災害看護の第一人者 看護師 山﨑達枝氏「看護は世界共通」
- 2024年03月21日
看護師の山﨑達枝さん。病院や救命センターで働くかたわら東日本大震災や新潟県中越地震、湾岸戦争、スマトラ沖地震など国内外の第一線で災害看護を実践。その経験やスキルを後進に伝え続けています。この道の第一人者に災害看護の重要性について聞きました。
まず山崎さんが考える災害看護とはどういうものなのでしょうか?
自然災害を私たちが止めることはできないと思うんです。発災した後の減災に看護職としていかに関われるか。例えば、震災関連死といわれていますよね。直接死より関連死のほうが実際に多いわけです。その関連死をいかに減らすか少なくするかは看護力、看護の力だと思うんです。例えば破傷風。家の片づけをしていた時にちょっとした擦り傷、切り傷で破傷風になることが多いわけですけれども、どんな症状が出ると破傷風なのかを知っている、知っていないもすごく大きいと思うんです。それに、災害が起きると抵抗力が弱る。抵抗力が弱いということは、食事はちゃんとできているんだろうか。食事は大事だと伝えるんですけれども、私たち普通に食事するじゃないですか。トイレもきれいじゃないですか。だから被災地のトイレが想像できないんですよ。トイレに入りたくないなと思った瞬間、食べるものを控えますよね。水飲むのを控えますよね。そうすると病気になるわけじゃないですか。元を正せばトイレをきれいにしようよ。行きやすいトイレにしようよ。行こうと思うトイレにしようよ。そこに暮らしている人々の暮らし、生活をしっかり見ていくのも災害看護の1つだと思います。
災害看護の視点で日頃からの備えに生かせるものはあるんでしょうか?
減災に強い人づくり、まちづくりです。いま日本は高齢社会ですので、自助共助と言われていますけれども、自助できない人もいらっしゃるわけじゃないですか。障害のある方や在宅で酸素を使っている方、そういう人たちに専門職として私たちが何ができるか。地域包括ケアもそうですし、在宅訪問ケアを必要としている人たち、そしてさらに地域の人たちがそういった人たちを助けられるようにしていくというのが一つあると思います。
災害看護をこれからがんばりたいと思っている若い世代に向けてメッセージをお願いします。
看護ってすごく力があるよ。底力じゃないですけど。看護って大変です。確かに。大変ですけど、関わった方々の表情が変わっていく姿とかを見ると、看護って、ケアってすばらしいよ。それは世界共通。日本だけじゃなくて、看護って世界共通。そう伝えたいです。
インタビューを終えて…
山﨑さんは「現場が教科書」だと何度も話されていて、私自身さまざまな災害現場で多くのことを学びましたので、その言葉に共感しましたし、今後も現場に出ることを続けていきたいと強く感じたインタビューでした。
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