不妊治療 助成額引き上げ等
支援方針まとめる 厚労省

不妊治療をめぐる、具体的な支援策の方針を厚生労働省がまとめました。このうち助成制度の拡充をめぐっては、治療1回当たりの助成額を30万円に引き上げるとともに、事実婚のカップルも対象とする方針です。

不妊治療をめぐっては、1回当たりの費用が数十万円以上かかることもあり、政府は負担軽減を図るため、2年後の令和4年度からの保険適用の拡大を目指すとともに、それが実現するまでの措置として、今年度中にも国の助成制度を拡充する方針です。

その具体的な内容を、厚生労働省が新たにまとめました。

それによりますと、このうち助成制度の拡充にあたっては、現在、助成額が初回のみ30万円、2回目以降15万円となっているのを、2回目以降も30万円に引き上げるとしています。

現在、最大6回までとしている回数制限については「子ども1人につき最大6回」に緩和するほか、夫婦合わせた所得が730万円未満となっている、今の所得制限も撤廃するとしています。

事実婚のカップルについても、年金など、ほかの社会保険制度では法律上の夫婦と区別されていないことから、助成制度の対象とする方針です。

また、保険適用の拡大にあたっては、保険が適用されない先進医療を治療の一部で受けている人も多いため、こうした先進医療と保険が適用される治療との併用を認めることを検討するとしています。

さらに、厚生労働省は、保険適用の拡大や助成制度の拡充とは別に、新たな支援策も進めるとしています。

このうち、仕事との両立を支援するための企業向けの対策では、
▽治療を受けやすい環境を整える中小企業への助成金を創設するほか、
▽治療のための、休暇などの導入を支援する企業向けのセミナーを開催するとしています。

ほかに、若い世代のがん患者が将来、子どもを授かる可能性を残すため、卵子や精子、受精卵の凍結保存などの治療を受ける、がん患者の費用負担を軽減することも盛り込まれています。

一方で、里親や特別養子縁組制度への関心を持ってもらうため、不妊治療を行う医療機関での情報提供も進めるとしていて、治療中の人を対象に、特別養子縁組制度などに関する意識調査を、今年度中に行う方針です。