横浜市長選挙 告示
過去最多の8人立候補

横浜市長選挙がきょう告示され、過去最多の8人が立候補しました。
選挙戦では、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の横浜市への誘致計画や新型コロナウイルス対策などをめぐって、論戦が交わされる見通しです。

横浜市長選挙に立候補したのはいずれも無所属の現職と新人合わせて8人で、過去最多となりました。

届け出順に、

元横浜市議会議員の太田正孝氏(75)
元長野県知事の田中康夫氏(65)
元国家公安委員長の小此木八郎氏(56)
水産仲卸会社社長の坪倉良和氏(70)

元衆議院議員の福田峰之氏(57)
元横浜市立大学教授で立憲民主党が推薦する山中竹春氏(48)
4期目を目指す現職の林文子氏(75)
元神奈川県知事の松沢成文氏(63)

以上の8人です。

今回の選挙で、自民党は自主投票を決めましたが、市議会議員の多くが小此木氏を支援し、地元選出の菅総理大臣も支援を表明しました。

同じく自主投票を決めた公明党も実質的に支援しています。

自民党の一部の市議会議員は、林氏の支援に回っています。

立憲民主党は山中氏を擁立し、共産党や社民党も支援しています。

選挙戦では、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の横浜市への誘致計画や、神奈川県内でも感染が拡大している新型コロナウイルスへの対策、それに、3期12年の林市政への評価などをめぐって論戦が交わされる見通しです。

投票は今月22日に行われます。

各候補の第一声演説

太田正孝候補は「新型コロナウイルスの問題もあれば、カジノの問題もある。カジノができればカジノに溺れて必ず人生を誤る者が出てくる。子どもたちや兄弟たちが、カジノにはまって人生をめちゃくちゃにするなんていうことはとんでもないから、カジノになんか行かせないしましてや作らない」と訴えました。

田中康夫候補は「IRという名のカジノ。地元の経済を潤さない海外の巨大な資本にそこの売り上げのほとんどは、8割9割が持っていかれてしまう。福祉や医療や教育、環境や観光、そして防災といった人が人のために尽くす部分に投資を行う」と訴えました。

小此木八郎候補は「横浜でIR政策は採用しない。IRとりやめを実現して、そのあとの横浜の姿をどう作るかなんです。まちづくりにしっかりと心を込めて、皆さんとともに新しい横浜の姿を描き、実現していきたい」と訴えました。

坪倉良和候補は「もうちょっとこの横浜をなんとかしたい。山下埠頭が世界の食の一丁目一番地になるように、そういう思いでいま、IRに代わる代替え案をプランニングして提案しています。世界一の食の発信のできる場所。いま本当にチャンスが来ています」と訴えました。

福田峰之候補は「私は横浜市を、まず、日本で一番、デジタルによって行政サービスが進んだ都市にしたい。カジノ・IR賛成の立場で今回、選挙に立候補した。IRも財源論としてしっかりと活用していきたいこれが私の立場だ」と訴えました。

山中竹春候補は「私は立候補者の中で唯一、コロナをよく分かっている人間として、横浜のコロナの封じ込めを行います。カジノ断固反対、即刻中止。市民に誠実な横浜市政を何としても取り戻す」と訴えました。

林文子候補は「IRは経済復興の選択肢であり、横浜市は手を挙げて推進してきた。すでに事業者の選定にも入っている。横浜にはものすごいチャンスがあり、コロナのあと、そしてコロナ禍であっても必ず経済を復活させる」と訴えました。

松沢成文候補は「ワクチン対策の最速化プランをつくり、一刻も早く現役世代、若い人たちにワクチンを打っていく。そのためにワクチンを国からとってくる。また私はカジノ禁止条例という条例の条文まで用意している。ばくちでもうけた金で市政を運営するなんて不健全だ」と訴えました。

横浜市のIR誘致計画 現在の状況

IR=統合型リゾート施設は、カジノのほか、ホテルや商業施設、国際会議場などが一体となった複合施設です。

政府は、IRの誘致を成長戦略の1つに位置づけ、2020年代後半の開業を目指しています。
施設を整備するのは国内で最大3か所とされていて横浜市のほか、大阪府と大阪市、長崎県、和歌山県が誘致に向けた手続きを進めています。
横浜市は、横浜港の「山下ふ頭」に誘致する計画で、羽田空港や都心へのアクセスがよいことなどから海外の事業者などから注目され、当初は、国内外の12の事業者から構想案が寄せられました。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響などにより複数の事業者が途中で撤退し、最終的にことし6月、2つのグループが事業内容を提案し、事業者の選定に向けた手続きが進められています。

横浜市は来年4月までの国への申請に向けて事業者の選定手続きを進めています。
ことし6月に行われた事業内容の公募には、2つの事業者のグループが応募しました。
このうち1つは、シンガポールに拠点を置く「ゲンティン・シンガポール」とゲームやパチンコの大手「セガサミーホールディングス」それに鹿島建設などで作るグループです。
もう一つのグループの構成を市は明らかにしていませんが、関係者によりますと中国のマカオを中心に事業を展開している「メルコリゾーツ&エンターテインメント」などで作るグループだということです。
横浜市役所では先月からそれぞれの事業者の提案に基づいて作られた施設のイメージやポスターなどの展示も行われました。
横浜市は、来年4月までの申請期間に間に合うよう事業者とともに「区域整備計画」を作成するためことし夏ごろには事業者を選定するとしています。
ただ、今回の市長選挙には、IR誘致に反対する候補者が複数、立候補しています。
選挙の結果によっては、こうした計画に影響が出ることが予想されます。

横浜市では、IR整備法の成立などを受け、おととし8月、林市長が「これまでにない経済効果が見込まれ、人口減少などの課題への有効な対応策となる」として正式に誘致を進める方針を表明。
横浜港の「山下ふ頭」への誘致計画を進めてきました。
一方、市内では、治安の悪化やギャンブル依存症の人の増加などを危惧して反対する意見も根強くあります。
反対する市民らで作る団体は、去年、誘致の是非を問う住民投票を求める署名活動を行い法定の3倍を上回る19万以上の署名を集めました。
しかし、ことし1月、住民投票条例案が市議会に提出された際、林市長は、「意義を見いだしがたい」として反対する意見を付け、条例案は市議会で自民党と公明党の反対多数で否決されました。
横浜市は、ことしの夏ごろの事業者の選定に向け、手続きを進めています。