「つらいときほど、自分の心をやさしく抱きしめて」 宮城県石巻市出身・佐藤そのみさん
「能登半島地震を経験した“子どもたち”へ、私がいま伝えたいこと」
このページでは、かつて東日本大震災などで家族や友人、ふるさとなどを失った“子どもたち”からのメッセージを紹介します。
宮城県石巻市・大川地区出身の佐藤そのみさん、27歳です。
中学2年生のとき、東日本大震災を経験しました。
発災時、そのみさんは自宅にいて無事でしたが、当時小学6年生だった妹のみずほさんを亡くしました。
みずほさんが通っていた大川小学校では、津波で74人の児童と10人の教職員が犠牲になりました。
今も4人の子どもの行方が分かっていません。
幼いころから大好きなふるさとである大川地区を舞台に映画を撮りたいと考えていたそのみさんは、映画製作を学ぶため、震災の4年後に関東の大学に進学しました。
在学中に震災後の大川地区を舞台にした2本の映画を制作。
2022年12月には地元で初めて上映会を行い、およそ200人が訪れました。
能登半島地震で大切な人やものを失った子どもたちへ。
そのみさんからのメッセージです。
「私は13年前の東日本大震災で、妹と大好きな故郷の景色を失いました。今も強烈で忘れられない出来事です。勉強やそれまで好きで続けていたことができなくなってしまったし、しばらくごはんも食べたくありませんでした。
きっと皆さんの中にも当時の私と似た気持ちを抱えている人がいるんじゃないかなと想像します。家族や友達が亡くなってしまった人、家が壊れてしまった人、家に戻れない人、直接の被害はないけど友達や親戚が大変な状況だという人もいるかもしれません。皆さんのつらさは比べられるものではないですし、また決して1つとして同じ悲しみはないとも思います。皆さんがそれぞれの状況の中で精いっぱい生きているということを、きっと近くにいる人がよく分かっているはずです。
大人も子どももみんなが大変な状況の中で、言いたいことを言えなかったり、言っても理解してもらえなかったり、言いたくない気持ちを言葉にしなくてはいけなかったり、また誰かに心ないことを言われてしまう場面もあるかもしれません。でもそれをきっかけに、自分のことを責めないで、それ以上傷付けないでください。つらいときほど、自分の心を、自分自身でやさしく抱きしめて、守ってあげてください。私も13年間そうやって生きてこれました。
悲しい出来事の後には、きっと良いことがやってくると私は東日本大震災の後、信じています。それまで無茶をせず、どうか自分の心と体を大事にしてください。
嫌なことは嫌と言って良いし、楽しそうなことを見つけたらぜひ飛び込んで、目いっぱい楽しんでください。皆さんに一日も早く、心落ち着く日々が訪れることを祈っています」