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伊勢崎市 「ニワトリ」埴輪に研究者たちも注目!そのわけは?

  • 2022年12月06日

    「ほっとぐんま630」でお伝えしている「菅原が行く、中谷が行く」。今回、菅原が取材したのは群馬が誇る埴輪についてです。全国の研究者や歴史愛好家が注目しているという貴重な埴輪が伊勢崎に展示されています。どんな埴輪なのか、何がすごいのか、その秘密を探ってきました。                                                     (前橋放送局キャスター 菅原成美/2022年11月取材)

    向かったのは伊勢崎市赤堀歴史民俗資料館です。

    館長の川道亨さんに案内してもらいました。

    菅原キャスター

    「この中央に展示されているのが、研究者注目の埴輪ですか?」

    川道亨館長

    はい。こちらは赤堀茶臼山古墳から出土した『鶏形埴輪』です。当時の人々にとりまして、鶏は太陽を呼ぶ神聖な生き物として、非常に特別な存在として埴輪に作られたわけです」。

    このニワトリの形をした埴輪。高さ79センチ、長さ71点5センチで羽や羽毛の表現も巧みです。
    確かに存在感はありますが…。一体何がそんなにすごいのか?
    川道館長に3つのすごいポイントを解説して頂きました。

    川道亨館長

    「まず1点目としまして、復元された中では東日本最古。全国では鶏形埴輪は290例ほど発見されていますが、その多くが、破片なんですね。復元できる鶏形埴輪というのは、かなり数が限られています。全体像が復元できる例としては最も古い資料になります」。

    この鶏形埴輪。5世紀中頃のものとみられ、国内一級品の資料だといいます。

    川道亨館長

    「こちらの色の違う部分は、実はこちらにある破片がつくんです。古墳から3km離れた埴輪工房と考えられる遺跡から、出土したものが、ここについたんです」。

    赤堀茶臼山古墳で出土した鶏形埴輪と、そこからおよそ3キロ離れた埴輪工房があったとされる釜ノ口遺跡で発掘された羽の破片
    長年、別の資料として保管されていましたが、資料を整理している時に、川道館長は気がつきました…。破片が一致することに!。

    川道亨館長

    「今でもその時の『ついた』という、鶏だけに鳥肌と言ったら恥ずかしいが、その時のことは忘れられないですね。衝撃を受けました。本当に身震いする思いでした」。

    この発見によって、釜ノ口遺跡で作られた埴輪が赤堀茶臼山古墳に埋葬されていた事が明らかになりました。

    作れた場所が物的証拠によって具体的に判明することは、考古学の世界でも大変レアなことだといいます。

    川道亨館長

    「こちらの埴輪工房(釜ノ口遺跡)で作った埴輪を埴輪窯で焼いている際に、羽がとれてしまい、そのまま古墳へ供給されたのではないだろうかと、ストーリーの推定をしています」。

    川道亨館長

    オンドリとメンドリがあることが明らかになりました。赤堀茶臼山古墳は、昭和4年にも、発掘調査が実施されています。その発掘調査の際に、実は、鶏形埴輪の頭の部分、それから鶏の埴輪の、首の下の『肉ぜん』といわれる部分の2つが発見されています」。

    今回の企画展を前に、改めて東京国立博物館に所蔵されている、それらの資料を比較したところ、首の下のひだ部分、肉ぜんの大きさで雄と雌が判明したのです。
    特徴はもう一つ。

    川道亨館長

    「この足の後ろ向きに生えた、後ろ向きに出ている爪を『蹴爪』といいますが、これは雄鳥特有のものになります。オンドリとメンドリが少なくとも一対あることが、明らかになったということは、埴輪の古墳に置かれる埴輪の構成がどのようであったかを考える上で非常に重要な発見だと考えています」。

    川道亨館長
    「この伊勢崎市の赤堀茶臼山古墳から出土した埴輪群は、畿内のヤマト王権の作風をよく残す、東日本ではほとんど例がないような埴輪群です。この埴輪の迫力をぜひその目で見ていただいて、赤堀茶臼山古墳を見ていただければなと思いますので、どうぞご来館ください」。

    この鶏形埴輪は、12月25日まで伊勢崎市赤堀歴史民俗資料館で見ることができます。

      • 菅原成美

        前橋放送局キャスター

        菅原成美

        2019年からキャスター。夕方のニュース番組「ほっとぐんま630」の担当3年目に突入。群馬の「気になる!」を体当たりで取材中

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