朝起きられない...起立性調節障害の原因・症状・治療法を解説

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めまいがする吐き気循環器・血管

朝起きられない...これって病気?

各医療機関でとったデータなどによると、中学生の1割に朝起きることが苦手につながる「ある病気」があるとされています。それは一体どのような病気で、どんな対策をすれば良いのでしょうか。
元AKB48の西野未姫さん、実際にこの病気の診断を受けた吉田美優さんとともに考えます。

朝起きられない...これって病気?

実際のケース

まずはこちらのケースをご紹介します。

福井県で、アイドルグループとして活動する吉田美優さんは小学6年生のときに突然、朝起きるのが辛くなりました。起きたいという気持ちはあっても、吐き気や動悸がひどく起きられません。無理やり立ち上がると、今度はめまいや頭痛などの症状が出るようになってしまいました。

そこで、美優さんは仕方なく学校を休むことにしたのですが午後になると、症状は落ち着き、すっかり元気になりました。このような症状が一度起きてから、毎日続いたのです。

血圧と神経の関係

鉄分が不足していたのでしょうか?

実は美優さんの症状は「自律神経のバランスが崩れる」ことが原因だと考えられています。自律神経には、血管を収縮させて血圧を上げたり、血管を緩めて血圧を下げたりする働きがあります。

自律神経のバランスが崩れる

例えば、横になった姿勢から立ち上がると、重力によって下半身に血液が集まります。この際、通常は自律神経が働き、脚の血管を収縮させることで血圧を上げ、上半身にも十分な血液が流れます。

上半身の血流が不足してしまう

ところが、ストレス、不規則な生活、運動不足などが原因で自律神経のバランスが崩れると、脚の血管が十分に収縮しないため、血圧が十分に上がらず上半身の血流が不足してしまいます。このため、朝起き上がることができなくなってしまうのです。このような病気を起立性調節障害といいます。

起立性調節障害の症状は食欲不振、寝つきが悪い、めまい、立ちくらみ、頭痛、腹痛、起立による失神、イライラ、無気力などが挙げられますが1日中続くとは限りません。それは起床後から徐々に自律神経がしっかりと働くようになるためです。

起立性調節障害の症状

起立性調節障害の治療法

では、起立性調節障害と診断されたら病院ではどんな治療を受けることができるのでしょうか?

カウンセリングを受けたり 昇圧薬・鎮痛薬などをのみましたが、あまり効果はありませんでした

起立性調節障害は低血圧によって症状が現れるため、血圧を上げる薬がよく使われます。また、自律神経のバランスを整える薬が使用されることもあります。ただし、薬物療法で全ての人が良くなるわけではありません。

薬物療法と並んで重要なのが、日常生活の改善です。その1つが、水分の摂取です。水分を摂ることで血液量が増加し、血圧が上がる効果が期待できます。実は、起立性調節障害のある人は水分摂取量が少ない傾向があり、1日に500ml程度しかのんでいない人が多くいるのです。

500ml程度しかのんでいない人が多い傾向にある

周囲の理解が大切

午後には元気になることが多い起立性調節障害は、周囲に理解されにくく"単なる怠け"などと誤解を受けることもあります。本人も学校を休んだ罪悪感から自分を責めてしまいがちです。悪循環に陥る前に、小児科を受診することが大切です。

起立性調節障害は周囲の理解が大切

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年8月 号に掲載されています。

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