阪ダブル選挙
維新が制す 都構想に弾み

7日に投票が行われた統一地方選挙の前半戦で、いわゆる「大阪都構想」の是非が主な争点となった大阪府知事選挙と大阪市長選挙のダブル選挙は、いずれも大阪維新の会が制しました。維新の会は、あわせて行われた府議会と大阪市議会の議員選挙でも大きく勢力を伸ばし、府議会では過半数の議席を獲得し、都構想の実現に向けて弾みをつけました。

大阪府知事選挙

新人2人の争いとなった大阪府知事選挙は、大阪維新の会の新人で前の大阪市長の吉村洋文氏が、自民党などが推薦した候補を破って初めての当選を果たしました。

大阪府知事選挙の結果です。

▽吉村洋文(大阪維新の会・新)当選 226万6103票
▽小西禎一(無所属・新)125万4200票。

大阪維新の会の新人で前の大阪市長の吉村氏が、自民党と公明党大阪府本部が推薦し、国民民主党大阪府連が支持する元大阪府副知事の小西氏を抑え、初めての当選を果たしました。

吉村氏は大阪府出身で43歳。衆議院議員などを経て、平成27年の大阪市長選挙で初当選し、3年余り市長を務めましたが、いわゆる「大阪都構想」の実現に向けて改めて民意の後押しを得たいとして、先月、大阪維新の会代表で大阪府知事だった松井一郎氏とともに辞職し、入れ代わって知事選挙に立候補しました。

選挙戦で、吉村氏は、市長在任中に市営地下鉄の民営化など行政のスリム化に取り組んだ実績を強調するとともに、「大阪都構想」を実現することで府と市の二重行政を解消し、さらなる大阪の発展につなげると訴えました。

そして、大阪維新の会の支持層を固めたほか、支持政党を持たない無党派層や、小西氏を推薦した自民党の支持層からも一定の支持を集め、初めての当選を果たしました。

今回の大阪府知事選挙の投票率は49.49%で、4年前の選挙に比べて4.02ポイント高くなりました。

吉村氏「都構想の再挑戦に踏み出したい」

吉村氏は記者会見で、「本当に厳しい選挙戦だったが、これまで松井知事と一緒に府市一体で改革を進めてきたことを続けていけということだと思う。これまでの維新の改革を続け、大阪を成長させるとともに都構想の再挑戦に踏み出していきたい。大阪の成長を目指して、身を引き締めて頑張っていきたい」と述べました。

小西氏「私の候補者としての力不足」

大阪府知事選挙で敗れた小西禎一氏は午後8時すぎからの記者会見で、「当選できなかったのは、私の候補者としての力不足だ。大阪の政治を変えようと訴え、多くの方から共感を得られると思ったが、結果としてそうならなかったことは重く受け止めないといけない。相手は大阪都構想への再挑戦を訴えているが、本当に府民の方に理解いただけているのかは疑問に思う」と述べました。

大阪市長選挙

新人2人の争いとなった大阪市長選挙は、大阪維新の会の新人で前の大阪府知事の松井一郎氏が、自民党などが推薦した候補を破って初めての当選を果たしました。

大阪市長選挙の結果です。

▽松井一郎(大阪維新の会・新)当選 66万819票
▽柳本顕(無所属・新)47万6351票

大阪維新の会の新人で前の大阪府知事の松井氏が、自民党と公明党大阪府本部が推薦し、国民民主党大阪府連が支持する元大阪市議会議員の柳本氏を抑え、初めての当選を果たしました。

松井氏は大阪府出身で55歳。大阪府議会議員などを経て、平成23年と27年の大阪府知事選挙に連続で当選しましたが、いわゆる「大阪都構想」の実現に向けて改めて民意の後押しを得たいとして、先月、大阪市長だった吉村洋文氏とともに辞職し、入れ代わって市長選挙に立候補しました。

選挙戦で、松井氏は、知事在任中に、府と市の研究所や、大学の運営法人の統合など、二重行政の解消に取り組んだ実績を強調するとともに、大阪のさらなる発展のためには府と市が一体となって成長戦略に取り組むことが必要だとして、「都構想」の実現を訴えました。

そして、みずからが代表を務める大阪維新の会の支持層を固めたほか、支持政党を持たない無党派層や、柳本氏を推薦した自民党の支持層からも一定の支持を集め、初めての当選を果たしました。

今回の大阪市長選挙の投票率は52.70%で、4年前の選挙に比べて2.19ポイント高くなりました。

松井氏「大阪都構想 丁寧に議論し最終的には住民に判断」

松井氏は記者会見で、「大阪府と大阪市が一体で、二重行政をなくしていくことに対して、大勢の人たちから『大阪を住みやすい街にするように』という判断をいただいたと思う。大勢の思いを受け止めて、謙虚な心で、これから市政運営にあたっていきたい」と述べました。

また松井氏は「大阪都構想については、大阪府議会議員選挙と大阪市議会議員選挙の結果が出なければ、どう進めていくか、はっきり申し上げることはできない。しかし、都構想に反対する声もあったのは事実なので、反対の意見も聞きながら丁寧に進めていきたい。今回の選挙で、市民はまだ都構想の中身を理解していないという声が多かったので、丁寧に議論したうえで、最終的には住民に判断していただきたい」と述べました。

柳本氏「自分の力不足と感じている」

大阪市長選挙で敗れた柳本顕氏は午後8時すぎからの記者会見で、「皆様のご期待に添えない結果となり、申し訳なく思う。自分の力不足と感じている。今回の選挙に対して大阪市を守り抜くため皆さんと戦えたことには感謝している」と述べました。

そして都構想については「都構想は大きな争点にすべきではないと思っていたが、それを十分に訴えられなかった。都構想賛成の方が当選したことは真摯(しんし)に受け止めるが、都構想の中身についての議論は深まったとは思えない」と述べました。

そのうえで今回の選挙を振り返り、「相手が仕掛けた選挙で、立候補の時点で不利なことはわかっていた。それでもこの戦いに臨んだことは一点も悔いない。退路を断ってこの選挙に臨んだので、政治家・柳本顕は息絶えた」と述べました。

自民 二階幹事長「結果は謙虚に受け止めたい」

自民党の二階幹事長は記者団に対し、「大阪ダブル選挙の結果は謙虚に受け止めたい。敗因を分析し、次なる戦いに備えていきたい。まだ活動の余地があったのではないかとは思う」と述べました。

公明 山口代表「民意を真摯に受け止める」

公明党の山口代表は記者会見で、「極めて残念な結果だ。示された民意を真摯に受け止めるとともに、議会議員選挙の結果を待ったうえで、その構成のもとでの府政、市政の在り方について、民意を尊重しながら進めていくことが大切だ」と述べました。

そのうえで山口氏は「都構想自体は中身が判然としないまま選挙がなされていたが、当選した候補の、『大阪府も大阪市もなんとかしたい』という前向きな気持ちに評価が集まったのではないか。一方で、敗れた側は自公はともかく、一部野党も支持をするという動きの中で、何をやりたいのか、何を進めたいのかがはっきり伝わりきらなかったのではないか」と述べました。

自民大阪府連 左藤会長「準備不足」

大阪府知事選挙と大阪市長選挙の結果を受けて、自民党大阪府連の左藤章会長は「すばらしい人物を候補者として擁立したが、準備不足で、候補者の声が市民に届く時間がなかったと思う。都構想の中身については明確にされていないし、経費やいろんなむだが本当になくなるのか疑問だ。今後の推移を注視していくしかないと思っている」と述べました。

公明大阪府本部 佐藤代表「民意を重く受け止める」

大阪府知事選挙と大阪市長選挙の結果を受けて、公明党大阪府本部の佐藤茂樹代表は「選挙の結果、民意を重く受け止める。突然のダブル選挙で候補者選定に時間がかかり、主張の内容が幅広く浸透しきれなかったことは残念だ」と述べました。

そのうえで、「維新に対しては今まで一貫して是々非々で臨んできたし、これからも是々非々で臨んでいく。府議選と市議選の結果を見て、今後の都構想の扱いについてどう対応していくか党として検討したい」と述べました。