否問う県民投票
3択で調整 沖縄県議会

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画に伴う、名護市辺野古沖の埋め立てへの賛否を問う県民投票の投票日までちょうど1か月となる中、県議会の各会派は、断続的に代表者会議を開き、選択肢に「どちらでもない」を加えた3択にするなどの条例改正をめぐって調整が続いています。

来月24日に行われる県民投票をめぐっては、宜野湾市など5つの市が「賛成か反対の2択では民意をはかれない」などとして実施しない方針を示し、県議会の玉城知事の与党会派は23日、すべての市町村での実施に向け、選択肢に「どちらでもない」を加えた3択にする条例改正を容認する方針で一致しました。

これを受け、県議会の新里議長は24日午前、与野党各会派の代表者会議を開き、選択肢を3択にする条例改正を提案しました。

これに対し、与党会派のほか、中立の立場を取る公明党や「維新の会」は賛成しましたが、県政野党の自民党は「説明を受けるのが初めてだ」などとして、持ち帰りました。
そして、午後再開された会議で、自民党は、選択肢を、名護市辺野古沖の埋め立てについて「やむを得ない」、「反対」、「どちらとも言えない」の3択とし、来月24日の実施にこだわらず、すべての市町村で一斉に実施することを提案し、調整が続いています。

官房長官「辺野古への移設が唯一の解決策」

菅官房長官は、24日午前の記者会見で「地方公共団体が条例に基づいて行うものであり、政府としてコメントは控えたい」と述べました。

また、菅官房長官は県民投票の結果が政府の移設計画に影響を与えるかどうかについて「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険除去、固定化を避けることを考えた時に名護市辺野古への移設が唯一の解決策だ」と述べました。

そのうえで「玉城知事にとっても、普天間飛行場の危険除去をどう進めていくかは極めて重要な問題で、固定化は絶対に避けなければならないはずだ。政府としては、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという観点から、政府の取り組みを丁寧に説明し、地元の皆さんのご理解ご協力を得られるよう粘り強く取り組んでいきたい」と述べました。

県民投票 5市が実施しない方針

県民投票をめぐっては、県内の各市町村が投票事務を行うことが条例で定められていますが、沖縄市、うるま市、宜野湾市、宮古島市、それに、石垣市の5つの市は実施しない方針を示しています。

対象となる有権者は5つの市で、合わせておよそ36万7000人にのぼり、このままでは県内の3割を超える有権者が投票できない見通しとなっています。

いずれの市も、投票に必要な費用を盛り込んだ予算案が議会で認められず、市長らは、「議会の意思を尊重する必要がある」、「『賛成』、『反対』の2択で判断を迫るのは乱暴だ」などと実施しない理由を説明しています。

沖縄市長「3択 高く評価したい」

沖縄市の桑江市長は、記者団に対し「副知事や県議会議長が選択肢を3択にすることで汗をかいて努力していることを高く評価したい。私自身も汗をかいて市議会を説得して県民投票に参加できるように動き出したい」と述べました。

宜野湾市長「県議会で全会一致を」

宜野湾市の松川市長は、投票の実施には県議会で全会一致のもと条例が改正される必要があるという認識を示しました。

松川市長は記者団に対し、「きょうの段階で結論が出るのかな思っていたが状況がまだ見えてこないため県議会の動きを注視している」と述べました。

そのうえで、「すべての市町村が投票できる環境づくりをしてほしいと言い続けてきたので、県議会で全会一致での議決を得ることが条件だ」と述べ、投票の実施には県議会で全会一致のもと条例が改正される必要があるという認識を示しました。