこにイランに対話を迫る考えを示しました。

イラン大統領「平和と安全実現に努めてきた」

一方、イランのロウハニ大統領は国営テレビでの演説で、「ペルシャ湾という火種の多い地域で、治安の確保は最重要課題だ。それはイランにとってだけでなく、中東、アジア、世界全体にとって重要で、われわれは常に平和と安全の実現に努めてきた」と述べました。

また、イラン外務省の報道官はツイッターに「日本の総理大臣がイランの最高指導者と面会するのと時を同じくして、日本に関連するタンカーが攻撃されるという『怪しい事件』に懸念を表明する」と書き込みました。

イランに敵対する勢力が、イランの仕業だと見せかけようとした攻撃だという見方を示したものとみられます。

そのうえで、「イランはこの地域の安全のために、周辺国との協力や対話を推し進める」として、地域の安定を脅かす事態に周辺国と協調して対処する姿勢を示しています。

国連事務総長「強く非難」

国連のグテーレス事務総長は、安全保障理事会で開かれたアラブ情勢の会合の中で強い懸念を表明しました。

そのうえで、「民間の船舶に対するいかなる攻撃も強く非難する。事実関係と攻撃の責任を明らかにしなければならない。国際社会が対応できなければ、これは中東地域の本格的な衝突になる」と述べ、事実関係の解明を呼びかけました。

会合では南アフリカなど各国の大使からも懸念の声が上がり、アメリカのコーエン国連大使代行は「民間船舶への攻撃は受け入れられない。今回の攻撃はわが国にとって深刻だ。必要な支援を行うとともに状況を分析する」と述べて、誰が攻撃を行ったのか調べる考えを示しました。

さらに安全保障理事会では、アメリカの要請を受けて日本時間の14日朝、今回のタンカー攻撃に関する非公開の会合を開くことになり、国際社会としての今後の対応を話し合うことにしています。