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能登半島地震発生から3か月 住まいの再建に課題

見通し立たず不安募る市民も
  • 2024年04月04日

 

能登半島地震の発生から4月1日で3か月となりました。液状化の被害が相次いだ新潟市では、住まいの再建を始めた人がいる一方で、見通しが立たず不安を募らせている人もいます。直面する課題を取材しました。(新潟放送局 記者 髙尾果林・阿久津忠寛)

住宅の再建に向けた工事始まる

能登半島地震では、液状化による住宅被害が新潟県と石川県、富山県の広い範囲で確認され、
このうち新潟県は最も多いおよそ9500件と推定されています。
新潟市西区で3月に行われた住宅の傾きを直す工事では、基礎の下にジャッキを22台設置して建物を持ち上げました。

傍らには工事を見守る男性の姿がありました。この家に住む泉田裕さんです。

地震にともなう液状化で自宅は最大40センチ近く沈み込み、玄関前の階段は大きく崩れました。
り災証明書の判定は「全壊」。2月下旬から傾きを直す工事を進めています。

「元に戻すことしか頭になかった」と話す泉田さん。
7年前にこの住宅を購入し、傾きによる健康被害の懸念やローンの返済が残っていることからすぐに修理することを決断しました。修理を担う業者への依頼が相次いでいるため、着工までに時間がかかることが多い中なか、泉田さんはなじみの不動産会社の協力を得て早めに工事に取りかかることができました。

泉田さん みなさんのおかげでやっていけていると思っています。

傾きを直す工事に550万円。さらに今後、配管や外構の工事費用も必要で総額800万円あまりかかる見込みです。泉田さんは行政からの支援金を活用しつつ、不足分は貯金を取り崩すなどしてやりくりすることにしています。

泉田さん
自分の費用だけだとなかなか厳しいところがありますので、少しでもそういう支援がいただければ本当にありがたいと思っています。今までどおり普通に暮らせればいいかなと思っています。

進みたくても進めない 再建の見通し立たない人も

西区に住む、立松修さんと妻の立松有美さんです。

隣接する道路が大きく隆起し、自宅は30センチほど沈み込みました。
水道やトイレが使えなくなり地震の翌日から親戚の家に避難しています。

立松修さん
37年間ずっとここにいて自分たちの生活スタイルに合わせてリフォームもし、やっと自分たちが生活しやすいようになった家だった。

複数の建築業者から、傾きを直したとしても亀裂や水漏れなどが起きる可能性が高いと言われた立松さん。自宅を取り壊して建て替えることを決めましたが、新たな問題に直面しました。

隣接する道路の復旧工事の日程が決まらず道路の高さが変わる可能性があるため、配管や玄関の高さなど新しい家の設計できないというのです。立松さんは、生活再建に向けて前に進みたくても進めない状況に不安を募らせています。

立松修さん
全体の大きなスケジュール感をわれわれが知らないで、そんな不安の中で、なけなしの老後の資金を全部使うんだから。自分たちは住む所をつくらなくちゃいけないし、もう動き出さなかったらどんどん取り残される。

こうした状況に新潟市は

新潟市は住まいの再建に向けて▼駐車場などの修理費用を最大100万円支給するといった独自の支援策を打ち出しているほか▼職員による個別訪問を行うなどして支援制度や復旧工事の日程を説明することにしています。また▼液状化の抜本的な対策を検討するため地盤調査を行うことにしています。

中原市長
新潟市としては、まだ十分に手を差し伸べられていない方々がいると感じています。生活再建に向けて取り残されてしまう人がいないよう、生活再建支援チームを設置し、被災者一人ひとりに寄り添った支援を行っていきたいと考えています。

新潟市は4月、地震からの復旧を加速させるため「復旧・復興推進本部」を設置し、支援制度の説明を強化する方針です。▼住民の生活再建や▼商工業や観光業などの再建への支援▼公共施設の復旧、そして▼液状化対策など災害に強い町作りの4点を柱に、今後、新潟市西区で住民説明会を開いたり個別に住宅を訪問したりして支援制度を説明することにしています。
 

  • 髙尾果林

    新潟放送局 記者

    髙尾果林

    2021年入局。事件・事故や裁判の取材をへて、現在、新潟市政などを担当。

  • 阿久津忠寛

    新潟放送局 記者

    阿久津忠寛

    約10年間の行政経験を経て2023年入局。現在はスポーツなどを担当。

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