岡では宿泊キャンセル
9万人超 深刻な観光影響

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、静岡県内の宿泊施設のキャンセルは、5日時点で少なくとも9万人を超えることが県観光協会の調査でわかりました。

それによりますとことし1月から3月までの3か月間に県内の宿泊施設でキャンセルされた予約の数は5日の時点で少なくとも9万277人分に上っているということです。

キャンセルは中国からの団体客が中心だということです。月別にみますと2月が5万3675人と最も多く、3月は2万8524人、1月は8078人でした。

自治体別では、浜松市がおよそ4万2000人と全体の半数近くを占め、次いで御前崎市が1万6000人余り掛川市が8000人余りとなっていて、中国便が就航する静岡空港の周辺を中心にキャンセルが相次いでいるということです。

県観光協会には宿泊施設から「終息の見通しが立たず今後の売り上げへの影響が大きい」といった不安の声が寄せられているということです。

これに関連して静岡県観光政策課の川口茂則課長は記者会見で「経営の厳しい施設には県の融資制度を紹介するなど対応したい」と述べました。

休業となるホテルも

新型コロナウイルスの感染拡大で中国政府が海外への団体旅行を中止にしたことで、日本の観光地の中には一定期間、休業を迫られる宿泊施設も出ています。

富士山をのぞむ山中湖にほど近いホテルでは、例年、正月明けから3月の春休み前まで、予約のおよそ8割を中国からの団体客が占めるということです。

今月の予約も中国からの団体客などで、ほぼ満室になっていたということですが、中国政府が海外への団体旅行を中止にしたことで、キャンセルを申し入れるファックスが次々と届き、これまでに、ほぼすべての予約が取り消されたといいます。

このためホテルでは6日から今月13日まで、8日間にわたって休業することを決めました。

およそ20人の従業員には、交代で有給休暇を取得してもらっています。

ロビーや客室、それに宿泊客に人気の天然温泉の大浴場も、照明が落とされて、ひっそりと静まり返っていました。

ホテルによりますと、正月明けから3月の春休み前までの期間の売り上げは、例年の同じ時期の4分の1まで落ち込む見通しだということです。

ホテルの渡辺美洋社長は「インバウンドの客は、年間通しての売り上げの4割くらいを占めていて、特に冬場は重要なお客さまだったので、非常に厳しい状況です。事態がいつ終息するのか、見通しが全く立ちません」と話していました。

旅行会社 従業員の大半が有給休暇を…

新型コロナウイルスの感染拡大で中国政府が海外への団体旅行を中止にしたことで、中国からの団体客の旅行手配を行う国内の企業の中には、仕事が激減し、従業員の大半が有給休暇を取得せざるをえないなど深刻な影響が出ています。

このうち、中国からの団体客を専門に旅行の手配を行っている、大阪市内にある会社では、中国政府が海外への団体旅行を中止した先月27日以降、キャンセルが相次ぎ、5日間で、およそ60件となったほか、今月は、これまでに、およそ150件に上っているということです。

仕事が減ったことから、この会社では、従業員15人のうち10人については、今月は1か月間、有給休暇を取得してもらうなどの対応をとったということです。

担当者は「仕事のすべてが、中国からの団体客を取り扱っているので仕方がない。来月も、中旬まではツアーがキャンセルになっていて、その後の見通しもたたず、従業員には、来月以降も休んでもらうか検討している」と話していました。

また、主に中国からの団体客の旅行手配を行っている東京都内の会社でも、今月予定していたツアーのほとんどがキャンセルになりました。

この影響により、今月の売り上げは、ほぼゼロに近い見通しだということです。担当者は「現在の状況が終息しないかぎり、キャンセルが続くだろう。具体的な打開策はなく、今後も状況を見守るしかない」と話していました。

春節の関空 中国客が3割減少

先月24日からの中国の旧正月にあたる「春節」の大型連休中に関西空港から入国した中国人の旅客数が、去年に比べておよそ30%減ったことがわかりました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響とみられています。

大阪出入国在留管理局関西空港支局によりますと、先月24日から30日までの中国の旧正月「春節」の連休中に関西空港から入国した中国人の旅行客は、およそ5万2500人でした。

これは、去年の「春節」のおよそ7万3000人と比べて2万人余り、率にして28%の減少です。

中国以外の国を含む外国人全体でみますと、ことしの同じ期間中に入国した人は16万700人で、こちらも去年の19万500人と比べておよそ3万人、率にして16%減っています。

「春節」の連休中に関西空港から入国する外国人は年々増加していて、統計を取り始めた平成24年以来、前の年より減るのは初めてだということです。

大阪出入国在留管理局関西空港支局では「新型コロナウイルスの感染の影響が要因でこれだけ減ったとみられる。今後も推移を見ていきたい」と話しています。

中小企業の資金繰り支援を金融機関に要請 政府

新型のコロナウイルスの感染拡大に伴って、政府は中小企業などの資金繰りに支障が出ないよう、金融機関に対して適切に支援するよう要請することを決めました。

これは麻生副総理兼財務大臣が7日の閣議のあとの記者会見で明らかにしました。それによりますと、新型のコロナウイルスの感染拡大に伴って、中小企業などの資金繰りに重大な支障が生じることがないよう、金融機関に対して資金面での適切な支援を促すとしています。

また、日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫に対しては、中小企業が低い金利で資金を借りることができる「セーフティネット貸し付け」を活用するよう要請します。

麻生大臣は閣議のあとの記者会見で、「企業の実情に応じて丁寧な経営相談や資金面の支援など適切な事業者支援を促したい」と述べました。

また、麻生大臣は感染の拡大を踏まえた政府の対応について、「対応策を早急に策定し、至急、実行するよう総理から指示があり、現在、関係省庁と連携して検討している」と述べ、予備費の活用も視野に対応策の取りまとめを急ぐ考えを示しました。