山議員へ辞職勧告決議案
野党が衆院に共同提出

北方四島を戦争で取り返すことの是非などに言及した丸山穂高衆議院議員について、立憲民主党など野党6党派は「国会全体の権威と品位を著しく汚した」などとして、議員辞職勧告決議案を衆議院に共同で提出しました。

北方四島を戦争で取り返すことの是非などに言及した丸山穂高衆議院議員について、日本維新の会は除名処分にし、議員辞職するよう重ねて促していますが、丸山氏は議員辞職はせず、無所属で活動する考えを示しています。

これを受けて、立憲民主党、国民民主党、共産党、日本維新の会、社民党、衆議院の会派「社会保障を立て直す国民会議」の野党6党派は17日午後、丸山氏に対する議員辞職勧告決議案を衆議院に共同で提出しました。

決議案では「わが国の国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない可能性もあり、国益を大きく損ねる暴言だ。国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭いがたく、直ちに議員の職を辞するべきだ」としています。

衆議院議院運営委員会で野党側の筆頭理事を務める、立憲民主党の手塚仁雄氏は記者団に対し、「与党側に共同提出を求めたが、『タイトルも含め、修文を検討したい』という話だったので、議員辞職勧告決議案ではなくなる可能性があり、野党6党派で提出した。丸山氏の発言が問題だという意識は、与野党を超えて、共有できていると思う」と述べました。

維新 松井代表「本人のためにも早くけじめを」

日本維新の会の松井代表は、大阪市役所で記者団に対し、「本人のためにも早くけじめをつけたほうがいい。丸山議員の行動と発言は不適切だったという衆議院としての意思表明を、全会一致でされるべきだ」と述べました。

維新 馬場幹事長「辞職求めていく」

日本維新の会の馬場幹事長は東京都内で記者団に対し、「議員の身分に関わることは、自分で判断するのが定説になっているが、議員を辞めるぐらいの問題であるという認識を持っていたので、決議案の提出で、われわれの思いが一定、実現した。本会議などにかかれば賛成し辞職を求めていく」と述べました。

自民 森山国対委員長「辞職勧告には慎重に」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、「国会議員の身分は、非常に重いものだ。丸山氏の一連の発言は、極めて遺憾だが、言論の自由などを考えた時に、辞職勧告には慎重でなければならない」と述べ、議員辞職勧告決議案には慎重な姿勢を示しました。

一方で、「短絡的な発言を容認するわけにはいかず、国会として何ができるかを、来週に向けて考え、与党として責任ある対応をしたい」と述べ、別の決議案などの提出も含め、対応を検討する考えを示しました。

辞職勧告決議案 発言理由は異例

衆議院の事務局によりますと、これまで、逮捕された議員などに対し議員辞職勧告決議案が提出されていますが、議員の発言を理由に提出されるのは異例だということです。

これまで衆議院で議員辞職勧告が決議されたのは、平成14年にあっせん収賄の疑いで逮捕された鈴木宗男氏と、平成15年に政治資金規正法違反の疑いで逮捕された坂井隆憲氏、それに平成18年に弁護士の名義を不正に貸した罪などに問われた西村真悟氏の3人です。

また参議院では、平成9年にオレンジ共済組合の詐欺事件で友部達夫氏に対して、辞職勧告が決議されています。

辞職勧告決議には法的な拘束力はなく、鈴木宗男氏ら4人はいずれも辞職しませんでした。

一方、決議されなかったものの、参議院では3年前に「アメリカの建国当初に、黒人、奴隷が大統領になるなんて考えもしなかった」などと発言した自民党の丸山和也議員に対し、議員辞職勧告決議案が提出されたことがあります。