震災10年で追悼式
東京 国立劇場

東日本大震災の発生から10年となる11日、天皇皇后両陛下が出席されて政府主催の追悼式が東京で開かれ、地震の発生時刻にあわせて全員が黙とうをささげ、犠牲者を悼みました。

政府主催の「東日本大震災十周年追悼式」は、11日午後、新型コロナウイルス対策のため招待者を大幅に減らして東京の国立劇場で開かれ、天皇皇后両陛下、菅総理大臣、遺族や被災者の代表らが出席しました。

そして、地震が発生した午後2時46分に全員が黙とうをささげ、犠牲者を悼みました。

菅首相「今後も切れ目のない支援を行っていく」

続いて菅総理大臣が「震災から10年がたち、被災地の復興は着実に進展しているが、被災者の心のケアなどの課題が残っていることに加え、新型コロナ感染症により地域の皆さまの暮らしや産業、なりわいにも多大な影響が及んでいる。感染症対策に万全を期すとともに、今後も被災者の生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を行っていく」と式辞を述べました。

天皇陛下「忘れることのできない記憶」

天皇陛下は「震災の被害の大きさは、忘れることのできない記憶として今なお脳裏から離れることはありません。困難な状況にある人々が誰一人取り残されることなく、一日でも早く平穏な日常の暮らしを取り戻すことができるように、復興の歩みが着実に実を結んでいくよう、これからも私たち皆が心を合わせて被災した地域の人々に末永く寄り添っていくことが大切だと思います」と、おことばを述べられました。

岩手県 遺族代表「複雑な思いかけめぐる歳月」

このあと、岩手、宮城、福島の3県の遺族の代表があいさつしました。

岩手県の遺族代表の佐藤省次さん(71)は「一緒に暮らしていた両親と叔母の3人を含め、11人もの親族が津波の犠牲になりました。『十年一昔』と言いますが、私たち家族にとってこの10年はいろいろな思いが交錯する、長いようでまた短いような複雑な思いが駆け巡る歳月でした」と述べました。

宮城県 遺族代表 「後世まで事実をつないでいく」

宮城県の遺族代表の荒川航さん(16)は「父の実家がある名取市閖上にも9メートルを超える大きな津波が襲い、後日、曽祖父母の遺体が発見されました。私たち若い世代ができることは、風化し始めている震災の記憶を改めて呼び起こし、後世までその事実をつないでいくことだと思います」と述べました。

福島県 遺族代表 「命の尊さなど教え 教訓語り継ぐ」

福島県の遺族代表の齋藤誠さん(50)は「遺族の気持ちの復旧・復興は、悲しさのあまり、思うように進んでいないのが事実です。私は津波で、当時5歳だった次男・翔太を失いました。小学校に勤務していますので、震災を経験し感じたことを子どもたちに伝え、命の尊さなどを教え、教訓を語り継ぐ決意です」と述べました。

このあと、追悼式では参列者による献花が行われました。政府主催の追悼式は、新型コロナウイルスの影響で取りやめとなった去年を除き、毎年3月11日に開かれてきましたが、政府は10年となる今回までとする方針で、来年以降は状況を踏まえて判断するとしています。