公務員の定年延長 60歳以上は管理職外れる 消防では現場復帰も
- 2023年05月15日
2023年度から始まった公務員の「定年延長」に伴う新たな試みです。「60歳」を過ぎても現場で働けるよう、燕市と弥彦村で業務にあたる消防本部は50歳以上の職員を対象に体力や健康を維持するプログラムを導入しました。(新潟放送局 藤井凱大 記者)
事務部門のベテランも!トレーニングの現場
燕市内の施設でトレーニングに励む人たち。
全員、50歳以上のベテラン消防職員です。
なかには消防や救急の現場を離れ、事務仕事にあたっている人もいます。
これは燕・弥彦総合事務組合消防本部が今月から新たに始めた50歳以上の職員の体力や健康を維持しようという取り組みです。
ある職員は汗をぬぐいながら「久しぶりに使わない筋肉を使ったのでかなりきつかったです」と話してくれました。
燕市のスポーツ協会などと連携していて、体力測定などの結果をもとに民間の専門スタッフからレベルにあわせたメニューをつくってもらい、最低でも週1回、2時間以上のトレーニングを行います。
運動面だけではなく、健康面の指導も受けられるということです。
公務員の定年延長で
なぜこうした取り組みを始めたのか。
背景にあるのが2023年度から始まった公務員の「定年延長」です。
公務員の定年は段階的に引き上げられ、令和13年4月には「65歳定年」となります。
一方、60歳になった職員を原則として管理職から外す役職定年制が導入されるため、現場を離れ事務仕事にあたっていた職員も消防や救急の現場に戻る可能性が出てきているのです。
55歳の山田さんもトレーニング
55歳の山田さんも現場に戻る可能性のあるひとりです。
5年ほど前までは消防現場でも活動していましたが管理職になってからは事務仕事が中心です。
「こちらが当時私が現場でばりばりやっていた時の写真です、今と20キロ違うと思います」
そういって山田さんは昔の写真を見せてくれました。
現場を離れてからは筋力トレーニングとも疎遠で、若い頃と比べ体重も増え足腰に衰えを感じるといいます。
取り組みが始まってからこの日が初めてのトレーニング。
「つらいです」と言いながらもトレーナーの指導も受けながら汗を流します。
メニューは筋力トレーニングに加え、有酸素運動が中心。
今年度は減量が目標で、現場でも長く活躍できる体を目指します。
山田和彰予防課長
今でも現場に行くことはちょっと不安です。頭では動けると思っているんですが、実際は下半身がついてこない、仕事の合間もしくは休みの時を利用してやっていけたらなと思います。
高齢化が進む中、高年齢者雇用安定法では民間企業にも「努力義務」として▼70歳までの定年引上げや▼定年制の廃止などを求めていて、働き方や人生設計など見直しが求められそうです。