の街対策 緊急事態宣言
対象地域以外にも

夜の繁華街での新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、法律に基づく「緊急事態宣言」の対象地域以外でも、接客を伴う飲食店への外出を自粛するよう強く促す内容を基本的対処方針に追加することが持ち回りで開かれた政府の諮問委員会で了承されました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象となっている東京など7都府県については、「基本的対処方針」で、感染者の集団=クラスターが多数発生している夜の繁華街の接客を伴う飲食を年齢を問わず、強く自粛するよう促しています。

しかし、政府関係者によりますと、7都府県の接客を伴う飲食店で働いていた従業員らが、対象地域以外の繁華街で働き始めるなどして、こうした地域でも、感染が広がっている事例が報告されているということです。

このため、全国の繁華街でのクラスターの発生を防ぐため、「緊急事態宣言」の対象地域以外でも、接客を伴う飲食店への外出を自粛するよう強く促す内容を基本的対処方針に追加することが11日、持ち回りで開かれた政府の諮問委員会で了承されました。

西村経済再生相 全国知事会長らに方針説明

西村経済再生担当大臣は11日夕方、全国知事会の会長を務める徳島県の飯泉知事らとテレビ会議を行いました。

西村大臣は「夜の繁華街について地域間の移動が懸念されている。ある地域で外出自粛を徹底しても、緩い地域があればそこに人が移り、結果として感染症が拡散してしまう結果になりかねない」と指摘しました。

そのうえで西村大臣は、夜の繁華街の接客を伴う飲食店の利用を自粛するよう全国で呼びかける方針を説明し、協力を求めました。

これに対し飯泉会長は「感染拡大阻止に向けて大変重要な局面を迎えるところであり、国としっかりと力を合わせていきたい」と述べたうえで、自粛を求める飲食店の対象範囲を明確にするよう求めました。

また、▽要請に従って休業する事業者を財政的に支援する仕組みを設けることや、▽勤め先が休業した人などを対象に、離職していなくても特例で失業給付の対象とすることなどを求めました。

こうした要望に対し西村大臣は「接客を伴う飲食店の利用自粛については東京都が対象範囲を出したのでそれを参考にしてもらいたい。休業補償はできないが中小企業への給付金などでしっかりと支援を行っていきたい」と述べました。

西村経済再生担当大臣はテレビ会議のあと記者団に対し「休業補償の制度を作ってもらいたいという要望は危機感の表れとして重く受け止めているが、国としては休業補償や損失補填の枠組みを行う考えはない」と述べ、緊急経済対策に盛り込んだ雇用調整助成金の拡充や中小企業を対象にした給付金などを活用し、事業の継続を支援したいという考えを示しました。

新たに創設する1兆円に上る「地方創生臨時交付金」については「それぞれの地域の状況に応じて柔軟に対応できるよう制度設計を行っていきたい」と述べる一方、東京都が支給するとしている「協力金」などの財源に充てることは可能なのか問われたのに対し、「直接、協力金という形で使われる部分ができるかどうかは少し考えたい」と述べるにとどめました。

全国知事会の飯泉会長はテレビ会議のあと記者団に対し、夜の繁華街の接客を伴う飲食店の利用自粛について「緊急事態宣言の対象の7都府県にある繁華街の従業員らがほかの地域へ移ってしまうことを阻止しなければ、全国で感染爆発が起きてしまう。7都府県の繁華街を訪れた客が地方の飲食店に行くことも感染拡大のおそれがあるので、政府の呼びかけはやむをえず、あるべき措置だ」と述べました。