新元号は「令和」
出典は「万葉集」

平成に代わる新しい元号について、政府は1日の臨時閣議で「令和(れいわ)」とすることを決め、菅官房長官が発表しました。また、「令和」の典拠、いわゆる出典は日本最古の歌集である万葉集であると発表しました。元号は、皇太子さまが天皇に即位される来月1日に「令和」に改められます。

政府は1日午前、総理大臣官邸で、各界の代表や有識者からなる「元号に関する懇談会」を開き、新しい元号の複数の原案を示し意見を聞くなどしたうえで、臨時閣議で新しい元号を「令和」とすることを決定し、菅官房長官が午前11時半すぎからの記者会見で発表しました。

この中で、菅官房長官は「さきほど閣議で元号を改める政令、および、元号の呼び方が閣議決定された。新しい元号は令和であります」と述べ、書を掲げて、平成に代わる新しい元号を「令和」に決定したと発表しました。

そのうえで、「令和」の典拠、いわゆる出典について「『令和』は『万葉集』の梅花の歌、三十二首の序文にある『初春の令月(れいげつ)にして、気淑く(きよ)風和らぎ(やわらぎ)、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披き(ひらき)、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす』から引用したものだ」と述べました。

菅官房長官は記者会見で、新しい元号の考案者について「考案者ご自身が秘匿を希望していることに加え 考案者を明らかにすれば新元号と特定の個人との結びつきが強調されることになりかねないため、お答えは差し控えたい」と述べました。

また、懇談会で出された意見や原案の数について質問されたのに対し、「意見聴取の場でどんなご意見があったかについてお答えすることは差し控えたいと思う」と述べました。

また、「新元号が日本人の生活の中に深く根ざしていくためには、他の案と比較して議論されることは適当でないと考えており、新元号として決定されたもの以外の案については、その数も含めてお答えは差し控えたい」と述べました。

そのうえで、「いずれにしても、今般決定された新元号が広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざしていくよう努めていきたい」と述べました。

日本の元号は、研究者によりますと、「平成」までの247すべてが中国の古典を典拠としているとされていますが、日本の古典から引用されたのは初めてだということです。

新元号を定める政令は1日中に天皇陛下の御名・御璽(ぎょめい・ぎょじ)、いわゆる署名・押印を得て公布され、元号は、皇太子さまが即位される来月1日に「令和」に改められます。

「令」は元号初 過去に候補もなし

政府によりますと、新元号に決まった「令和」の「令」の字が元号に用いられるのは初めてだということです。また「令和」は、政府関係者が把握するかぎり、過去に候補としてあげられたことはないということです。

新元号に「令和」が決まったことを受けて政府関係者は報道陣を対象にブリーフを行いました。

それによりますと、「令和」の「令」の字が元号に用いられるのは初めてとなる一方、「和」の字は、「昭和」などこれまでに19回使われており、「令和」で20回目となるということです。

また、政府関係者が把握するかぎり、「令和」は、過去に候補としてあげられたことはないということです。

さらに、「令和」の典拠、いわゆる出典となった「万葉集」の該当箇所は、歌人の大伴旅人が宴を催し、32人が梅の花を題材に歌ったものをまとめた序文として、大伴旅人自身が書いたものだということです。

また、新元号の選定にあたって「元号に関する懇談会」などに示された複数の原案には、万葉集から引用した「令和」のほか、中国の古典を典拠とするものも含まれていたということです。

このほか、菅官房長官が記者会見で掲げた「令和」と書かれた書は、内閣府人事課の「辞令専門職」を務める茂住修身氏が書いたということで、行政文書として適切に保存されるということです。

令和は「REIWA」

外務省によりますと「令和」の英語のつづりは「R・E・I・W・A」だということです。

河野外務大臣は記者団に対し「わが国が承認している195か国と国際機関に新しい元号について通知をした。今後、意味なども順次、お伝えしていく」と述べました。

そのうえで「いましばらく平成の時代は続く。今上天皇が先の式典でおっしゃったように、平成という時代がわが国にとって戦争のない時代で終われるように引き続き努力しないといけないと思うし、次の時代になっても同じように努力をしっかりしていかなければならない」と述べました。