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群馬 大泉町 "外国人20%"の町で出会った人についていってみた

  • 2022年09月14日

群馬県在住の外国人(=ネイバーズ)たちの素顔を紹介していくキャンペーン「ハロー!ネイバーズ」。今回は、人口のおよそ20%が外国人の大泉町を訪ね、アポイントメントなしで、さまざまな人たちに話を聞いてきました。

(第1制作センター教育・次世代ディレクター 大島悠也/前橋放送局 閑野将也)

多国籍タウン 大泉町のスーパーマーケット

ブラジルを筆頭に、ペルー、ネパール、ベトナム、フィリピンなどさまざまな国の人たちが生活する大泉町。

町の中心にあるスーパーマーケットには、多国籍な商品が並んでいます。

ここには、どんな人たちが訪れるのか。
最初に出会ったのは、ブラジル人男性とボリビア人女性の20代のカップル。日本のスーパーでは売っていないような食べ物や飲み物がほしい時に、よくこちらに訪れるそうです。

早速、買い物に同行させてもらいました。

まず彼らが手に取ったのは、こちらのジュース。ペルーで国民的に愛されている清涼飲料水だそうです。

ペルーの国民的飲料水
ハムとチーズ
肉のサイズは基本的にビッグサイズ
ソーセージも日本のものとはちょっと味が違うのだとか

「日本のスーパーで買うものより、もっと豚肉の味がします」

続いて、声をかけたのはイラン人の女性。

店内に置いてある商品のサイズの大きさが気に入って、よくこのスーパーに訪れるといいます。

「日本のスーパーは小分けにしてあることが多いが、ここだと外国の感覚で、1キロ単位でものが買えるのでお得だと感じます」

大きいサイズのパクチー

日系ブラジル人の家族にも出会いました。
妻と夫は、ブラジル生まれ日本育ち、小学校6年生と2年生の娘たちは大泉町生まれ、大泉町育ち。「家での会話はポルトガル語と日本語が混ざってしまうことが多い」と話していました。

日系ブラジル人の家族

こちらの20代日系ブラジル人の男女2人は、日本で、外国人として暮らすことの苦労を話してくれました。

20代の日系ブラジル人の男女
吉永ヒロシさん

「スタイルとしてピアスやタトゥーをいれているだけだけど、日本人からすると『怖い』というイメージがあるみたい。第1印象は『あの人、怖そう』と言われることが多いです」

金城アリネ 麗子さん

「小さい頃から両親に『日本人よりも日本人らしくいなさい』と言われて育った。友達の家に行くときは、ほかの友達はやっていなくても、必ずお菓子を持って行って、手ぶらでは行かないようにしていた」

プロテスタント教会についていくと?

同じプロテスタント教会に通う仲間だという2人。土曜日だったこの日は、これから礼拝に行くということだったので、私たちもついて行かせてもらうことにしました。

教会は、群馬県との県境の町、埼玉県上里町にあるといいます。車を走らせることおよそ40分。

「これが教会です!」

上里町にあるプロテスタント教会

外観はまるでお城のような建物。中に入ってみると、まるでライブハウスのような光景が。

礼拝の様子

生バンドで、ゴスペルソングが演奏され、それに合わせて、ダンスするように礼拝が行われるスタイル。さらに、英語の説教はポルトガル語と日本語に同時通訳されます。

礼拝する人たち
英語の説教を同時通訳しオンラインで配信

「ブラジルでは最近はこういうスタイルの教会も増えているけど、日本ではあまりないかもしれません。教会によってそれぞれ個性があって、だからそれぞれが居心地がよい教会を見つけていくような感じです」

教会に訪れた人たちにも話を聞いてみました。

礼拝に訪れたブラジル人男性
「毎週必ず来ています。ここでスタミナをためて、1週間を過ごす、生きがいみたいなものです」

礼拝に訪れた日本人男性とブラジル人男性

礼拝に訪れた日本人男性
「外国の文化に興味があり、それをきっかけに教会に来ました。元々はブラジル人との接点はなかったので最初は怖かったのですが、話してみるとフレンドリーで、今では友達というか、家族みたいな関係です」

礼拝を終えて抱き合う参加者
礼拝を終えた直後の金城さん

金城アリネ麗子さん
「外国人のことを、怖くないと思ってほしいです。だいたいみんなフレンドリーで優しい。すごくポジティブで元気な人が多いから、ビビっちゃうのかもしれないとも思うけど、良い人が多いです。外国人は結構もうウェルカムだから、あとは日本人が心を開いてくれれば」

日系ブラジル人家庭の食卓

その翌週、大泉町のスーパーマーケットで出会った日系ブラジル人の家族のもとを訪ねました。

中村エンリッケさんと、妻のアレサンドラさん、そして小学校6年生と2年生の娘2人の4人家族です。

中村家のみなさん

この日、中村家のみなさんは、私たちのために、ブラジルの家庭料理をふるまってくれました。まずは、ブラジル料理の定番「フェジョン」。いんげん豆などを塩やスパイスで煮込んだ料理で、ブラジルの食卓に欠かせない1品です。

フェジョン
中村アレサンドラさん

「うちは和食も作るけれど、フェジョンは、ブラジル人ではほぼ毎日食べている人も多い料理です。地域や家庭によって味付けは変わりますが、うちはソーセージを入れます。コリアンダーなどを入れる人もいます」

続いては「パンケッカ」。クレープのような生地の中に、お肉やソースなどを包んだ料理です。中村家のパンケッカには、ひき肉のミートソースとチーズが入っており、それを並べてオーブンで焼きます。

パンケッカ

ほかには、スーパーマーケットで買ったローストチキンや、オリーブオイルたっぷりのサラダも食卓に並びました。

食事風景

私たちも食べさせていただきましたが、フェジョンは例えるなら「豆のシチュー」のような味で、パンケッカはミートソースとチーズの味付けが絶妙な一品でした。

家族全員が仲よしで、フレンドリーな中村家。父親のエンリッケさんは、日本人とブラジル人のコミュニケーションのスタイルの違いについて、話してくれました。

夫・エンリッケさんと妻・アレサンドラさん
中村エンリッケさん

「ブラジル人は日本人よりもスキンシップが多くて、友達と会ったら、必ずタッチします。日本人ももっと、握手したり、ハグしたら、もっとフレンドリーになれると思います。ぼくたち夫婦も、毎日のようにチューしていますよ(笑)」

最後に「日本人と外国人が仲よくなると、どんないいことがあると思うか?」と質問してみました。

日本人と外国人、お互いのいいところを学び合えると思います。例えば、単純に私たちと仲良くなったら、その人は明るくなると思いますし、オープンになると思います(笑)。逆にブラジル人は、日本人の礼儀正しいところ、きちょうめんなところから学べることがあると思います。文化の壁はありますが、それをどんどん壊していく、それがグローバルなんじゃないでしょうか」

ネイバーズと日本人 仲よくなると いいことがたくさん!

大泉町で出会ったネイバーズのみなさんは、明るく陽気な人が多く、取材している私たちも元気な気持ちにさせていただきました。

群馬県の「令和2年外国人県民アンケート」によると「日本人と積極的に交流したい」と回答した外国人は73.8%にのぼるそうです。取材の中であったように「外国人はもうウェルカム」なはずなので、あとは日本人がネイバーズに話しかける勇気を持つこと、そして日本人とネイバーズのお互いのいい部分を共有していくことが、これからの時代に必要なのではないかと感じました。

  • 大島悠也

    第1制作センター教育・次世代 ディレクター

    大島悠也

    前橋局に常駐しながら、外国人のライフスタイル・文化などの取材を行う。趣味は、海外ひとり旅、エスニック料理食べ歩きなど

  • 閑野将也

    NHK前橋放送局

    閑野将也

    22年ぶりに出身地の地元・群馬県に戻り、初の番組制作業務に携わる。趣味は釣りやDIYなど

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