「家と避難所以外の居場所を作って」 宮城県東松島市出身・土田夏鈴さん
「能登半島地震を経験した“子どもたち”へ、私がいま伝えたいこと」
このページでは、かつて東日本大震災などで家族や友人、ふるさとなどを失った“子どもたち”からのメッセージを紹介します。
宮城県東松島市出身の土田夏鈴(つちだ・かりん)さん、28歳です。
中学3年生のときに東日本大震災を経験しました。
津波で自宅の1階が浸水し、避難所や親戚の家を転々としながら石巻市内の高校に通学。
両親の職場が被災して経済的にも苦しく、不安な毎日を過ごしていたといいます。
震災の話や悩みを打ち明けられずに学校生活を送っていた土田さん。
転機が訪れたのは、高校3年生の春でした。
被災した子どもを対象に無償で学習支援をしている団体の授業に参加。
多くの支援員や同じ境遇の友人から積極的に話しかけてもらったことで、自分の心も楽になりました。
大学を卒業後、土田さんは不登校の子どもたちなどを支援するNPO法人で働き、悩みを抱える子どもたちの心のよりどころとなっています。
能登半島地震で大切な人やものを失った子どもたちへ。
土田さんからのメッセージです。
「自分も東日本大震災の時は日々生活するのに必死で、特に周りの人のこととか考える余裕もなかなかなかった。(高校に)電車で通っていたので、やっぱり電車の定期代だったりとか、あとは部活動の道具だったりとか少しずつお金がかかっていくので、そういった面での不安だとか。
家庭の中での会話も少なくなっていってしまって、そこからお互いが思っている困りごととかもより相談しづらくなった。
(学習支援をする団体で)お互いの困りごととか『最近こんなことに興味を持っているよ』とか、好きなことのお話とか、ちょっと日常から離れるような会話をできたのが個人的にはすごくよかったかなと思っています。(支援員や友人に)話を聞いてもらったことで、気持ちが少し軽くなりましたし、日常生活も少し日常の中の小さなことにうれしさとかありがたみっていうのを感じて過ごすようになりました。
家庭と避難所生活ではない居場所っていうところを作っていただいて、我慢していることは我慢せずに誰かに伝えてほしいなというところと、泣きたいときも周りの人を気にせずに泣いたりとかしてほしいなって思っています」