米タイム誌 表紙に岸田首相 “軍事大国化望む”と紹介も記述変更

アメリカの雑誌「タイム」は、岸田総理大臣を表紙にした次の号の内容をウェブサイトで公開し「岸田総理大臣は自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」などと伝えました。しかし「日本を軍事大国に変える」とする記述をその後、変更しました。

「日本を軍事大国に変える」と記述

タイム誌は岸田総理大臣の写真を掲載した5月22日・29日号の表紙と、特集記事を9日付けのウェブサイトに公開しました。

表紙では「岸田総理大臣は何十年も続く平和主義を放棄し、自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」と紹介しています。

特集記事は4月下旬に公邸で行われたインタビューを元に書かれ「岸田総理大臣は、影響力を増す中国を食い止めたいアメリカの後押しを受け、経済規模で世界3位の国を相応の軍事的なプレゼンスを持つ大国に戻し始めた」などと分析しています。

一方で、最大の貿易相手国である中国にどれくらい圧力をかけられるかは不透明だとしたほか、防衛力の強化が岸田総理大臣が核兵器のない世界を目指すとしてきたことと矛盾するという見方もあるとも指摘しています。

タイム誌は、先月発表したことしの「世界で最も影響力のある100人」の「リーダー」部門に岸田総理大臣を選んでいます。

松野官房長官「歴史的な役割を担う指導者との論調」

松野官房長官は、11日午前の記者会見で「インタビューの中で岸田総理大臣は、日本の置かれた厳しく複雑な安全保障環境に加え、防衛力強化や経済政策など幅広い課題について政府の立場を説明し、結論部分では、世界の分断を防ぐ歴史的な役割を担う指導者との論調となっている」と述べました。

その後「日本を軍事大国に変える」記述を変更

アメリカの雑誌「タイム」は、岸田総理大臣にインタビューした特集記事を9日、ウェブサイトで公開しましたが「日本を軍事大国に変える」とする記述をその後、変更しました。
タイム誌は「さまざまな理由でウェブ版のタイトルや記事は更新することがある」と説明しています。

タイム誌は、先月下旬に岸田総理大臣にインタビューを行い、その内容を特集記事として9日、ウェブサイトに公開しました。

当初、ウェブ版の特集記事の中のタイトルは「岸田総理大臣は、平和主義だった日本を軍事大国に変える」としていましたが、その後「岸田総理大臣は、平和主義だった日本に国際舞台でより積極的な役割を持たせようとしている」と変更しました。

一方、出版される雑誌の表紙には「岸田総理大臣は何十年も続く平和主義を放棄し、自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」と書かれていて、この記述は変更されていません。

これについてタイム誌は、NHKの取材に対し「さまざまな理由でウェブ版のタイトルや記事は更新することがある」と説明する一方「出版される雑誌の表紙や記事は変わっていない」とコメントしました。

林外相「表題と中身にかい離あることを指摘」

林外務大臣は12日の記者会見で「インタビューの中で岸田総理大臣からわが国の置かれた厳しく複雑な安全保障環境や防衛力強化、経済政策など幅広い事項について政府の立場を説明した。結論部分では世界の分断を防ぐ歴史的な役割を担う指導者という論調になっており、記事全体として見れば説明が反映されたものと受け止めている」と述べました。

そのうえで、外務省としてタイム誌側に何らかの対応を行ったのか問われたのに対し「表題と中身にかい離があることを指摘したが、詳細なやりとりは差し控えたい」と述べました。