策認められた」防衛相
「結論ありきだ」玉城知事

沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画をめぐり沖縄県が埋め立ての承認を撤回したことについて、国土交通省は去年、沖縄県の処分の効力を一時的に停止したのに続き、審査の結果、沖縄県の処分は違法で取り消すとする裁決を出しました。

名護市辺野古沖の埋め立て工事について、沖縄県が軟弱地盤が見つかったなどとして埋め立ての承認を撤回したのに対し、防衛省は行政不服審査法に基づく不服を申し立て、埋め立てに関する法律を所管する国土交通省が去年10月、沖縄県による処分の効力を一時的に停止しました。

これを受けて、政府は土砂を投入するなど埋め立て工事を進めています。防衛省はさらに沖縄県による処分の取り消しを求める審査請求を出していて、国土交通省は審査を進めた結果、防衛省の請求を認め沖縄県の処分は違法で取り消すとする裁決を出しました。

石井国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で、「埋め立てが法律の要件を欠いているとは認められず、沖縄県の撤回処分には理由がないと判断した」と述べ、判断の根拠として軟弱地盤について専門家から意見を聞いた結果、改良工事で対処が可能であることなどを踏まえたと説明しました。

岩屋防衛相「軟弱地盤対策認められた」

岩屋防衛大臣は記者会見で、「今般の裁決を受けて、普天間基地の一日も早い全面返還を実現し沖縄の負担を軽減するため、今後とも移設に向けた取り組みについて丁寧に説明し地元の理解・協力を得られるように粘り強く取り組んでいきたい」と述べました。

そのうえで、「軟弱地盤という課題はあるが、実績のある一般的な工法で施行を安定的にできることを審査で認めてもらったということだ。地盤改良の設計変更についてもできるだけ早く仕上げて、沖縄県に承認願を出せるようにしたい」と述べました。

玉城知事「裁決は結論ありき」

沖縄県の玉城知事はコメントを発表し、この中では「今回の裁決は政府による『自作自演』であって、結論ありきのものだと言わざるをえない。県は、埋め立て承認の撤回を適法に行っており、それを取り消されるいわれは全くない」としています。

そのうえで今後の対応について、「裁決書が到達したあとに内容を精査し正式に決定することにしているが、毅然と対応していきたい。ぶれることなく、県民投票によって示された辺野古の埋め立てに反対するという民意に添い、全身全霊をもって県民の思いに応えていく」としています。

沖縄県は裁決取り消し求め提訴へ

沖縄県は「県が行った撤回は有効であり、国土交通省の裁決は受け入れられない」などとして、国土交通省による裁決の取り消しを求めて裁判を起こす方向で調整に入りました。

国土交通省は去年10月、埋め立て承認の撤回の効力を一時的に停止する決定も出していて、沖縄県は、これについても取り消しを求める裁判を起こしています。