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新潟市 新たな交流の場「泊まれる劇場」

宿泊施設なかった新潟秋葉区に誕生
  • 2024年04月26日

 

観光客の減少などで、宿泊施設がない状態が続いていた新潟市秋葉区。去年11月、海外からUターン移住した舞踊家の夫婦が、ゲストハウスをオープンさせました。観光客をはじめ、さまざまな人たちの新たな交流の場として期待されています。どんな場所なのでしょうか?
(新潟放送局記者 阿久津忠寛)

舞台があるゲストハウスが去年オープン

去年11月にオープンしたゲストハウス「スロウプハウス」です。

コンセプトは「泊まれる劇場」
宿泊設備だけでなく舞台が設置されダンスや演奏など、さまざまな表現ができる場となっています。

舞踊家で秋葉区出身の土田貴好さんと、その妻の藍歌さんです。

芸術を身近に感じてもらいながらまちを活性化していく場をつくろうと、このゲストハウスを立ち上げました。

土田貴好さん
何かを感じてもらったり、いろんな表現を知ってもらったり受け止めてもらったりすることで交流が生まれたりとか、そういう場所になってほしい。

宿泊施設がない場所へ 古民家を改修

もともとは江戸時代の武家屋敷を80年前に移築したというこちらの建物。
秋葉区で栄えた石油産業の関係者の邸宅でした。

宿泊施設がない状態が続いていた秋葉区。
「気軽に泊まれる場所」をつくって育ったまちに恩返しがしたいと地元のまちづくり会社と協力し、行政の補助金などを活用して改修しました。

土田藍歌さん
秋葉区にいらしてもほかに泊まってもらうしかないという課題がある中で「やっぱりここっていいよね」って感じる場作りが必要だと感じて。

舞踊家としての海外経験を大事に

ゲストハウスを立ち上げる際に大事にしたのは海外での経験です。

2人は国内の劇団で活動したのち文化庁の研修員に選ばれドイツ・ベルリンへ派遣。
現地での生活を通し、芸術が生活にとけ込んでいる様子を目の当たりにしました。

土田藍歌さん
お客さんたちの様子も見て芸術が日常に溶け込んでるというか、見終わったあとの会話だったりとか、自分の主張とか、自己形成につながっているのかなって感じたので。それを持って帰ってきて、この地域でいえばどんな感じかなって考えて。地域の方や外の方が交わる場所をちょっとずつでも試しながらできたらいい。

こだわり詰まった施設 海外アーティストからも好評

あわせて6部屋、最大15人が泊まれるこのゲストハウスには2人のこだわりが詰まっています。

こちらのテーブルは、もともと改修前に使われていた蔵の扉を再利用。
長い歴史が作ったさびやくすみも、この場所の雰囲気を際立たせます。

1階は広い土間の空間に。日中は地元食材を使ったメニューを楽しめるカフェとして営業し、誰でも気軽に足を運べる場所にしています。

土田さんと一緒に創作活動をしたいという海外アーティストも多く宿泊し、歴史を感じさせるつくりは「この土地の伝統を肌で感じられる」と好評です。

土田貴好さん
アートっていうと結構敷居が高いようなイメージがあると思うんですけど。自分たちの目的としてどれだけ身近にアートを持っていくかっていうのがあるので、そういうものを伝えていきたい。

地元高校生が企画 生徒と商店街つなぐ

地元の人たちの交流の場としても広がりを見せています。

先月、商店街を活性化させようと地元の高校生が企画したイベントが開かれました。
会場には生徒みずから商店街に出向き、選んだ商品が並びました。

企画した高校生
このイベントをきっかけに新津高校の生徒と商店街の方々、地域の方々が交流して関係性をつくっていけたらと思います。

ダンス部のパフォーマンス。
土田さん夫婦が振り付けを監修したものです。

箏曲部や吹奏楽部の演奏も行われ、訪れた人は高校生の活躍する姿を見守りました。

訪れた人
私も地元の小学校や中学校に通っていたので。普通に通学路だったんですよここが。ふだんから見てた建物がこういう風にリノベーションされて、すごく素敵になっていて。新津を活性化してくださってるんだなっていう感じも受けます。

この場所から まちを盛り上げたい

土田さんはこの場所を舞台に芸術を通してさまざまな人の交流をつくりだすことで、まちの活性化をめざします。

土田貴好さん
ただの個としてここが存在するんではなくて、いろいろな交流やコラボレーションをして、もっとまちの魅力とかそういうものも一緒に発信していけたらうれしい。

このゲストハウスでは今後、ジャズライブや落語などのイベントも予定しているということで、新たなつながりが生まれることが期待されています。

  • 阿久津忠寛

    新潟放送局 記者

    阿久津忠寛

    約10年間の行政経験を経て2023年入局。夏は暑くて人も熱い、秋葉区が大好きです。

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