地のパレスチナ人道支援
緊急会合で河野氏共同議長に

パレスチナ難民に人道支援を行う国連機関が、アメリカからの資金の拠出が凍結されたことを受けて来月から活動停止に追い込まれる懸念が高まっています。日本政府は問題解決に積極的に関わろうと今月下旬に開かれる関係国による緊急の閣僚級会合で河野外務大臣が共同議長を務めることがわかりました。

530万人に上るパレスチナ難民に食糧や教育などの支援をしているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は、活動資金の3割を負担してきたアメリカのトランプ政権が資金拠出を凍結している影響で、日本円で230億円余りの資金不足を解決できなければ来月から活動停止に追い込まれる懸念が高まっています。

こうした事態を受けて、今月27日にニューヨークで関係国による緊急の閣僚級会合が開かれることになり、関係者によりますと、日本政府は問題解決に積極的に関わろうと河野外務大臣が中東のヨルダンなどとともに共同議長を務めることがわかりました。

緊急会合ではUNRWAの活動継続に必要な当面の資金確保に向けて協議するほか、中長期的な対策についても意見を交わす見通しです。

アメリカのトランプ政権は、秋の中間選挙に向けてイスラエル寄りの立場をとる国内の支持基盤を意識し、パレスチナへの強硬姿勢を強めていますが、日本政府としては人道支援の観点からUNRWAを支えていく方針です。

日本 UNRWAへ7番目の拠出額の支援

日本政府は先月28日、中東のエルサレムでUNRWAへの緊急の資金協力を表明しました。

具体的には6億円の資金を拠出し、イスラエルの経済封鎖下にあり、ガザ地区にいる100万人のパレスチナ難民への食糧支援に充てられることになっています。

日本は去年1年間、47億円余りの資金をUNRWA向けに拠出し、国と地域別に見るとアメリカ、EU、ドイツなどに次いで7番目に拠出額が大きい支援国となっています。

ドイツも資金拠出増額へ

ドイツ政府はさらなる資金協力を行う意向を示しています。

ドイツのマース外相は、EU=ヨーロッパ連合の加盟国の外相にあてた手紙の中で、UNRWAの重要性を指摘したうえで「ドイツはことしUNRWAにすでに8100万ユーロ(104億円)を拠出しているが、さらなる資金協力を行う」としています。

具体的な金額は明らかにしていませんが、マース外相は資金不足の解決には十分でないとしてEUとして積極的に取り組むことが重要だと呼びかけています。

また今月下旬に開かれる緊急の閣僚級会合について、UNRWAを支持するという明確なメッセージを発する機会にすべきだ、としています。