G7外相会合 共同声明 “中国 一方的な現状変更の試みに反対”

G7=主要7か国の外相会合が終了し、各国は共同声明で、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナに厳しい冬への備えも含めて全面的な支援を続けるとしたほか中国に対しては、台湾海峡などでの一方的な現状変更の試みに反対するとしてけん制しました。

ドイツ西部のミュンスターで行われていたG7外相会合は11月4日、共同声明を採択して終了しました。

声明では、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対して▼直ちに撤退するよう改めて求め、生物・化学兵器や核兵器の使用は重大な結果を伴うと警告しています。

また▼ロシアがエネルギーと食料の輸出を武器として使おうとしていると非難し、▼ロシア産の原油に対し数週間以内に価格の上限を設けるとしました。

ウクライナには▼厳しい冬への備えも含めて、財政、軍事、政治面などで支援を続けるとしたほか、▼エネルギーや水のインフラ施設を修復したり防衛したりすることを支援する調整の枠組みを設け、12月、フランスで開く国際会議などで話し合うとしました。

一方、習近平国家主席が共産党のトップとして異例の3期目に入った中国については、▼可能な分野で建設的な協力関係を目指すとしながらも、▼台湾海峡における平和と安定の重要性を再確認し、一方的な現状変更の試みに強く反対するとともに、▼新疆ウイグル自治区や香港などの人権状況について懸念を示しました。

さらに、北朝鮮に対しては▼一連の弾道ミサイルの発射は国連安保理決議に違反しているとして強く非難するとともに、核兵器やその開発計画などを完全に、検証可能かつ不可逆的な形で廃棄するよう求めました。

ドイツ外相「中国 核兵器使用反対は重要なサイン」

G7の議長国ドイツのベアボック外相は外相会合の終了後の会見で「ウクライナの罪のない人たちへのひどい攻撃が1日続くごとに、それは、死、苦しみ、それに破壊を意味する。これを止め、ロシア軍に撤退を命じられるのはプーチン大統領だけだ」と述べました。

その上でウクライナへの支援について「この数か月間、私たちが穀物や軍事物資などを支援してきたのと同様、今度は冬の間の支援をする。これはG7だけでなく、国際社会が団結して行う」と強調しました。

その後の質疑応答では、ショルツ首相がG7外相会合の最中に中国を訪れたことについて聞かれ「首相府とはもちろん緊密に調整している。中国はパートナーであると同時に、多くの分野において競争相手であり、体制的なライバルだという認識で一致している」と述べました。

また、ショルツ首相との会談で、中国の習近平国家主席がウクライナ情勢を巡って核兵器の使用や威嚇に反対の立場を示したことについて「中国側がそのように明言したのは重要なサインだ」と評価しました。

林外相 EU外相らと相次いで会談 北朝鮮ミサイル対応で連携確認

ドイツを訪れている林外務大臣は、EU=ヨーロッパ連合のボレル上級代表やフランス、イタリアの外相と相次いで会談し、弾道ミサイルの発射など挑発行為を繰り返す北朝鮮に、連携して対応していくことを確認しました。

G7=主要7か国の外相会合に出席するため、ドイツを訪れている林外務大臣は、日本時間の11月4日夕方、EUの外相にあたるボレル上級代表と会談しました。

会談では、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアへの制裁やウクライナの復興支援で、引き続き、国際社会と連携して対応していくことで一致しました。

また、北朝鮮をめぐり、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の可能性があるものも含む、弾道ミサイルの相次ぐ発射をはじめ、核や拉致問題への対応でも連携していくことを確認しました。

林大臣はこのあと、フランスのコロナ外相、イタリアのタヤーニ外相とも相次いで会談し、北朝鮮問題への連携を確認しました。

林外相 来年のG7議長国踏まえ ウクライナ情勢など議論主導へ

林外務大臣はドイツで開かれたG7=主要7か国の外相会合の一連の日程を終え、来年、日本が議長国を務めることを踏まえ、ウクライナやインド太平洋などの地域情勢をめぐる議論を主導していきたいという考えを示しました。

G7外相会合のため、ドイツを訪れた林外務大臣は、日本時間の11月4日の夜、アメリカのブリンケン国務長官と会談しました。

この中で両外相は、中国をめぐるさまざまな課題に連携して対応するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性を確認し、3期目をスタートさせた習近平指導部の動向を注視していくことで一致しました。

また、弾道ミサイルの発射など挑発行為を繰り返している北朝鮮については、国連安保理決議に沿った完全な非核化に向けて、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

このあと林大臣はG7各国とアフリカの国々を交えたセッションに参加し、ロシアによるウクライナ侵攻がアフリカの食料やエネルギーの安全保障に深刻な影響を与えているとして、アフリカの持続可能な発展に向けて取り組むことで一致しました。

一連の日程を終えた林大臣は記者団に対し「国際社会がさまざまな課題に直面する中、法の支配に基づく国際秩序を維持する重要性や、力による一方的な現状変更の試みは決して認めないことを強調した」と述べました。

その上で、来年、日本がG7の議長国を務めることを踏まえ、ウクライナやインド太平洋などの地域情勢をめぐる議論を主導していきたいという考えを示しました。