TO「上級委の問題
どう改革するか」伊原大使

韓国政府による水産物の輸入禁止措置の撤廃を求めた日本側の主張を退ける報告書が、WTO=世界貿易機関の会合で正式に採択されましたが、会合で、日本政府は紛争処理の役割を果たさず、被災地の復興努力に水を差す結果になったと主張し、懸念を表明しました。

WTOの上級委員会は今月、韓国政府が原発事故を理由に福島などからの水産物の輸入を禁止している措置の撤廃を求めた日本側の主張を退ける報告書を公表し、この報告書が26日、スイス・ジュネーブの本部で開かれた会合で、正式に採択されました。

会合に出席したジュネーブ国際機関日本政府代表部の伊原大使は、上級委員会の報告について、韓国の措置がWTOルールに適合しているのかどうかの判断にまで踏み込んでおらず、紛争処理の役割を果たしていないと批判しました。

そして、こうした上級委員会の姿勢が被災地の復興に向けた努力に水を差す結果となり極めて遺憾だと主張して、懸念を表明しました。

WTOの紛争処理は2審制で、これが最終的な判断となりますが、会合のあと伊原大使は記者団に対し「今の上級委員会がさまざまな問題を抱えていることは、多くの加盟国が認識している。加盟国の不満をどう改革に結び付け、建設的な方法につなげるか考えていかなくてはならない」と述べて、紛争処理の在り方を見直す議論に積極的に関わっていく考えを示しました。