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富岡市 新型コロナで苦境 洋らん農家が南国フルーツ栽培に挑む

  • 2022年11月24日

「ほっとぐんま630」でお伝えしている「菅原が行く、中谷が行く」。今回、中谷が行ってきたのは、富岡市の農家です。

もともと洋らんを育ててきたんですが、新型コロナの影響で出荷量が大幅に減少してしまいました。苦しい経営状況を打開しようと栽培を始めたのは、遠く南国で生まれたフルーツでした。

(前橋放送局キャスター 中谷実夏/2022年11月取材)

新型コロナが転機に

富岡市の農家、金井真悟さん。
40年近くハウスで洋らんを育ててきた農家の2代目です。

大きな転機になったのは2年半前、新型コロナの感染拡大です。洋らんを主に出荷してきた葬儀や結婚式がほとんど行われず売り上げは7割減少しました。

金井真悟さん
「葬儀というのは、どんな時代になってもあるものだと思っていたので、それが急に無くなり、規模が小さくなってしまったことには衝撃を受けました」

南国フルーツ 栽培してみたものの…

この苦境にどう立ち向かうのか。培ってきた栽培の技術を生かして「何か目新しいものを」と注目したのが南国のフルーツでした。

金井真悟さん

「(もともと)南米の花(らん)と東南アジアの花(らん)を作っています。同じ原産地の果物であれば今の環境や設備を使い、私の持っている技術で作れるのではないかと短絡的に考えていました」

アイデアの実現のため、南国生まれのフルーツの栽培を20種類ほど試してみたものの…。

満足のいくできには、ほど遠い状況でした。

「咲かせるところでピークを迎えるのが花き農家の技術なんですが、果物はその先、受粉させて、実らせて、そこからさらにおいしくするという、より難しい技術になります」

手がかかっても、おいしいものを

それでもあきらめず、8つのハウスで温度や電気の照らし方を変えて生育を比べるなど工夫を重ねました。

1年後、ようやく3種類の果物で販売化のメドが立ったのです。

高い糖度が特徴の「アテモヤ」に。

マンゴーなどと共に「世界三大美果」とされるチェリモヤ。

そして、日本では珍しい品種のバナナです。

こちらのチェリモヤの授粉は、1つ1つ手作業です。

金井真悟さん
「とにかく手間がかかります。手間がかかるということは量産が難しい。その分、価値を維持しやすいということだと思っています。手がかかっておいしいもののほうが、もらった方がうれしいのではないかと思います」

気になるお味は?

おいしい物を作れば、売れるわけではありません。

次の課題は、販路の拡大です。
ことしの1月には、インターネットでの販売を開始。

10月からは、富岡市のふるさと納税の返礼品にも登録されました。

気になるお味、試食させてもらいました。

まずは、今が旬のアテモヤです。

中谷キャスター

「甘いですね。濃厚な味がします。見た目からは想像が付かないくらい甘みが強くて、でも後味はすっきりしていますね。パパイアにも少し似ているような感じがしますね」

続いてはチェリモヤ

「食感がなめらかですね、柔らかくて優しい味がします。何個でも食べられそうな感じですね。さっぱりとしていますね」

トップランナーとして

金井真悟さん
「富岡でしか作れない、群馬県でしか作れない品種というものを、らんの交配の技術を使って新たに作り上げていきたい。成功例でも失敗例でもいいんですが、前例がないとなかなか人間は動けません。私の失敗が次に生きる、もしくは、私の成功が次に生きるような形になればうれしいです」

長年の経験を生かした新たな発想で挑み続ける金井さん。
群馬のトップランナーとしての意欲は日々、増すばかりです。

  • 中谷実夏

    前橋放送局キャスター

    中谷実夏

    今年度からキャスター。夕方のニュース番組「ほっとぐんま630」を担当。群馬県に住むのは初めて。「楽しそう」、「気になる」場所に積極的に足を運ぶ

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