被ばく抑制のヨウ素剤
薬局での配布進まず 茨城

原発事故時の甲状腺の被ばくを抑えるヨウ素剤の事前配布について、国が認めた薬局での配布を全国に先駆けて実施している茨城県が状況を調べたところ、半年近くで1000人余りの配布にとどまっていることがわかり、専門家は住民への周知に課題があると指摘しています。

ヨウ素剤は、原発事故の際に服用することで甲状腺の被ばくを抑えられることから、5キロ圏内の住民へ事前配布が義務づけられ、自治体では医師や薬剤師が立ち会って配布会を開催しています。

しかし、機会が限られ配布が進まないとの指摘が上がり、国はおととしから薬局での配布も認め、原子力施設が多くある茨城県では全国の自治体に先駆けて去年11月から実施しています。

しかし、県が年度末の先月までの5か月間の薬局での配布状況を調べたところ、1066人にとどまっていることがわかりました。

茨城県では対象の住民およそ6万3000人のうち、まだ半数余りがヨウ素剤を受け取っておらず、県は「薬局配布が期待したほどの配布数の増加につながっていない」として、再度、住民に薬局での引換券を送付するとしています。

専門家「国と自治体は住民への周知に力を」

薬局配布は今後、他の自治体も検討していることから、甲状腺被ばくに詳しい国際医療福祉大学クリニックの鈴木元院長は、「住民にヨウ素剤の必要性を理解してもらうことが重要で、国と自治体は周知に力を入れるべき」と指摘しています。

内閣府「活用が進むよう取り組みたい」

これについて原子力防災を担当する内閣府は「薬局での事前配布は、これまでの医師が参加した説明会での配布に加え、選択肢を増やしたもので、茨城県以外の自治体でも広がることを期待している。周知の重要性は認識していて今後も活用が進むよう取り組みたい」などとしています。