金構造の統計調査の不正
いつからか特定不能 総務省

厚生労働省の統計不正問題のうち、長年にわたりルールに反した郵送による調査が行われていた「賃金構造基本統計調査」について、検証を進めてきた総務省は報告書を取りまとめ、8日にも公表する方針です。いつどのような経緯で不正が始まったかは特定できなかったということです。

労働者の賃金の実態を雇用形態や職種ごとに調べる厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」は、事業所を訪問して行う決まりになっているのに不正に郵送で行っていたことなどが明らかになっています。

この統計の不正について、詳しい経緯や原因の検証を総務省が行うことになり、これまでおよそ1か月にわたって過去の担当者の聞き取りなどを進めてきました。

関係者によりますと、総務省は報告書を取りまとめ、8日にも公表することにしています。

この中では、少なくない職員が認識しながら長年にわたって不正を続けてきたことなどを問題点として挙げ、「遵法意識の欠如」や「事なかれ主義の蔓延」が根底にあったと指摘する方針です。

一方、郵送による不正は少なくとも13年前には行われていたことがすでに明らかになっていますが、総務省による検証では、それより前から行われていたと推測できるものの、いつどのような経緯で不正が始まったかは特定できなかったということです。

厚生労働省の統計をめぐっては、これに先立って「毎月勤労統計調査」でも不正が発覚していて、外部の有識者からなる特別監察委員会が検証結果を取りまとめています。

不正をめぐる経緯

厚生労働省の統計をめぐっては主に2つの統計で不正が明らかになりました。

去年12月に発覚した「毎月勤労統計調査」と、ことし1月に発覚した「賃金構造基本統計調査」です。

いずれも賃金などに関する統計調査ですが、このうち「賃金構造基本統計調査」は賃金の実態を労働者の雇用形態や職種ごとにより細かく把握するために行われています。

厚生労働省が全国の労働局や労働基準監督署を通じて、およそ7万8000の事業所を対象に毎年7月に行っています。

「賃金構造基本統計調査」はルールに反して郵送で行われていましたが、統計不正問題を受けてことし1月に緊急で行われた政府の一斉点検の際には担当室長が意図的に報告していませんでした。

厚生労働省は「不正の隠蔽(いんぺい)と言われても否定できない」としています。

このため「賃金構造基本統計調査」の不正については、当事者とは異なる立場で検証する必要があるとして、先月から厚生労働省ではなく総務省の行政評価局が詳しい経緯や原因について調べてきました。