難病の子どもや家族を支援したい!長崎市の銀行の空き店舗活用
- 2023年05月15日
2023年5月2日、難病の子どもやその家族が利用できる新たな宿泊施設「十八親和ペンギンハウス」が長崎市坂本にオープンしました。銀行の空き店舗を改修した珍しい施設です。開設に至るまでには、あるボランティアの男性の思いがありました。
NHK長崎放送局 柿本遥
心身ともに負担のかかる闘病生活
小児がんなどの子どもの難病へ高度医療を提供できる医療機関は限られていて、長崎県内ではそのほとんどが長崎大学病院での治療となります。遠方から通院を繰り返すのはとても大きな負担。特に離島の多い長崎県ではかなりシビアな問題です。そこで今回、地元の十八親和銀行が長崎大学病院に隣接する空き店舗を改修して、小児がんなどの難病の子どもとその家族が宿泊できる施設として生まれ変わりました。
ボランティアに奔走した野添さん
この施設の代表理事を務めるのが野添恭士さんです。実は野添さんは2001年から21年間、夫婦で難病の子どもが宿泊できる「ペンギンハウス」をボランティアで運営してきました。夫婦二人とも仕事をしながらの運営でした。その大変さ故に何度もやめようと思いました。しかし、利用者の方々の「助かりました」という声や、肩の荷を下ろしてくつろぐ姿が原動力となり、継続してきました。
看病で大変な思いをしているお母さんたちに、ゆったりと過ごしてほしかったです。
新たな施設に引き継がれる思い
「ペンギンハウス」という名前は、コウテイペンギンの子育てに由来しています。 コウテイペンギンはマイナス60度の過酷な環境下で家族全員が協力して子育てを行います。極寒の中たくましく育った子ペンギンが、自分の力で生きていく姿に思いをはせて名づけられました。
そんな野添さんの思いを引き継ぎ、新たな施設の名前は「十八親和ペンギンハウス」と名付けられました。 新たな施設は、1家族で利用できる部屋が5つあり、各部屋にお風呂とトイレがついています。 また、キッチン付きの共有スペースや洗濯室なども整備されています。
例えば、入院中に1泊だけ外泊許可が出たお子さん。 ここでお父さんやお母さんの手料理を食べながら家族団らんの時間をすごせます。
施設の利用料は1日1000円。何人で泊まっても同じ料金です。そして野添さんが特にこだわったポイントが和室です。
ボランティアをしていた時に「和室で足を伸ばせてよかった」と利用者さんから言われたことから、新たな施設にも絶対に取り入れたいと希望しました。
第二の我が家のように、長期入院しているお子さんとその家族がふれあえる施設であってほしいです。 畳の部屋でくつろいでもらいたいです。
野添さんの願い
共有スペースにはたくさんの絵本が置いてあります。これらは子どもたちを応援しようと寄贈されたものです。
子どもたちが長い闘病生活の中で少しでも安心できる時間を過ごせるよう、本当に自分の家にいるような雰囲気で過ごしてほしいと語りました。 なお、「十八親和ペンギンハウス」はボランティアや寄贈・寄付を随時受け付けています。