軍訓練候補地の馬毛島
「調査に理解を」防衛副大臣

在日アメリカ軍の空母艦載機の訓練の移転候補地となっている鹿児島県西之表市の馬毛島について、原田防衛副大臣は鹿児島県庁を訪問し、三反園知事らに現地調査に理解を求めました。

原田防衛副大臣は三反園知事と柴立鉄彦県議会議長らに対し、今後、馬毛島で予定している現地調査について概要を説明しました。

そのうえで「地元のさまざまな思いを受け止めながら丁寧に対応していくので理解と協力をお願いしたい」と述べました。

三反園知事は「地元の意向が大事だ」と述べて、地元に対して丁寧に説明するよう要請しました。

また知事らは現地調査の期間について質問し、原田防衛副大臣は今年度内に終えたいと回答しました。

会談のあと三反園知事は記者団に、馬毛島をめぐっては地元の意向が大事だとし、「防衛省には地元に対して十分かつ丁寧な説明を要望した。県としては地元の動向を注視していきたい」と述べました。

原田防衛副大臣は「土地所有者とは売買について交渉を進めていて今後のスケジュールを示せる段階ではない。現地調査をしたうえで、必要があれば、今後、地元住民に対する説明会などの対応もしていかなければならない」と述べました。

西之表市長とも会談

原田防衛副大臣は21日午前、西之表市役所を訪れ、八板俊輔市長らと会談しました。

在日アメリカ軍の空母艦載機の離着陸訓練は、小笠原諸島の硫黄島で行われていますが、政府は、艦載機の部隊が神奈川県の厚木基地から山口県の岩国基地に移転したことに伴い、岩国基地に近い馬毛島を移転候補地としていて防衛省が島の大半を所有する東京都内の開発会社とおよそ160億円で買収することで大筋合意しました。

原田防衛副大臣は「馬毛島は安全保障上、重要な場所だ」としたうえで今月中にも馬毛島の現地調査を始める方針を説明しました。

これに対し、八板市長は現時点で土地の買収契約が結ばれたかや買収額が決まったかについて質問し、原田防衛副大臣は「買収額は決まっておらず、正式契約もまだだ」と答えました。

会談のあと八板市長は記者団に対し、「何も決まっていない状態で申し上げられないが、市民のいろいろな思いを受け止めて、わたしどもの考えを理解してもらえるよう適切に対処していきたい」と述べました。

住民からは賛否の声

原田防衛副大臣が訪れた西之表市役所の前には、アメリカ軍の空母艦載機の訓練移転について賛成反対の双方の立場の人たちが集まり、それぞれの主張を訴えました。

訓練移転に反対する70代の男性は「訓練の施設を移転するというのは島にとってふさわしくない。ほかの形で生かす方法を探ってほしい」と話していました。

一方、訓練移転に賛成する71歳の男性は「地元自治体への経済効果などのメリットを考えると訓練移転すべきだ。市長には市民のさまざまな意見に耳を傾けてもらい、適切に対応してほしい」と話していました。